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「やぁやぁ、お迎え御苦労!」
俺の居る方向はわかっても姿は見えていないようだったので、声をかけながら降りていく。
「おう。無事みたいだな。とりあえず馬車に入れ。お嬢様達がいる」
「はいよ」
夜中なのによく門が開いたなと思ったら、セリアーナも一緒だったのか。
わざわざ申し訳ないね。
しおらしくいくかな。
「ただいまー!」
扉を開け中へ入ると、中が明るい事に気づいた。
厚手のカーテンを引いていて気づかなかったが、天井に照明が付いている。
きっとお高い馬車だな
「うむ」
「ぬぉぅ……」
「何だその声は」
じーさんが乗ってたのか…。
「何をしているの?早く座りなさい」
あ、いた。
向かいの席にセリアーナとエレナが座っている。
こっち来いと手招きしているし、2人の方へ近づく。
「怪我は?」
「お腹殴られてたね。ポーションで治療したし痛みはもう無いけど、折れてたかも?」
「後で見せなさい。それで、何があったのかしら?」
何があったんだろうね?
自分でもわからん。
とりあえず目を覚ましてからの説明と、道中ちょこちょこ書き付けた地図を渡しておこう。
方向がわかってからは一直線に飛んできたけど、無いよりはましだろう。
【隠れ家】に放り込んでいる物もあるけれど…。
じーさんいるし、それは後だな。
「それだけ?何か収穫は無いの?」
ねーちゃん?
「【隠れ家】の事はお祖父様に話したわ。身を隠すことが出来るって。ごめんなさいね?」
なるほど。
それなら仕方ないか。
「…中は見ていないけど、手紙とか地図みたいなのはあるよ」
「戻ったらそれを全部出して頂戴。お祖父様の執務室で構いませんか?」
「うむ。この地図だけでも動かせるが、情報は多い方がいい。」
「はーい」
わざわざじーさんの部屋でって事は、【隠れ家】の説明はしてあるみたいだけど、倉庫みたいなものって言ってあるんだろうか?
多分これでいいと思うが…。
ふと窓から外を見ると時計塔が目に入った。
時間は2時過ぎ。
「ふぁぁあぁ…」
いかん。
時間を意識したら眠気が…。
「もう少し我慢しなさい」
俺いつも寝てるの9時位だよ?
◇
「んっん~…」
大きく伸びをする。
いや、ぐっすり寝た。
縛られたまま荷台に転がされ、その後もずっと緊張したままだったからな…。
疲れもするか。
「起きた?おはよう」
「おはよー」
一応怪我していたしって事で、エレナも【隠れ家】に入っていたが、先に起きていたようだ。
「朝食を用意するから、顔を洗ってきなさい」
ありがたや。
感謝しつつ洗面所に向かう。
顔を洗い寝癖を直し、ついでに鏡で殴られた痕を見るが、まだ少し内出血の痕がある。
ペシペシ触ってみるが痛みは無い。
これなら問題は無さそうだ。
リビングに戻ると食事が用意されている。
もう食事を終えたのか、エレナの前にはお茶がある。
「いただきます」
「はいどうぞ。食べながらでいいから聞きなさい」
夜中の事かな?
「私も君と一緒に中に入ったから詳細はわからないわ。でも、持ち帰った手紙の中に、外国の貴族や商会の名前があったそうよ。お嬢様達は朝から騎士団本部へ出向いているわ。アレクは冒険者ギルドで情報収集ね」
ほうほう。
「他に君が気づいたこととかはある?」
「ルトルから領都に来る時に聖貨の回収部隊に紛れ込んでたんだけどもね」
「ええ。そう言っていたわね」
「その時の部隊の一人がいたよ」
そういやあいつらは結局どうなったんだろうか?
また王都に入り込んでるのかな?
「…そう。それはアレで見れる?」
モニターの方を見ながら聞いてくる。
「うん。俺が目を覚ましてからのになるけれど、記録してるよ。見る?」
「いえ、2人が戻ってからにしましょう」
少し迷っていたが、そう決めたようだ。
一度で済むしその方がいいか。
いつ頃帰って来るかな?
セラ・【隠れ家】【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】・11枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・19枚
エレナ・【】・【緑の牙】・1枚
アレク・【】・【赤の盾】・2枚




