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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
17章・ようやくダンジョン探索再開!

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「……これで粗方拾い終わったかな? 湧き始めているし、結構きわどかったな」


 矢で直線状に射抜いたわけだし、遺物は大体隅からそのライン上に散らばっている。

 拾っては置きに行ってと、少々手間はかかるが、それでもあちらこちらを移動しながら拾い集める必要は無く、何とかリポップした魔物たちに囲まれる前に片付ける事が出来た。


 上から見下ろすと、新たに湧いた魔物たちが先程の釣りから逃れた魔物たちと合流して、何やら俺の方を見ている。

 何らかの手段で意思の疎通を図ってでもいるのかな?

 まだ新たに湧いた魔物には何もしていないのに、あからさまに敵意を向けられている。


「折角やる気になっているのに申し訳ないが……撤退させてもらうよ」


 その言葉と共に、下に向かって2本の伸ばした指を、こめかみに当ててからピっと振った。

 わざわざ魔物相手に格好つける必要も無いが、なんかこのままじゃ逃げたような気がするしな。

 次へのモチベーションにも繋がる様な気もするし、きっと大事な事だ。


 ってことで、中層から撤収だー!


 ◇


 上層を浅瀬目指して快調に飛ばしている。

 まだ冒険者たちは、上層に入ってすぐのエリアまでしか進出していない様で、中層からの復路の魔物たちは健在だ。

 だが、今日はもう十分稼いだし、さっさと帰りたいからスルーだ。

 手前の方で狩りをしていた連中も帰還しているだろうし、上層はもう人がいないか……おや?

 そろそろ浅瀬に出るってところで、通路の先をアカメたちが気にしていた。


「誰か狩りをしてるね……」


 俺も気合を入れてそちらを見ると、10人ほどの気配があった。

 皆結構強くて、広間の魔物たちを圧倒している。

 連携も取っているし、即席じゃなくて普段からパーティーを組んでる連中だな。


「念の為君達は隠れといてね」


 10人ほどで行動しているパーティーっていたかな……?


 ちょっと思い当たらないが、ここで彼等が帰還するまで待機するわけにもいかない。

 邪魔にならない様に……ついでに魔物と間違われない様にヘビたちを服の下に引っ込めてから、コソコソと通路から広間に出た。


「……なんだウチの連中か」


 一体どんな連中かとドキドキしていたのだが、そこで狩りをしていたのは、1番隊と2番隊の混成パーティーだった。

 槍と剣と盾、しっかり役割を分担して、隙無く狩りをしている。

 痕跡から、広間の端から徐々に中央に向けて魔物を倒していっているんだろう。


 と、どうやら彼等も俺に気付いた様で、軽く手にした武器を掲げて挨拶をしている。

 緊張して損したかな。

 まぁ……邪魔しちゃいかんし、遠回りしていこう。

 俺も彼等に手を上げて応えてから、そのまま広間を通り抜けて、浅瀬に向かうことにした。


 彼等とも少しくらい話をしても良かったが、今日の狩りは埃をかぶるやり方だったからな。

 さっさと帰って風呂に入りたい。

 ダンジョンの感想を聞くのはまた今度にしよう。


 ◇


 さて、ダンジョンから帰還してセリアーナの部屋に戻ると、部屋に備え付きの方だが、風呂の用意がしてあった。

 今日はどんな狩りをするかってのを伝えていたから、備えておいてくれたようだ。

 ってことで、お言葉に甘えて風呂に入り、サッパリしてきた。


 そして今、ソファーでグダーっとなりながら、エレナに髪の手入れをしてもらっている。

 髪を乾かすのはいつもの魔法だが、髪を梳かすヘアブラシが違う。

 エレナが俺の誕生日プレゼントにと手配してくれた物で、なんでも王国西部に生息する野生の馬の毛で出来ているそうだ。

 貴族女性の間では人気な様で、エレナやセリアーナも日頃から使用しているそうだ。


 ちなみに、テレサはまた違ったタイプのブラシを使っているそうだ。

 なんでも、髪質に合わせて使い分けるんだとか。

 美の道は中々難しい……。


「随分稼げたようね。ダンジョンが空いていると違うのかしら?」


 髪の手入れをされる俺を見ながら、セリアーナが机の上に置かれた聖貨を見て、そう言った。


「そうだねー。人がいないってのもあるけど、広い場所を1人で使えたからってのも大きいね」


 俺が今日稼いだ聖貨は6枚。

 久々に稼いじゃったな。

 もっとも、ダンジョンが正式に誕生したって事もあり、セリアーナに献上する分もあるし、全部をって訳にはいかないが……まぁ、それでもやっぱりダンジョンは気軽に稼げて良いね。

 外だと死体の処理とか色々考えないといけないし、現金を稼ぎたいわけじゃ無い俺には、あまり向いていないんだ。

 さらにわがままを言うなら、もっと弱い魔物が唯々延々湧いてくれるといいんだが……それは贅沢過ぎるか。


「でも、やっぱり1人での探索は疲れるね。しばらくのんびりするよ」


 あの狩り方は効率こそ良いが、魔物の大群を引き連れながら移動して、仕舞いには正面から向き合う。

 肉体的にはそうでも無いが精神的に疲弊する。

 風呂入って一息ついたらもう何もする気が無くなったよ……。


「私は直接見た事無いけれど、君の戦い方はちょっと特殊だというからね。無理をせず安全に行こうね。……はい、終わったよ。セリア様、髪型はどうしましょう?」


「そうね……。右の高い位置で纏めて頂戴。リボンはその白を使って」


「はい」


 髪の手入れを終えたエレナにセリアーナが髪型の指示を出した。

 俺の髪なんだけど、何で俺には聞かないんだろう……?

 不思議だ。


セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】・19枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・30枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・9枚

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― 新着の感想 ―
[一言] 週に一回セラの日にして他の連中追い出したらセラだけで運営費賄えそうだな セラが飽きちゃうか
[一言] >俺の髪なんだけど、何で俺には聞かないんだろう……? マトモな答えが返ってこないからですよセラちゃん とはいえ多少は興味持つようになったのか……?
[一言] あれ? セラが渡した聖貨って、ダンジョン維持費の一部に使われるんですよね?
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