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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
3章・王都で聖貨をザックザク!

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「予定より早く着いたな」


ダンジョンの出口が見え、足を緩める。

行きと違い、キーラだけでなくマリーダも戦闘に参加せず、セラの索敵も無し。

更に人を1人抱え、消耗した状態での移動だ。

進むにつれ魔物は弱くなるとは言え、行きよりは時間がかかると思っていたが、思いの外早く辿り着けた。


「上層一帯の魔物が減っていたからな…」


オオカミ60、イノシシ11、オオジカ8、クロヘビ4。

更に魔虫各種。

セラが倒していた魔物で確認が取れただけでそれだ。


魔人は周辺の魔物を呼び寄せる習性があり、広間から浅瀬までの道にいる魔物の大半が集まっていたようだ。

その為、上層での戦闘はほとんどなく、浅瀬も上層手前での魔物の数の減りを怪しんだ冒険者が引き返した際についでに倒していったようで、魔物の数が少なく、一気に駆け抜けられた。


「ギルドへの報告は、今日は簡単に済ませて、詳細は後日にするか。俺もさすがに疲れた」


不意打ちでの魔人戦はこの男でもきつかったようだ。

だが、俺としてはもうひと働きしてもらわないと困る。


「それは構わないが、お前たちも屋敷に来てもらうぞ?お嬢様への説明をしてもらわないとな」


「うっ⁉あー……、いやっ…わかった。行こう」


今後の事を考えると筋は通した方がいいし、結果的に面通しもできるし、悪くない。

そんな考えが顔に見える。

色々葛藤があったんだろうが、同行を了承した。


報酬もだが責任も山分けだ。

共に叱責を受けてもらおう。



「汚いわね」


プロフェッサーのパーティーと共に2人でダンジョンへ向かったのはいい。

屋敷に連れてくるのも、勧誘はアレクに命じている事だし、その一環なのだろう。

ボロボロに汚れ、おまけにセラは気を失っているというのはどういう事だろうか?


それが知らず顔に出てしまったのか、アレクの顔が引きつっているようだが、まあいい。


「アレク、簡潔に説明なさい」


「はっ。ダンジョン上層にて、魔人と遭遇。そのまま戦闘に移行しました。セラは周囲の警戒と万が一の時は撤退をすべく別行動に。1時間程戦い続けましたが、苦戦。セラはその間魔人が呼び寄せた魔物を倒し続けていたようです。その魔物を倒し切った後、魔人のスキを突き介入し、討伐しました」


魔人…ダンジョンで人の死体が吸収されたら現れる様になるというアレか。

近くの人間を追う事があると教わったことがある。

上層でならそのまま戦闘に移ったのは仕方が無いか…。


「…セラが倒したの?」


「はっ。その際足を骨折しましたが、そこのキーラ殿が既に治療を終えています。討伐後、疲労と緊張の糸が切れた事から睡眠。帰還中一度目を覚ましかけましたが、また眠りにつきました。あくまで睡眠であって、命に別状や後遺症はない模様です」


「…結構。詳しくはまた後で聞くわ。さっさと汚れを落として来なさい。貴方達案内してあげて頂戴」


使用人を呼び風呂に案内させる。

女性陣は来客用。

男性陣は使用人用で我慢してもらおう。


「エレナ、セラを。私の部屋に運びましょう」


とりあえずこの子をどうにかしないと…。



「セラ、セラ!」


頬を軽く叩き、体を揺すりながら呼びかける。

【隠れ家】を出せさえすれば後はどうとでもなるのだが、なかなか起きない。

屋敷より【隠れ家】の方が何かと便利な物が揃っている。

出来ればそちらを使いたい。


「う……むぅ…」


呼びかけが聞こえたのか、薄っすらとだが目を開けた。


「セラ?【隠れ家】を出して頂戴。私とエレナを中に入れるの。わかる?【隠れ家】を出して、中に私とエレナを入れるのよ」


また眠ってしまう前に、それだけはやってもらわなければいけない。


「…ぅ」


言っていることが理解できたのか、扉をくぐる感覚があったと思ったら【隠れ家】の中にいた。

エレナもちゃんといる。

また眠ってしまったが、2人がかりでなら何とかなるだろう。

セラ・【隠れ家】【祈り】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】・8枚

セリアーナ・【範囲識別】・【】・13枚

エレナ・【】・【緑の牙】・0枚

アレク・【】・【赤の盾】・1枚

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