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【赤の剣】……割かし真っ当な武器で尚且つ強いという、俺のウィークポイントを補う、正に望んだ物ではあったのだが……。
そのウィークポイントが原因で、まともに扱えそうにない。
「テレサ、その剣はあなたが使うといいわ」
「はい。姫、よろしいでしょうか?」
「うん」
俺がぐぬぬ……と剣を睨んでいる間に、セリアーナは処遇を決めた様だ。
テレサが自分が所持しても構わないか? と聞いてくるが……うん、問題無いだろう。
両手持ちの大剣だし女性のテレサが振り回せるだろうか? と一瞬思ったが、彼女は俺を片腕で簡単に抱え上げられるし、戦闘時も盾と剣を片手ずつ手にして戦っていた。
単純に筋力という点では、両手で持つのなら十分だ。
【祈り】も使えば、もしかしたら片手でもいけるかもしれないな。
はぁ……カッコイイ剣か。
結構ピンポイントで今の俺が欲しい物を引き当てたものの、この身で扱う事は難しく、諦めなければならないという悲しい現実に少々凹んでいたのだが……、黄昏る俺の頬を、隣に座ったセリアーナが突いている。
「……なに?」
「お前が生意気にも落ち込んでいるのが面白いのよ」
「ぬぅ……!」
とんでもないこと言うな……このねーちゃん。
と、思ったのだが、少々申し訳なさそうな顔のテレサが目に入った。
……まぁね、別に怒っているわけじゃ無いし、落ち込んでいるわけでも無いんだよ。
「落ち込むっていうかさ……折角カッコイイ剣なのに、自分じゃ使え無さそうなのがね……はぁ……」
やっぱ落ち込んでるわ。
ドッカンドッカン出来そうな武器なんだけどな……。
「まあ……お前が使うのはね……」
セリアーナは、頬を突いていた手を今度は俺の手に持って行く。
そして手を取ると、自分の手のひらと大きさを比べたりしている。
「……小さいねオレの手」
もうこの体も慣れたもんだし、今更どうこう言う気は無い。
【浮き玉】のお陰で特に困る事も無い。
ただ……時折こう……ピンポイントでそこをついて来る事態ってのが起きるんだよな。
「そうね。お前が使うのは諦めなさい。代わりにテレサが活用するはずよ」
「はーい……」
気の抜けた返事をして、そのままセリアーナの膝にゴロンと頭を乗せた。
◇
「失礼します。夕食の用意が出来ました。皆さまご案内します」
ガチャからしばらく経って、部屋に中央棟の使用人が夕食に呼びに来た。
「ええ。セラ、テレサ。その剣は奥に置いて来て頂戴」
セリアーナの言葉に、体を起こした。
【隠れ家】にしまっておくのか。
まぁ……今は保管体制が整って無いもんな。
「はーい。テレサ」
「はい」
テレサにも意味はちゃんと伝わっているようで、すぐに剣を手にして立ち上がった。
下賜も済ませて、今では実質彼女の物となった【赤の剣】だが……全く重そうなそぶりを見せない。
やはりコレは彼女の手にあるのが相応しいかもしれないな。
ガチャってから2時間くらい経って頭も冷えたのか、素直にそう思える。
そもそもアレを俺が持ったら引きずっちゃうしな……。
「んじゃ、奥に入るよ」
寝室の奥の壁に手をつくと【隠れ家】を発動して、テレサと共に中に入った。
◇
夕食の席にはリーゼルはオーギュストとミオの2人に文官が数名と、彼の直属の部下を呼んでいた。
そして、それに加えてアレクとジグハルトにフィオーラも一緒だ。
俺たちがリーゼルの執務室から出た後、彼等を呼び出してアレコレと対策を練っていた様で、そのままココへ呼んだんだろう。
ご苦労様だ。
さて、このそうそうたるメンバーでの夕食だが、ここ最近のリセリア家は食事の席では基本的に仕事の話はしない。
明文化しているわけではないが、何となくそんな感じになっている。
もちろんのっぴきならない事態の場合は別だろうが……今日の夕食の席では、いつも通りだった。
どうやら、今のリアーナにはよほどの事態は起きていない様子。
「聖貨を使ったのかい?」
初めは他愛のない話をしていたのだが、途中から話題が俺のガチャに移った。
まぁ……ネタには丁度良いだろうしな。
「ええ。【赤の剣】が出たけれど、セラでは無くてテレサが所持することになったわ」
【赤の剣】の名が出た時、少しだが部屋の中がざわついた。
やっぱり【赤の剣】は有名なのかもしれない。
効果に関しても、シンプルでわかりやすいからかな?
「確かにテレサなら十分に使いこなせるだろうね。だが……セラ君は良かったのかい?」
「しばらくはむくれていたわね」
笑いを噛み殺す様にセリアーナは言うが、もう機嫌は直ったぞ?
「オレじゃ持てても振れなさそうだしね。その分テレサに頑張って貰います」
「お任せください。姫の分まで私が魔物を倒して見せますよ」
俺の言葉にしっかりと答えるテレサ。
頼もしいじゃないか。
俺の侍女が俺の引いた恩恵品で大活躍……これはもう俺の手柄と言っても良いよね?
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】・15枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・33枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・9枚




