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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
17章・ようやくダンジョン探索再開!

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560 リアーナの冒険者 side

「よう!」


 リアーナ領都にある冒険者ギルド地下2階のダンジョン前ロビー。

 カウンターで茶を出すなど、ちょっとしたカフェの様相を見せる、リアーナの冒険者ギルド独自のデザインが施されているその場は、今日もダンジョン帰りやこれから潜ろうとする冒険者がひしめき合っている。

 そしてまだ朝早い今は、共に探索する臨時のパーティーを組もうと考える者達も多く、互いの品定めが行われている。


 そんな中に踏み入り、たむろする冒険者の中に顔見知りを見つけた男は、敢えて目立つように大きな声で呼びかけた。


「おっ? なんだ、お前らもついに来たか!」


 ロビーの一席に腰かけたその男は、その声の主を見ると一瞬驚いた様な顔をしたが、すぐに手を上げて応えた。


「おう! まあ、随分前に基準は満たしていたんだがな……。雨季の関係で動くことが出来なかったんだ」


 男は返って来た言葉に肩を竦めながら答えた。


「この辺の狩場じゃ取り合いになっていたからな。北か南か……どっかその辺の狩場で獲物を倒してきたか」


「ああ。北の鉱山周辺でな……。なんでもあの辺りを縄張りにしていた冒険者が引き抜かれたとかで、街では随分重宝されたぜ」


 男は現地の状況を思い出しながら話を始めた。


 このリアーナのダンジョンは、年間探索許可を得るのに聖貨2枚納める必要がある。

 もっともそれは数年間の間だけで、いずれ変更されることになっているが、新興領地のダンジョンとはいえ少なめに設定されている。

 だが、それとは別に、もう1つの基準も設けられている。

 それが、リアーナ領地の東側に広がる魔境の探索依頼の消化数だ。

 地元の冒険者ギルドで独自に設けられた難易度を基に、一定数の依頼を消化する事でクリアとなる。

 魔境は領地の東全域に広がっているが、街や村といった拠点との距離を考えると、狩場の数は限られていて、そこで足踏みする者たちも多い。


 男はその状況をどうやって抜け出したかを、熱く語っていたが、それも終わり、今度はダンジョンの様子に話題を変えた。


「で? ダンジョンの具合はどうよ」


「悪くないな。お前も事前に聞いているだろうが、浅瀬は視認性が悪いし油断も出来ないが……周りの冒険者も階層に駐留する騎士団のレベルも高い。今のところ死者はゼロだ。俺も死ぬ気はしねぇな。少なくとも、浅瀬は他所のダンジョンと大差ねぇ」


「はぁん……そりゃ稼ぎやすそうだが、それにしちゃ随分手厚いな」


 ロビーには万が一の際の救助に備えて、騎士団や治療師が待機する一画まで用意されている。

 上層以降はともかく、浅瀬の様子を聞いた限りでは過保護もいいところだ。

 男はロビーを見渡しながらそう言ったが……。


「ウチの方針だよ。ポロポロ死なれたら困るからね」


「うおっ!?」


 その言葉に、突如後ろから返事が降ってきた。

 慌ててそちらを見ると、盆を手にしたメイド服の少女が宙に浮いている。


「よう。セラ副長」


「やー。なんか飲む?」


「俺はいらないな。お前はどうする?」


 未だ狼狽したままの自分と違って、慣れた様子で話をしている。


「あっ……ああ。いや、俺もいらないな……」


「そっか」


 少女は一言だけ呟くと、フワリと浮き上がり、奥に向かって飛んでいった。

 その際にふと、少女が何かに座っているのが見えた。

 それで、ようやくあの少女が何者なのかがわかった。


「あいつが「蛇姫」ってやつか……?」


「まだ正式には決まっていないがな……。妙なチョッカイ出すなよ? シャレ抜きでぶち殺されるぜ」


 先程までの軽い様子からうって変わって、真剣な声色だ。


「蛇姫」。

 領主夫人の専属冒険者の事で、多くの恩恵品や加護を持ち、それだけじゃ無くて複数の従魔とも契約をしている少女。

 多くの貴族と面識を持つ少女で、王妃とも面識があるなんて噂もあるほどだ。

 そんな相手にちょっかいを出すような真似をする者はいないだろうが、それでも、そこまで言う程なのだろうかと首を傾げる。


「あ……ああ……。そりゃ、ガキに手を出したりはしないが……そんなにヤバいのか?」


 何故酒場の店員のような真似をしているのかはわからないが、見たところ彼女からは全く雰囲気を感じない。

 駆け出しの冒険者の方がまだマシなくらいと言える。

 今もまた、空いた席の片付けなどをしているが、その背中は隙だらけだ。


「まあ、領都で暮らしてりゃそのうちわかって来るさ……。それより、わざわざここに来たって事は、お前も今日潜るんだろう?」


 椅子に立てかけた剣に手を当てながらそう聞くと、男も同じく剣に手を当てて返した。


「……ん? ああ、もちろんだ。顔見せだけじゃねぇよ」


 わけの分からない存在に虚を突かれてしまったが、地元を離れてこんな辺境までやって来たのはダンジョンに潜る為だ。

 その事を思い出したのだろう。

 先程までの気の抜けた表情をしていたが、今はもうすっかり消えている。


「行くか?」


「おう!」


 短いやり取りを済ませると、剣を手に席を立ち、ダンジョンに繋がる通路へと歩いて行った。

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】・15枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・8枚

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― 新着の感想 ―
[一言] 蛇くんたちわを体に宿して、蛇の尾を振り、蝶の翅を広げ、猛禽の脚で蹴り飛ばす! ……やはり蛇というより龍ですよね。
[良い点] セリアさんが止めてるから正式になってないだけでゴーサインさえ出たら正式に蛇姫で目録に乗るんだろうなぁ [気になる点] 副隊長が何でウェイトレスやってるんだ(゜ω゜) [一言] これ後からセ…
[一言] 本の方の表紙だと浮き玉って結構でかいけど、浮き上がって行った時に見えたってことは結構スカート長めなのかな?
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