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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
17章・ようやくダンジョン探索再開!

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592 オーギュスト・side 1

 セラ殿を送り出して、そして私自身も本陣正面の戦場に入って指揮を執りしばらく経った頃。

 ようやく待ち望んだ目標が姿を現した様だ。

 真正面から直属の配下を引き連れた、大型のオオカミがこちらの様子を窺っている。


 セラ殿がいなくても一目でわかる、他の魔物との格の違い。

 さらに、付き従うオオカミもそうで、恐らく魔王種の影響を受けているのだろうが、それを抜きにしても強力な魔物のはずだ。


「前を空けろ。完了したら、適当に突いてこちらに釣り出すんだ。アレは私が引き受ける」


 群れの奥に控えるひと際大きな体のオオカミを指した。

 アレが魔王種で、あの群れのボスだろう。


「はっ!」


 アレは生半可な戦力では足止めにもならないだろう……この寄せ集めの冒険者たちでは無理だな。

 命じた部下たちもそれを理解しているようで、すぐさま冒険者たちを退避させている。

 同時に、万が一仕留めそこなっても、そのまま街まで抜けないように後ろで隊列を組んでいる。

 右を厚く代わりに左ががら空きなのは、ジグハルト殿がいる北の戦場に流すためか。


「やれ!」


 冒険者たちの退避が完了したところで、あの群れを釣りだすために騎士たちが魔法を撃ち込もうと、前に進み出た。

 だが、まだ何もせず前に出ただけでボスを先頭に、一斉に駆けだした。

 その行動に少々違和感を感じるが、釣り出す事が目的だし、成功したといえば成功だ……まあいい。

 まずは目の前の魔物だ。


「お願いします!」


「強いです! お気を付けて」


 釣り役の騎士たちが、すれ違いざまに口々にそう言ってきた。

 背を向けていても強さが伝わるほどなのだろう。

 だが、問題無い。


 腰に差した剣を抜くと、馬から降りて前に立つ。


「ふっ……」


【心殻】の加護を発動し、まずは剣全体に行きわたらせる。

 徐々に範囲を狭めていき片側のみへ。

 そして、最後は刃先にのみ集中させて完成だ。


 本来【心殻】の加護は、装備全体に行きわたらせて強化するものだが、この剣は純魔鋼製で、切れ味はもちろん強度に何よりも優れている。

 魔力を通す事で強化すれば、まず折れることは無い。

 故に切れ味のみに集中させることが出来る。


 群れの数は12……先頭のボスを含めて、接触するのは……5体か。

 大きさも速さも並のオオカミよりはるかに上だが、問題無いな。


 剣を腰だめに構えて、間合いに入るのを待ち続けて……。


「ふっ!」


 入る直前にボスの足元を魔法で弾け飛ばすことで、体勢を大きく崩した。

 そして……。


「はあっ!」


 ボスの首を刎ね、さらに、すぐ後ろを走る群れを1体2体と切り伏せていく。

 4体目を倒したところで、状況を把握したのか残りの群れは一気に散らばろうとしたが、それは後ろの隊員たちが許さずに、こちらも一気に仕留めていった。

 周囲を見渡すが、追随する群れは無し。


 一息つくと、右手の中に硬い感触が生まれた。

 聖貨だ。


 もう自分の実力では、並の魔物が相手では聖貨を得られる対象になることは無い。

 魔境の魔物でも、浅瀬では無くてもっと奥に生息する魔物か、それこそ魔王種くらいだ。

 つまり、今倒したオオカミは魔王種で間違いは無い。


「考えすぎだったか……?」


 襲撃の時間帯を本来魔物が得意とする夜から前倒しにして、こちらの準備が整う前にしてきたり主力の投入を余力があるうちにしてきたりと、随分と知恵が回るだけに、単純に釣り出され尚且つ先頭を駆けるなどと、およそ思慮深いとは思えないような行動をとっただけに、違和感を感じていたが……気のせいだったか。


「団長、お見事です!」


 後ろへ逸れたオオカミたちの討伐を終えた部下たちが戻ってきた。

 被害は無し……上等だ。


「ああ。私が倒したのが魔王種に違いない。まずは今いる魔物を一掃して、それから他所の……!? なんだっ!?」


 時折単発ずつ聞こえていた北からの爆音が、連続で鳴り響いた。

 それも牽制用の弱い魔法では無くて、高威力のものだ。

 ジグハルト殿とはいえ、あれだけの威力の魔法を連発となると……ああ、そう言えばセラ殿から恩恵品を借りたと言っていたな。


 だが、今も続いているという事は戦闘が続いているという事だ。

 北の戦場に現れる魔物の数が減って、弱い魔物ばかりになっていると報告にあったが……あちらにも出たのか?


「魔王種でしょうか……?」


「恐らくな。……それにまだ続くかもしれん。お前は本陣に戻り、兵を送り出す用意をしておけ」


 北よりもこちらの方が走りやすいだろうし、突破を図るならこちらを選ぶはずだ。

 まさかそんなところで博打を打つとは思えないからな……。

 今戦っている北も、私が倒した分も囮……そう考えた方がいいだろう。


「それと南への伝令もだ」


「はっ!」


 増援と各所への伝令の手配の指示を出した。

 周りを見ると、一旦下がらせていた冒険者たちが再び前に出てきて、同じく魔王種の突撃で空いた隙間を埋める様に、魔物たちも森から新たに湧いて出ている。

 まだまだ戦闘は続きそうだな。

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】・15枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・33枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・9枚

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― 新着の感想 ―
[一言] 流石つおい
[一言] ドキッ!魔王種だらけの討伐大会・・・聖貨ぽろりもあるよ
[一言] この人もつっよ
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