表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
16章・ようやくダンジョン一般開放!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

559/2096

555

 カチャカチャとキッチンから食器の立てる音が聞こえてくる。

 同じくキッチンから漂ってくるお茶の香り。

 なんでセリアーナにお茶の用意を任せて俺はリビングにいるんだろう……?


「なんか手伝うー?」


「必要無いわ」


 キッチンに向かって、手伝いはいるかと声をかけるが、必要無いらしい。

 まぁ、お茶を淹れているだけだしな……ここで飲むわけじゃ無いし、手伝うと言っても運ぶくらいだし、必要ないか。


 ちなみに、茶葉やカップ類は片付けがひと段落した際に、セリアーナの部屋から取ってきた物だ。

 彼女の部屋にもキッチンがあるが、【隠れ家】の方が使いやすい様で、こちらを利用している。

 だが、【隠れ家】内の食器類も徐々に充実してきてはいるが、まだまだ彼女のお眼鏡には適わないようだ。

 俺が使いやすい物を選んでいるし、仕方ないかな。


 ふむ……と納得して、リビングを見渡す。

 片付けを始めるまでは、素材や木箱があちらこちらに積んでいたが、残しておきたい素材は別にして、近いうちに処分して問題無いものは、すぐ動かせる様に一ヵ所に纏めている。

 物自体は減ったわけでは無いが、なんというか【隠れ家】全体がスッキリしたな。

 雨季が明ける頃にはダンジョンも落ち着いているらしいし、そうなったら俺も探索を再開する。

 そしたらまた素材が増えてくるだろうけれど……果たしてこの状態をキープできるだろうか。


「ぬぬぬ……」


「なにを唸っているの」


「ぬ? いや、部屋綺麗になったなーって」


 セリアーナの声に顔を上げると、トレーを手にこちらにやって来ていた。


「片づけたのだから当然でしょう? さ、行くわよ」


「へーい」


【浮き玉】に乗ると、彼女の前に出て玄関に向かった。


 ◇


 セリアーナの部屋に戻ってお茶を飲んでいるが、その間は特に何かを話したりってことは無く、それぞれ適当な本を読んでいる。

 俺が読んでいるのは、領都の冒険者ギルドが領内の各街にある支部向けに発行している、領地に出現する魔物と、その生息地が纏められたものだ。

 非売品ではあるが、先日ゲットした。

 もっとも、載せられているのは領都以西で、魔境の魔物情報は無い。

 今後の冒険者の働きにかかっているんだろう。

 とはいえ、これはこれでなかなか興味深い。


 基本的に、俺は狩場以外での戦闘は行わない。

 なんといっても移動は【浮き玉】を使って空を飛んでいるからな。

 たまに馬車を使う事もあるが、そういう時は大体護衛付きで、魔物が現れても彼等が倒している。

 その為、領内にどんな魔物がいるのかってのを、実はあまり知らなかったりする。


「随分真剣に読んでいるけれど、面白いの?」


「……ぬ? うん。面白いよ」


 興味深く、ついつい真剣に読んでいたのだが、その様子がおかしいのか、セリアーナがからかうような口調で言葉をかけてきた。

 騎士団の資料で似たような物はあるが、アレはあくまで集団で一掃するための資料で、正面から対峙する用の資料じゃ無いんだよな。

 こちらの方が見応えがあって、ずっと面白い。


 しかしだ、俺が読んでいる本は確かに一般的なものでは無いと思うが、セリアーナが読んでいるのも中々どうして……。


「セリア様こそ、それ面白いの?」


「悪くは無いわね。そもそもこれはお前の物でしょう? 何のために手に入れたの?」


「……何のためって、レシピ本なんだし料理するためじゃない」


 それを聞いたセリアーナは、フッと笑っている。


 セリアーナが読んでいるのは、俺が王都やゼルキスなんかで入手した料理のレシピ本だ。

 もっとも前世のように、詳しい作り方や正確な分量などが載っているわけではなくて、なんとなくのふんわりした情報しか書かれていない。

 他所の情報が手に入りにくいこの世界では、これでも貴重らしくて、お値段はそこそこした。

 だが……まぁ、折角手に入れたはいいけれど、【隠れ家】に積んでいたままだった。

 それを、掃除中のセリアーナが発見して、今に至っている。

 彼女が笑ったのは、料理をしない俺が買っていたからかな?


 料理なー……。

 1人で移動する時なんかは自分で作るが、1人分だから失敗しないような物ばかり作ってるんだよな。

 中々新しい物にチャレンジする機会は無い。

 一応簡単には目を通してはいるが、あまり内容は覚えていない。

 そういえば、その本にはどんなのが載っていたっけ?


「折角買ったのに残念だけれど、これはあまりお前に向いた料理は載っていないわね。私も作ろうとは思わないわ」


 セリアーナの方を見ていると、視線に気付いたのか、本を掲げてそう言った。


「どんなのが載ってたっけ?」


「大型の獣の捌き方や、その場での調理法ね。狩猟が中心の山村の様子も書かれているわ。自分がそこで暮らしたいとは思わないけれど……色々な暮らしがあるものなのね」


 と、感心している。


「……ぉぅ」


 なんとも豪快な……確かに俺向きでは無いな。

 そして、それを聞いて何となく内容を思い出した。


 確か、その料理はどんな場所で食べられているのかって、筆者の簡単な説明が一緒に載っていたんだ。

 セリアーナはそれを読んでいたんだな……。


 その後も1冊2冊と読み進めて、果てには互いの読んでいた物を交換したりと、そんな事を続けているとすっかり夜になった。

 【隠れ家】の片づけと読書だけで1日潰せてしまったな……もったいないとみるか、有意義とみるか……悩ましいところだ。

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】・15枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・8枚

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] とても仲良し( ˘ω˘ )b [気になる点] そういえば、書籍の表紙のイメージで短髪なイメージだけど、セラさんの髪の毛って順調に伸びて今腰くらいまで伸びてるんだっけ?
[一言] サバイバル料理として何かいざという時に活躍するかもしれない。・・・お肉とかは冷凍しとこうか。
[良い点] 更新乙い [一言] ぐだぐだしてたら、いつの間にか一日が終わっていた
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ