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「うわーぉ…」
殴られたであろう、右の脇腹を見るが、見事に紫色だ。
確か肝臓がこの辺だったし、やっぱ殴られて気を失ったんだな。
これってどうやったらいいんだろう。
万が一に備えて、ちょっといいポーションは冷蔵庫に揃えてあるけれど…。
かけるだけでいいんだろうか?
「冷たっ⁉」
ストックはあるし、とりあえずバシャっとやってみたのだが、何だこの冷たさ。
冷蔵庫に入れていたから、とかそんなんじゃない。
注射の時にする、アルコール消毒と似た感じだが、冷たさがその比じゃない。
…何かが気化してるんだろうか?
「ラギュオラの牙」に魔法で撃ち落とされた時は、冷たさとか感じる余裕なかったし、魔人の時は寝てたらしいし…わからん。
ちゃんと効いてるよな?
不安になったので、恐る恐る紫色のままの患部を指で触れてみる。
「…ぉぉぅ」
まだ少し痛みが残っているが、骨折は治っているようだ。
「ふっ」
念を入れて【祈り】も発動。
完治とまでは行かないが怪我はこれで十分だろう。
後は…この状況をどうするかだ。
とりあえずモニターをつけて、外の監視だ!
キュルル~。
腹が鳴った。
ついでに腹ごしらえだ!
◇
「ふむ…」
【隠れ家】に入ってかれこれ1時間ほど経つ。
保存食として用意していたクッキーと紅茶を味わいつつ、モニターの監視をしている。
俺が放り込まれていたのは幌付きの荷馬車で、周りに護衛が4人いてそれぞれ馬に乗っている。
結構な速度で走り続けているけどどこまで行くんだろうか?
もうすっかり夜になっている。
俺が気を失っていたのは1~2時間くらいだと思うが、このペースだと王都圏から出ているはずだ。
途中一度だけ魔物の襲撃があり、戦闘になっていた。
まぁ、一蹴していたのだが。
こいつら強いわ。
そして、1人だけ魔法を使う男がいた。
一目見た時から何となく見覚えがあった気がしたんだが、魔法を使う姿を見て何かがピンと来て、録画を見返したことで判明した。
俺がルトルの街から出る時に潜り込んだ、聖貨回収部隊の魔法使いだ。
他の4人は見憶えないが、教会絡みなんだろうか?
聞いた話だが、聖貨の回収は教会子飼いのエリート冒険者が行うらしい。
誘拐なんて汚れ仕事しているのは左遷でもされたんだろうか?
…俺のせいかな?
ごめんね?
と、心の中で謝りながら、モニターを見続けていると、灯りが映った。
村のようだがそこが目的地らしい。
ちょっとした小細工はしてあるが、上手くいくだろうか?
まぁ、いままでセリアーナ以外にはバレていないし、上手くいかなくてもこの中に居れば大丈夫か。
◇
一行は村に入ったが中を通り抜け、村はずれの森のすぐ側にある大きな建物へ入って行った。
屋敷というには少々無骨だ。
見張りがいるし、使われてはいるんだろうが…。
「おいっ、いねぇぞ‼」
俺を運び出そうと馬車の荷台に乗り込んだ男が、俺がいないことに気づき声を上げる。
中に何が入ってるかわからないが、カモフラージュの為だろうか?
俺が入れられていたのと同じような袋がいくつもあったが、何か目印でもあったんだろうか?
それを聞き、二人三人とやって来るが、【隠れ家】は気づかれていない。
「…これを見ろ」
更にやって来たもう一人が、荷台の隅に置かれた底に穴の空いた袋と縛るのに使ったロープを見つけた。
「馬鹿な…刃物なんて持っていなかったぞ、魔法も使っちゃいねぇ」
服脱がせたのこいつか?
顔憶えたぞ。
「俺達の情報に無い加護を持っていたのかもしれん…馬を替えよう。捕まえに行くぞ」
「追えるのか⁉」
「全員の警戒が外れたのは戦闘があった時だけだ。あの場所なら飛ばせばすぐだ」
「そうか!あの辺りなら逃げ込む場所は無い。急ごう!」
「ああ。おいっ!」
方針が決まったのか、近くに寄って来ていた見張りの男を呼んだ。
「はっ、はい」
緊張しているし、上下関係でもあるんだろうか?
「俺達は捕まえに行くから、お前は中の連中に伝えておいてくれ。行くぞっ!」
そう言うなり、馬が繋がれた方へ向かいすぐに乗り、駆け出して行った。
そして言付かった男も建物の中に入って行った。
馬車の周りには誰もいない。
その事を確認し、【隠れ家】を出た。
「ふひひ…!」
こうも上手くいくと気分がいいな!
セラ・【隠れ家】【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】・7枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・19枚
エレナ・【】・【緑の牙】・1枚
アレク・【】・【赤の盾】・2枚




