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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
16章・ようやくダンジョン一般開放!

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「セラ副長へのお届け物です」


「ご苦労様。運んで頂戴」


「はっ。失礼します」


 そう言うと、靴を脱いで部屋の中に運び入れてきた。

 荷物は4つで、見た感じ重さも大きさもそれほどではない。

 だが……木で出来た箱だが装飾が施されていたりと、妙に凝っている。

 テーブルに置かれたそれをジッと見てみると、そもそも箱の素材もただの木じゃないな……誰からのだ?


「あっ!?」


 豪華な箱に少々気圧されていたのだが、その俺を無視して、セリアーナがさっさと箱を開け始めた。


「お前のことだから、どうせ下らない事でも考えているのでしょう? 私とリーゼルからよ」


「なんとっ!?」


 確かに身内からはまだ貰っていないが……ここで来たか。


「はい」


 そう言って、セリアーナが箱から布に包まれた四角い何かを取り出して、俺の方へそれを置いた。

 自分で開けろって事だな。

 ゴソゴソと包みを剥がしていく。


「なにかなー……ぬ? ……時計だ!」


 包みの中から現れたのは、高さ30センチほどで大きな文字盤がよく目立つ、立派な置時計だった。

 本体は黒い木製で装飾が無く、その代わりにドッシリと安定感のある造りだ。

 壁掛け時計と置時計の差はあるが、この部屋にあるセリアーナの時計と似ているな。


「携帯は出来ないけれど、奥に置くには十分でしょう?」


 奥=【隠れ家】の事を知らない者たちはその言葉の意味が分からず、不思議そうな顔をしているが、俺にはしっかり伝わっている。

【隠れ家】のリビングの棚の上に置くにはピッタリだ。

 雨季の間に片付けもしたから置くスペースもしっかりあるし……このために片付けたのかな……? 


 時計……時間を計るだけならタイマーがあるし、精密機器を持って戦闘をするのは怖いからな。

 俺が時間を知りたくなるのなんて、遠出した時くらいだし、【隠れ家】に置いたままでもいいわけだし、携帯性に関しても問題無い。

 しかしだ……時計は欲しいと思っていたし、買うだけの現金は俺も持っている。

 にも拘らず、今まで買っていなかったのには理由がある。


「この街の工房で作ったの?」


 時計ってのは正確でズレない事が前提の道具だ。

 大体年に1回くらいの頻度で時間合わせも兼ねて整備が必要になる。


 量産品の時計なんてこの世界には無いし、どれも工房の手作りだ。

 さらに、時計は工業製品じゃなくて魔道具。

 俺も詳しくは知らないが、基幹部分の技術は一緒でも、細かい部分は工房や職人の個性が出るんだとか。

 だから、時計の整備は作った工房に任せるそうだ。


 この街にも工房はもちろんあるが、辺境の1都市から新興領地の領都へとなった事で、時計を求めるような者たちがこの街にも増えて、工房の仕事が詰まっていると聞いた。

 そりゃー、セリアーナの名前を使えば割り込む事も出来るだろうが、そんな事はしたくないしな。

 結局、欲しいとは思いつつも後回しにしてきたのは、それが理由だ。


「この街の工房で作ってはいるけれど、基幹部分は私が手掛けたの。整備は私が出来るから、問題無いわ。安心なさい」


「ぉぉぅ……本当に何でも出来るんだね……」


 整備はどうするんだろう……と言う疑問に答えたのはフィオーラだ。

 得意気な様子も無く、ごく当たり前って感じだ。

 この人マジでなんでもできるな。


 ともあれ……念願の時計だ。

 しっかりお礼を言わねば。


「ありがと、セリア様。時計欲しかったんだ」


 それを聞き、返事こそしないがセリアーナは満足そうだ。

 まぁ、表情にも変化は無いんだけどね!

 こちらのアクションに何も返してこない時ってのは、機嫌が良いことが多いからな。

 最近分かってきた。


「それよりも、リーゼルの分もあるわね。それはお前が開けなさい」


「はいはい。中身はセリア様知らないの?」


「ええ。何かを贈るとだけは聞いたけれど、中身は知らないわ。まあ、同じ時間に届いたって事は、この街の商業ギルドに依頼したって事でしょうね」


「……ほぅ」


 セリアーナも知らないのか。

 リーゼルのセンス……彼の見た目だけなら花とか贈りそうだけれど、流石に違うだろうし……予想がつかないな。

 箱は底の浅い長方形の箱だが……開けたらわかるか。

 ってことで、オープンだ!


「……お?」


「服……かしら?」


 蓋を開けて中を見ると、赤い布らしきものが入っていた。

 取り出して広げたソレは……長いシャツ……かな?


「ガウンかしら?」


「そうですね。ミオ」


「はっ……」


 服を手にして首を傾げる俺をよそに、セリアーナとテレサ、さらにエレナも加わって、ミオに説明を促していた。

 ミオはそれに応えて、生地の産地がどうとかどこの職人の作かとか、うんちくめいた事を話している。

 そこら辺の事はテレサ達に任せて、俺は残りの2つの箱も見ておくか。


「色違いね」


「だね」


 フィオーラは箱の中身の方に興味があるのか、ミオの説明を聞かずに、俺の後ろに来ている。

 そして、彼女が言うように、箱の中身は青と黒のガウンだった。

 黒が黄色だったら信号機カラーだな……。


 ともあれ、時計も貰ったし、このガウン3着も良い物だ。

 いい誕生日じゃないか。


 まだ第2弾第3弾が来るそうだし、テーブルの脇のあの山を見るとちょっと気が重くなるがな!

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】・15枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・8枚

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― 新着の感想 ―
[一言] >「なにかなー……ぬ? ……時計だ!」 ごまだれ〜♪ の効果音と共に、両手で時計を頭上に掲げるセラを幻視した。
[一言] 親しい相手からのプレゼントは花とか装飾品よりも、本人がちょうど必要としていたり欲しかったりする感じのちょっとお高めな実用品。定番ですね!
[一言] フィオーラさんぱねーっす!
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