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メサリアの第1王妃には子供が3人いる。
第1王子・第1王女・そして第4王子のリーゼルだ。
第1王妃から王太子である第1王子が生まれ、その第1王子自身もまた優秀で、後継として何の不安も無く、メサリア王国は安泰。
それが各国の見方だ。
ここ数代の王族の結婚相手は外国の貴族が多かったそうだが、後継に不安のない今代は国内の貴族と結婚させ、今一度王族・貴族の結びつきを強める方針らしい。
第1王子は既に結婚を済ませ、公表はまだだがセリアーナとリーゼルの婚約も、本人達の仲が良いというのもあるがその一環だとか。
そして、リーゼルの姉の第1王女エリーシャも国内の貴族と既に婚約を済ませ来春結婚予定。
おめでたいことだ。
ただそのおめでたい話に待ったをかける者がいる。
数年前帝国に割と平和裏に併合された国の元王女で現公女が、エリーシャのお相手の男性に惚れているそうで、帝国経由で外交を絡めて何かと口を挟んで来るらしい。
もっとも聞く気は無いそうだが。
では、一見ただの横恋慕に何故帝国が関わっているのかと言うと、そのお相手であるサリオン侯爵家と領地であるマーセナル領が西側にとって重要だからだ。
この世界には他にも大陸がある。
ただ、あまり交流は無い。
何故なら、海には魔物がいるから。
前世のサメ映画どころではなく、クラーケンやリヴァイアサンと言ったレベルのがマジでいるらしい。
それを聞いた時、俺は船には乗るまいとお月さまに誓った。
海流の関係からか、わずかながらも魔物が寄り付かないルートがあり、そこを通ることで他大陸との交易などを行っているそうだが、この大陸の2つの家のみ、そんなことお構い無しにそのヤベー魔物がうろつく海を突っ切って行く。
その1つが、このメサリア王国の南端に位置し、海に面した広い領地を持つサリオン侯爵家だ。
サリオン家の武装船団。
物語の題材になる程有名で、同じく海に面した広大な領土を抱え込む帝国としては、喉から手が出るほど欲しい存在だ。
何とか繋がりを持ちたい様で、たとえ側室でもと、その公女を推している。
そのお相手、サリオン家の嫡男エドガー・サリオン・マーセナルは普段領地にいるが、夏の2月は建国記念日的な祝日があり、この時期は王都に来る。
そしてそれを狙って、公女も王都へやって来る。
無視することもできないが、かといって要求に応じるわけもなく、毎年適当に相手をしているが、来春結婚という事もあり今年はエリーシャが直接出張り追っ払おうとなったらしい。
エドガーは第1王子と同い年であり、また親友でもある。
その縁もあってリーゼルとも親しく、今回2人の為に俺に依頼を出した、と学院から王宮へ向かう馬車の中で説明された。
◇
さて、そんなわけで俺は今エリーシャ姫の部屋にいる。
王子が同行するとは言え、仮にも一国のお姫様の部屋へ行くっていうのに話の早い事だ。
昨夜今日の予定を聞かれたが、どう答えようとこうなるのは決まっていたのだろう。
そして、挨拶もそこそこに施療を開始することになった。
彼女のベッドの上で行っているが、流石は王族の寝具。
程よい反発感にやたら滑らかな肌触り。
俺が今使っているのもかなり良い物だと思うが、それ以上だ。
前世で俺は結構高性能なマットレスを使っていたが、それよりもいいんじゃなかろうか?
いくら位なんだろう…?
いかんいかん。
意識を膝の上に乗っかっている頭に戻す。
膝枕をしているのだが、両側を彼女のメイドさんが、そしてすぐ側のテーブルでセリアーナとリーゼルがお茶をしながら見ている。
もちろんエレナやリーゼルに付いている2人も一緒だ。
これだけの人数に見られながらっていうのも落ち着かないが、顔と髪だけの簡単なものだし、失敗するようなことは無いだろうが、それでもお姫様が相手だ。
しっかり集中してやらなければ。
なんでさっきから俺の尻を揉んでいるのかも気になるが、集中集中。
セラ・【隠れ家】【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】・6枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・19枚
エレナ・【】・【緑の牙】・0枚
アレク・【】・【赤の盾】・1枚




