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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
17章・ようやくダンジョン探索再開!

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 戦場南端。


 そこを任されている戦力の中心クランのリーダーのおっさん……そういや、名前知らないな。

 俺が離れている間に彼も戦闘に参加していたのか、手にした斧にはなんか色んなものが付着している。

 ばっちぃ。

 魔物の種類や数、攻め方が変化してきた事を感じ取ったんだろう。

 彼は周囲のメンバーに、その事についての指示を飛ばしている。


「ちょいと! リーダー!」


「あ? あんたか……どうした?」


 とりあえず適当に呼んだが伝わったようで、こちらを振り向いた。

 斧だけじゃなくて、鎧にも色々付いているが……傷は無いようだ。


「そろそろ魔物のボスも出てきそうだよ。北はジグさんが制圧しているから、姿を見せるなら南側になりそうだって。本命の本陣正面の戦場には団長が入ったよ。ただ、こっち側を抜こうとして来るかも知れないから、気を付けてって」


「わかった。おい! 聞いたな!」


 リーダーに本陣からの伝言と、俺もこっち側に入る事を伝えた。

 本陣からの情報だと、周りのメンバーもしっかりと聞いていたようで、すぐに返事をして行動を開始した。

 ここはこのクランだけってわけじゃ無いが、ちゃんとその連中にも情報を伝えたりと、実にスムーズに事が運んでいる。

 頼もしいね。


 さて、周りは動いているがリーダーはここに留まったままだ。

 どうやら俺に話があるらしい。

 なにやら真剣な表情だ。


「副長、あんた索敵が出来るよな?」


「うん? まぁ、そうそう見逃さないけど、偵察でもして来る?」


「いや、戦場を見渡せるように真ん中にいてくれ。あんたがよくやっている、ポーションの配布も俺たちの方で引き受ける。それよりも、あんたが処理できるんならそのまま任せるが、もし抜かれたり、俺たちじゃ倒せねぇってのが現れた時は他所への救援を頼む」


「りょーかい」


 中々慎重だな。


 もしかしたらこのおっさん、魔王種とかそれに近い強さのと戦闘をしたことがあるのかもしれないな。

 俺は彼に答えると、すぐに上空に移動した。


 ◇


 上空に移って、下の戦況を見守ることしばし。

 確かに魔物の様子が先程までとは大分違って来ている。

 妖魔種のオークや魔獣種のオオシカだったりオオイノシシ系統の大型でも比較的対処しやすい魔物が中心だったが、今ではオオカミだったりゴブリンだったりと、面倒なのがワラワラ出てきている。


 単純な強さなら前者の方が上だが、こいつらの特徴は数が多いこと。

 そして、種族を問わずに連携をとって来る事だ。

 1体1体はそこまで強くないのに、これだけ数が多いと腕利きでも手こずる。


 実際、下でも【祈り】を発動しているにもかかわらず、負傷者が増えてきた。

 ポーションを始め、薬品類の在庫はあるし破綻はしていないが……。


 北と中央の戦場はまだまだ余裕があるし、お隣のテレサの方も変わらない。

 押し込まれているのはここだけか。

 戦力的にはむしろここは高い方なのにコレって事は……こっちが本命なのかな?


「むぅ……ぬ? いかん!」


 腕を組みながら下の戦況を眺めていると、あるパーティーがまずいことになっていた。

 突破されるんじゃなくて、崩壊しかかっている。

 2組のパーティー間での魔物の受け渡しをミスったようで、横を突かれた盾役がオオカミに引き倒された。

 隙と見たのか、他の魔物もそこを目指している。

 片方が救援に向かっているが、間に合いそうもない。


 それなら……!


「ふらっしゅ!」


 傘を前に突き出しながら急降下して、その魔物の群れ目がけて魔法を放った。


「うおっ!?」


 なんか人間の声も聞こえたが、今は気にしている暇は無い。

【影の剣】も発動して、アカメたちと一気に殲滅した。

 個体の強さ自体がそこまでじゃないのが幸いした。

【緋蜂の針】でも一撃で仕留められるし、アカメはもちろんシロジタやミツメでも、単独で倒し切れている。


「姫さんか……助かったぜ」


 一息ついていると、崩壊しかけていたパーティーの1人が、肩で息をしながら話しかけてきた。

 上から見ていて俺も思ったが、彼も今のは結構ヤバいと思ったんだろうな……。


「うん。そっちのにーさんは大丈夫そう?」


 俺も急いで救援に入ったが、魔物にたかられていたからな……。


「軽傷とは言えないな……。一旦あいつは後ろに下げる必要がある。……なあ、あんたあの弓は使えないのか?」


【ダンレムの糸】の事か。

 確かにドカンと纏めて吹き飛ばせたら、戦況は一気にこちらに有利になるだろうが……。


「これだけ散らばっちゃうと難しいね。仲間を巻き込まないような位置からだと、ほとんど倒せないだろうし……」


 戦場の横から撃つと、冒険者も絶対どこかで巻き込むし、かと言って前に撃ってもたかが知れている。

 あの矢は威力も距離も凄いけれど、幅はそこまで無いんだ。

 この混戦になった時点で、封じられたも同然だ。


 それを聞いた彼は、苦々しい顔をしている。

 そろそろ厳しいと感じているんだろう。


「わかった。すぐ戻るからそれまでここを……なんだ?」


 負傷した盾役を仲間が背負ったのを確認して下がろうとした彼は、何かに気付いたのか顔を上げて、遠くを見た。

 この方向は……南かな?

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】・15枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・33枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・9枚

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― 新着の感想 ―
[一言] 本命来たか?
[一言] そういえば普通に魔王種のオオカミがボスだと思ってたけど、前回ボスの熊さんは魔王種じゃなかったから今回も違うかもな。 いまさらだが【赤の剣】は【足環】でつかめばセラでも使えるな 振り回すのは…
[一言] 小型のボウガンみたいなちょい扱い易い上からばら撒ける支援遠距離攻撃手段も欲しくなるな。
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