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「ぇぇぇ……」
【祈り】は全身が薄っすらと光るが、これは少し違う。
手で触れた部分が光っている。
ならこれは【祈り】じゃ無い。
ってことは、これが【ミラの祝福】か!
鏡を見るとまだ光っている。
…どうなるんだ?これ。
てか、なんで顔洗って寝癖直すくらいで発動するんだ?
そう思いながら眺めていると徐々に弱まり最後には消えた。
30秒くらいだったろうか?
変わったところは…。
「ぉぉ…」
寝癖が直っている。
…さすがにこれだけってことは無いよな?
髪は寝癖が直っているが…。
「あ」
毛先のうねりや、少し外に膨らんでいたのが収まっている。
やったことは無いが、ストレート・パーマをするとこんな感じになるんじゃなかろうか?
髪の毛の変化はわかったが、なら顔はどこか変わったんだろうか?
顔を近づけ鏡をじっと見る。
水を弾くつるつるの玉のお肌。
いつも通りだな!
マジでこれだけなんだろうか?
同じく光っていた手も見てみるが変わりはない。
以前は赤切れやマメささくれ等あったが、最近は水仕事も力仕事もしないし【祈り】で回復していることもあり、すっかり柔らかい手になっている。
「むぅ…」
美の女神の祝福ってくらいだし、もっと何か…こう…ある気がするんだ。
便利っちゃ便利だけど、ヘア・アイロンだけってことは無いはずだ。
しっかり検証せねば。
-ぐぅぅ~-
まずは朝食だ!
◇
食ってきたぜ。
メニューは、パンにオムレツにスープとサラダ、イチゴだった。
中々充実したメニューである。
王都は街壁の外に農場や牧場が広がり、各貴族が各々の派閥毎に出資しており、そこで採れたものを屋敷に運ばせている。
貴族限定というのもあるかもしれないが、常に新鮮な食材が揃っている。
この世界の食事情…侮れない。
食事中も考えていたんだが、この加護。
エステ的な物じゃなかろうか?
整形、とまで行くとちょっと強力過ぎる気がするが、髪や肌を弄るくらいならありえそうなんだ。
そうあたりをつけ、試しに意識しながら右手を左手に当ててみると、先程と同じように光り始めた。
うむ。
正解っぽい。
てことで、屋敷の使用人に使ってみて検証を進めようと思う。
以前【祈り】の検証で肌荒れやらちょっとしたものは回復しているが、少し方向性が違うし副作用も多分無いだろうし、問題無いはずだ。
セリアーナも恩恵品や戦闘用じゃないし、屋敷で試してもいいと言っていた。
善は急げ!
じーさんの所へ許可をもらいに行こう。
◇
「ふむ。確かに髪型が変わっているな…」
じーさんの執務室へ許可をもらいに行くと、加護の説明を求められた。
そりゃそうかってことで説明をしていたのだが、どうやら俺の髪形に気づいたらしい。
流石元軍人。
人の変化によく気付く。
「わかった。危険が無いのなら許可しよう。そうだな…まずは私に使って見せよ」
「…まだどんな効果があるかわからないよ?」
「構わん」
大丈夫とは思うが念の為注意すると、一言で切り返された。
そして左手をずいっと出してくる。
こっちに使えってことか。
「じゃ、やるよ」
まぁ、悪いようにはならんだろう。
じーさんの左手に両手をかざす。
一線を退いたとはいえ、今も訓練場や庭で剣を振っている為か、日焼けしゴツゴツと節くれだった手だ。
あちらこちらに傷痕もあるし、これなら使用人よりも変化がわかりやすい。
「ほっ!」
治療というよりかは、マッサージを思い浮かべながら気合を入れる。
それに併せ、じーさんの左手を包むように両手から光が出る。
「どんな感じ?」
「ふむぅ。何やら暖かい様なむず痒い様な…、まあ悪いものでは無さそうだが…」
血行でも良くなってるんだろうか?
そのまま左手をじっと見ていると、日焼けした肌がわずかに白くなっている。
そして、少しずつだが傷痕が薄くなっていっていることに気づいた。
セラ・【隠れ家】【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・16枚
エレナ・【】・【緑の牙】・0枚
アレク・【】・【赤の盾】・1枚




