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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
17章・ようやくダンジョン探索再開!

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 リーゼルの執務室にやって来てからしばらく経って、俺も自分のやるべきことを見つけて、そちらに集中していた。


 テーブルに広げられている書類をちょいちょい失敬しているが、東にいるボスオオカミ君の影響は、アリオスの街手前までの様だ。

 それより西にある街からの報告も届いているが、そちらでは魔物の様子に変化は無いらしい。

 時折訪れる、他所の街や村の冒険者か兵士か……伝令でこの街まで来た者が、そんな感じの事を部屋の入口で報告しては、すぐに引き返していっている。

 実に忙しそうだ。


 俺が伝令役で一気に飛んでいけば、もっと詳しくわかるんだろうが……。

 確かに緊急事態である事に間違いは無いが、既存の組織だけでも十分対処できる範囲なんだよな。

 俺抜きでも問題無いのに、便利だからって何でもかんでも俺がやっちゃうと、経験を積めないままになってしまう。

 だが、それでも万が一って事もあるし、俺は屋敷でベストコンディションを保っている事が重要だ。


 向こうの人が集まっている方から、真剣な声色での話が漏れ聞こえる。

 そしてこちらでは、シュッシュっとリズム良く爪にやすりをかける音が響いている。

 皆が襲撃に備えて忙しく働いているように、俺も真剣だ。


「ぬ」


 そこへ、仕事がひと段落したのか、セリアーナがエレナを伴ってこちらにやって来た。

 少しお疲れ気味だな。

 俺もここから時折見ていたが、冒険者ギルドの職員を始め、入れ代わり立ち代わり来る者たちと何か協議を続けていたからな……。


「おつかれさまー」


「……お前……良い身分ね」


 セリアーナは俺を見ると、呆れた様な声でそう言った。

 なんかもう……これは毎度の事だな。


「お疲れ様。代わりましょうか?」


「いえ、そのままで構わないわ。貴方も昨夜からずっと詰めているのでしょう?」


 フィオーラと言葉を交わすと、エレナと共にソファーに座った。

 そして、再び呆れた様な視線をこちらへ……。


 まぁ……今の俺の恰好はな。

 フィオーラの膝枕で、テレサに手や足の爪の手入れを任せている。

 この割とシリアスな空気が漂うリーゼルの執務室で、ここだけ明らかに空気が違うんだ。

 いや……俺の所為なんだけどさ。


 でも、この部屋で俺に求められている役割ってこれなんだよ。

 来訪者に余裕を見せつつ、フィオーラの回復だ。


 ぐぬぬ……と、セリアーナの視線を受け止めていると、今まで資料と地図を見比べていたジグハルトが、くつくつ笑いながら口を開いた。


「寝転がっていて役に立つんだから、面白いよな。青い顔をして部屋に入ってきた奴が、コイツを見た瞬間に急に間の抜けた表情を浮かべるんだ……」


 それだけ言うと、また笑っている。


 執務室は、入ってすぐの場所は何も無くて、左側は資料などが収められた書棚が並び、右側にリーゼルを始め皆の席が用意されている。

 この部屋に入った人間は、大抵右側を向くようになっているんだ。

 そして、この応接用のスペースは執務室の右奥にある。

 部屋に入って早々に、寝転がる俺の姿が目に入るんだろうな。


 その事はセリアーナだってわかっている。

 わかってはいるが……自分が忙しいのに、同じ部屋で俺がここまであからさまに寛いでいるのが面白く無いんだろう。

 フンっと鼻を鳴らして、腕を組みソファーに深く身を沈めた。


 ◇


 しばらく経つとセリアーナも機嫌を直したのか、お茶を飲みながらテレサやエレナ、さらにフィオーラも交ざってお喋りをしている。

 俺はセリアーナたちには加わらずに、本棚から持って来た資料などを読みつつ時間を潰していた。


 読み終えた資料を本棚に戻しに行った帰りに、ふと窓の外を見ると、もう日も暮れかけてきている。

 普段なら仕事は終了になっている時間だ。

 だが、緊急事態なだけあって、この時間になっても相変わらず訪問者が途切れることは無く、部屋は騒がしいままだ。


「これって夜まで続くのかな?」


「いや、そろそろ途切れるだろう。いくら緊急事態とはいえ、魔物の襲撃に備えているのに暗い中で街の外に行くやつはいねぇよ。後は騎士団の本部や冒険者ギルドでの調整になるはずだ」


「あー……そう言えば、お客さんの雰囲気がちょっと変わって来てるね」


 今もいる訪問者の服を見ると、仕立ての良い落ち着いた物だ。

 領都内の比較的裕福な者なんだろう。

 明るいうちは多かった、冒険者風の姿も何時の間にやら見なくなっていた。

 街の外に出るような仕事はもう終わりなんだろう。

 それこそ緊急事態になれば、お構いなしに出すだろうが、それは騎士団の役割だ。


 この部屋の仕事ってのは言ってみれば領主の仕事だ。

 ジグハルトが言うように、街の中での問題ならわざわざリーゼルが出なくても、十分対処できるだろう。

 それなら、そろそろお開きになるかな……と思ったのだが。


「そうはならなそうよ?」


 今までエレナ達とのお喋りに興じていたセリアーナが、そう口にした。

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】・15枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・33枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・9枚

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― 新着の感想 ―
初めの頃はいいテンポだったが、徐々にダラダラになってしまい、展開が遅い。 ちょっと読むの辛いな。
[気になる点] 前話でテレサが持ってた箱の中身は愛用してるセラの爪とかのお手入れセットだったのかな?( ˘ω˘)
[一言] 何も知らない他国の者が初めて見たら、セラこそが屋敷の主人とか領主の嫡子(公太女)みたいに見えますよね。セリアーナは家庭教師のお姉さん。 実際にはその逆なんですけどね!
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