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上手く短くまとめられなかった…。
出かけていた2人はどちらも昼過ぎに戻ってきた。
いくつか情報を得たそうだが、まずは俺の情報からって事で、セリアーナの部屋から【隠れ家】に入り、録画を見ることにした。
まぁ、見どころなんて精々戦闘シーン位で、そんなに大したものでは無いのだが。
「こいつはバルゴですね」
あの強い魔法使い。
バルゴって言うらしい。
知っているのか、アレク。
「誰?」
「指揮も戦闘もこなせる万能の傭兵として西部で知られた男でした。組んだことはありませんが、俺も西部にいた頃挨拶をしたことがあります。冒険者をしていたなら名前くらいは聞いてもおかしくないんですが…。教会に付いていたのか」
有名なやつだったのか。
いや、強いとは思ってたんだよね。
「教会ね…」
セリアーナが思わせぶりに呟いた。
何だろうか?
「まあいいわ。次はアレク、貴方は何かある?」
「残念ながら大したことは。まず昨日までに王都に来ている外国の冒険者で怪しい行動をしている者はいなかったようです。所在確認は下町も含めて今日にでも騎士団が行うでしょう。ギルドにいた冒険者連中にも聞いてみましたが、同様でした」
「綿密に計画を練っていたというわけでは無さそうね」
「そうなの?」
「ゼルキスはともかく、王都圏じゃダンジョンに潜らない冒険者はゴロツキ扱いだからな。そんなのがいたら噂位は聞こえるもんだ。大方他所で活動する冒険者を急遽集めたんだろうな」
「ほう…」
そもそも今回のは俺が出席を断っていれば空振りに終わっていたし、確かに行き当たりばったりな感じはする。
そんなのに嵌ってしまった俺って……。
「その予想は正しいわ。持ち帰った手紙の送り主はラウド商会の関係者よ。先の違法取引の主犯ね」
「…オレの名前出てたっけ?」
確か隠してくれていたはずだ。
アカメの登録だって日付を誤魔化してくれていたし。
「いいえ。狙いはそれ」
視線が俺の右足に向いている。
「【緋蜂の針】?」
右足をピコピコ動かしながら見せてみる。
「そう。ラウド商会はルード王国を始め西側のいくつもの国で商売をしているのだけれど、今回の事で会頭を始め相当な数が処刑されるそうよ」
「ぉぅ…」
まぁ、魔物避けである壁の下に穴空けるってのは、魔物の侵入口を作る様なものだし仕方ないのか?
「それは確定だけれど、唯一ひっくり返すことが出来るのが【断罪の長靴】で無罪を勝ち取ることよ。何と言っても神様が無罪と仰るんですもの。最近監視されているかもしれないって言っていたわね?【緋蜂の針】と【断罪の長靴】が同一の恩恵品かどうかの確認だったみたいね。それと、お前の調査よ。時間が足りなかったみたいで【浮き玉】と【緋蜂の針】の2つと【ミラの祝福】しか調べられていなかったみたいだけれど…」
なるほど。
【影の剣】については警戒されていなかったのか。
だから縛るだけで、監視も無かったのか。
「それでオレを攫ってどうするつもりだったの?」
「お前を引き込むつもりだったそうよ?」
「…?」
さすがに行き当たりばったり過ぎないか?
「どうもよく知らない者達からは、お前はただただ搾取されているように映っているのね。朝早くからダンジョンに潜らせ、【ミラの祝福】で貴族に恩を売らせ、その割に自由時間も与えず、綺麗な服も着させないってね」
よほど可笑しいのかクスクス笑いながら説明する。
「……ぇぇぇ」
むしろ相当好き勝手しているんだが…そう見えているのか。
いや、まぁでも、女の子ってそんな感じなのか?
「服や宝石、欲しい?」
「いらない」
「そうよね。で、結局お前が持っていなかったからそれは失敗に終わったんだけれど、その場合はお前を人質に私に使わせる予定だったそうよ。何もしなければ処刑されるからって随分なりふり構わないものね」
「俺って人質になんの?」
断る断らないは別としても、そこまで俺の値段って高いんだろうか?
「断ったら、自分に益をもたらす従者を切り捨てたと騒げば私の評価は下げられるし、どこかの人間にとっては都合がいいんじゃないかしら?」
「…なるほど?」
「お前が気にすることでは無いわ。ルード王国も災難ね。招待状に名前を書いただけで共犯にされそうなんですもの」
あ、あそこは関わっていないのね。
セラ・【隠れ家】【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】・11枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・19枚
エレナ・【】・【緑の牙】・1枚
アレク・【】・【赤の盾】・2枚




