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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
5章・王都で色々ザックザク

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「おーう、大丈夫かー?」


まだ耳がキーンとしているが、その声は聞こえた。

低いが良く通る、中々いい声じゃないか。

まだ目は見えないが、攻撃してくるような素振りは無いし逃げなくても大丈夫だろう。


「目がチカチカするよー」


高度を下げながら近づき、適当に返事をする。


「はっはっ…悪かったな。まさか人間が空を飛んでいるとは思わなかった…驚かせちまったな。広間の魔物は今ので全て片付けた。処理が終わるまでのんびりしとけ」


気さくな感じだ。

俺を制止した時の剣呑さは感じられない。

感じられないが、近くに寄れば寄るほど化け物じみた強さがわかってしまう。

ただ、俺の聞いた感じでは、戦闘狂というかあまり人付き合いはしない世捨て人のようなイメージだったが、少し違うのかもしれない。


「その紋章は…確かミュラー家か。一人でここまで来れる様なガキ抱えてるのは流石だな」


俺のエプロンの胸元についている紋章を見て分かったらしい。

貴族の誘いは断っているようだが、全く興味が無いってわけじゃないのかもしれないな。


「ミュラー家のセラです。あなたは「閃光」さん?」


相手の人物像が掴めないし、無難な感じで行こう。


「まあ、そんな風に呼ばれているな…ジグハルトだ。目は大丈夫か?」


「ん。良くなってきました」


まだ多少チカチカするが何とか見えるようになってきた。

遠目からだと黒髪の男って事しかわからなかったが、「閃光」様のご尊顔を拝見させてもらおうじゃないか!

ちょっと楽しみになってきた。


背は結構大きい。

アレクほどじゃないが、ルバン位か?

大柄で厚手のジャケットを身に着けている。

鎧じゃないってあたりに自信を感じるね。


「…うん」


「…どうした?」


「いや…ひげ」


そして、顔は……。

ボサボサ髪のもっさり髭。

煤けてるね。

40半ばらしいが、これじゃよくわからん。


「ああ…10日間位か?ずっと潜っていたからな。水浴びはしたんだが…」


なるほど。

身だしなみは後回しになるのか。

しかし、10日もダンジョンで過ごすとか凄いな!


「10日もいたんですか?」


「今回は下層での採集だったからな。俺だけならともかく、サポート役でそこまで行ける奴はあまりいないから、ダンジョンの閉鎖中に一気に集めて潜るんだ」


「へー」


頷きつつ後ろに目をやると、リヤカーの様な台車が3台あるが、どれも荷物が満載だ。


遺物だけでなく、核を潰していない魔物の死体も乗っている。

確かにあんなのは一人で運ぶのは無理だが、浅瀬程度なら新人や14歳未満の見習いを連れていくこともあるそうだが。より強い魔物がいる下層には誰でも行けるわけでは無い。


それで閉鎖中にそこまで行ける冒険者をサポート役に雇うって寸法か。

閉鎖中は冒険者は休養に当ててると言っていたが、その位の無理を通せる力があるんだな。

このおっさんは。


「いっぱいですねー。凄いです!」


「あ?はっ…どうだかな」


何やら不満げな様子。

お世辞ってわけじゃないが、こういうのは聞き慣れてるのかな?


「ジグさん、終わったぜ」


他愛のない話を進めていると、処理を終えたのか冒険者達が戻ってきた。

サポート役とは言え、この人達も下層に滞在できる程度の力はあるんだな。


「おう。俺達は帰還するが、お前はどうする?ここから奥もこんな風に片づけて来たし、魔物はまだ少ないと思うが…」


ふむ…。

何かこのおっさんの化け物っぷりを見ちゃったし、…萎えた。

戦闘はほとんどできなかったが、肝心の【妖精の瞳】の性能は少しわかったし、今日はもう充分かな。


「それなら帰ります。ついて行っていいですか?」


「ああ。よし行くぞ」


時間はまだそれほど経っていないし、帰りも人だらけで戦闘は無さそうだが、もしかしたら魔法を見れるかもしれない。

一応あれも見たとは言えるが、何が何だかわからなかったしな…。


まぁ、あまり期待できないか?

セラ・【隠れ家】【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】・1枚

セリアーナ・【範囲識別】・【】・19枚

エレナ・【】・【緑の牙】・1枚

アレク・【】・【赤の盾】・2枚

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― 新着の感想 ―
[一言] 更新お疲れ様です。応援してます。
[一言] なにか不満そうだけど、処理の仕方が甘いとかかな? 直接的な攻撃力がないようだから戦術がこなれてくるまで苦労しただろうなー
感想一覧
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