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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
17章・ようやくダンジョン探索再開!

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 北で起きた光と爆発。

 なんだも何も、ジグハルトの魔法に決まっている。

 思わぬ事態に狼狽えてしまっていたが、よくよく考えるとジグハルトを始めとした3人の事を俺が心配するのも烏滸がましいってもんだ。


「今のジグさんだね……向こうはもう任せちゃおう。オレは1度本陣に顔を出して、それからこっちの戦場に入るよ」


 お隣も大変そうだったけれど、とりあえず今立て直す必要があるのはここだ。

 ポーションを補充したら、俺もここでもうひと働きした方が良さそうだな。


「わかった……。周りの連中にも伝えておけばいいんだな?」


 中々気の利くあんちゃんだ。


「うん。お願いね」


 よし、それじゃー急いで戻るか!


 そう決め、【浮き玉】を本陣に向けて出発させた。

 丁度入れ違いになる様に、向こう側からも正面と北の両方に向かって部隊が出発している。

 本陣はしっかり機能しているのかな?


 ◇


 訓練場に戻って来たはいいが……随分物々しくなっている。

 俺がここを発った時は、まだ街から荷物を運んで来たり、あるいは運んで行ったりする馬車が沢山あったが、今は1台も無くその代わりに、戦場から下がってきた怪我人が治療を受けている。

 冒険者、騎士団の兵問わずボロボロだ。

 そして、端の方に寄せられて横たわったまま動かないのは……死体かな?

 何人もいるが、まぁ……しゃーないのか。

 悼むのは後にして、状況を確認しよう。


「今どーなってんの!?」


 俺は本陣に入るなり、部屋中に聞こえるような大声でそう言った。

 改めて中を見ると、人数も大分減っているな。

 援軍を出したりしていたけれど、外の様子からもうあまり余裕は無いとか……?

 にもかかわらず、俺の入室になにやらホッとした様な顔を見せている。


「お疲れ様です、副長。今はこの様になっています……」


 1人が俺からポーチを受け取り、ポーション類の補充に行き、もう1人がすぐに色々書き込まれた地図を用意して説明を始めた。

 前線の戦力や薬品類の在庫数に、予備戦力。

 さらに、ここまで下がってきた負傷者の数等々をざっくりとだが記してある。


 なんというか……現場での応急処置で凌げる怪我と、ここまで下がって本格的な処置が必要な怪我を負った者と、二極化している。

 やはり寄せ集めが多いからか、正面の戦場を担当している冒険者に重傷者が多いみたいだ。

 オーギュストの指揮力云々よりも単純に冒険者の力量の問題なのかも。


 そして、倒した魔物についてだが……。


「中央で団長が1体を倒して、今はその後現れたもう1体を追って、テレサ様と共に北へ向かっています。それと、ジグハルト殿が焼き切ってしまい遺骸が残らなかったので判別は出来ませんが、北の戦場でも魔王種が現れたようです。どうやら複数の魔王種を束ねているようですね」


「みたいだね。南でも1体倒したよ」


「ああ……やはり南にも……」


 どうやら複数の魔王種がいた事から、南の戦場にも魔王種が現れているかもしれないと考えていたそうだ。

 だが、一応戦力的には南は揃っているし、俺もいる事から援軍をどうするかで彼等は悩んでいた。

 まぁ、予備戦力だって限りはあるしな。

 だから、俺がやってきた事で南の状況がわかるとホッとしたような顔をしていたんだろう。


 んで、オーギュストたちだが、多少の被害が増えようとも、とにかく魔王種の討伐を優先する考えらしい。

 魔王種と対峙しながら、強化されたごちゃ混ぜの魔物たちの相手をするよりも、その方が最終的には被害が抑えられるって判断だ。


「まぁ、そこら辺の事は3人に任せちゃおう……。何かオレへの指示とか聞いてる?」


「副長の判断に任せる……とだけですが……」


 ふむ……自分達だけで大丈夫って事か。

 まぁ、俺がこっちに戻って来るかわからないってのもあったかもしれないが、それならそれでさっき考えた通りに動くかな。


「なるほど。んじゃ、オレは正面に入るね。南の2つの方は安定してたし、余裕もあるからね」


「はい。お気を付けて」


「副長、こちらをどうぞ」


「うん。じゃ、こっちはよろしく」


 ポーションを補充したポーチを受け取ると、再度正面の戦場に向かって飛び立った。


 ◇


 ピーっ! と喧騒の中でも聞き取れる笛の音。

 そちらに向かうと、いくつかのパーティーが合流して20人ほどの集団が出来上がっている。

 そして、彼等の前には魔物の死体が転がっていた。

 一戦闘を終えたんだろう。


「お待たせ!」


「済まん!」


 その彼等の下に降りていくと、1人が横たわり治療を受けていた。

 防具ごと肩から背中にかけて大きく裂かれている。

 俺が渡したポーションをその彼に飲ませていたが、彼はこのままリタイアかな?


「どんな感じ?」


「悪くない。魔物も突破じゃなくて俺らを狙うようになって来たからな。戦闘に専念できる。それに……後少しだろう?」


「そだね。他もそんな感じになってるよ」


 少し前からだが、魔物の行動に変化が起きている。

 突破を図ろうとする動きは一応しているものの、すぐに退いては森の手前でウロウロと……。

 リーダー役がいるわけでも無いが、撤退の機を探っている感じだ。

 統制が崩れかけてきているんだろう。

 魔王種が討伐されたら即退くはずだ。

 

 あともう少し……そう気合いを入れようとしたところ……。


「お?」


 何やら北でドカンと爆発が起きた。

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】・15枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・33枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・9枚

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― 新着の感想 ―
[一言] むむ? その音はジグさんの出した音ではないな?
[良い点] 更新乙い [一言] さあ、次は追撃戦かな…… 戦果の稼ぎ時とか言われるあれ
[一言] 皆が大変な状況だと、ジグさんの頼もしさが際立つなぁ。 元気に爆発してくれているのが心強いこと。
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