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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
16章・ようやくダンジョン一般開放!

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「セラ。お前、この街に来てから教会地区は行っていないわね?」


俺の何度かの呼びかけを無視して、あの地区を凝視していたセリアーナが口を開いた。


「うん。たまに兵の巡回に付き合ったりした時にそばを通るくらいで、普段は近づいてないよ?」


俺の身分はもうすっかり綺麗になっているし、見た目も大分変わってはいるが、赤毛のチビって印象は相変わらず変わっていないしな。

もしかしたら気付く者もいるかもしれない。

今更後ろめたい様な事も無いが、それでも揉めるかもしれないし、場所はもちろんあの場所に出入りする人間にも近づかない様にはしている。

それは【浮き玉】を利用している時でも同様だ。


その事を思い出しながら、セリアーナの言葉に頷いた。


すると、セリアーナはさらに高度を上げると、【浮き玉】を教会地区の中央近くに進ませた。


「お前の目から見て、何か変わった所はあって?」


「ぬ……」


この位置からだと地区全体が一目でわかる。

正式名称では無いが、教会地区と銘打つくらいあってドンと教会が真ん中にある。

そして、そこの裏手に繋がる様に孤児院が併設されていて、その周囲に教会勢力と懇意な冒険者たちが主に利用している、治療院に、安宿や酒場などが並んでいる。


「うーん……」


変化変化変化……。

とりあえず、前は街の北東部を占めていたが、街が拡張された事もあって、今ではあくまで街の北部の一角に過ぎない。

それに合わせて、街の中での影響力はどんどん減って行っているそうだ。

特に、セリアーナたちが露骨に教会を省いているしな。

徐々に街の住民も、距離を取るようになってきている。


その影響もあるのか、上から見ると何となくだが閑散としているように思える。

雨季だからってだけじゃない。

かつては、それなりにあの一画は冒険者を始め、色んな人間が出入りしていたのだが……治療院にすらおよそ人の気配が無い。

孤児院も既に子供を他所の街に移していて、実質閉院状態だ。

教会と宿にはまだ少しの人間が残っているが……。


だが、俺がわかる変化はそれだけだ。


「人気が無いって事くらいしかわからないかな……」


「そう……。何か大幅に手を加えられた場所とかは?」


「手を……? うーん……いや、無いと思うよ? まぁ、俺も上からこれだけじっくり見たことは無いから、よくわからないけど……」


少なくとも、俺が気付ける範囲では何かが大きく変わったってことは無い。


「……結構」


セリアーナは小さな声で一言だけそう言うと、口を閉ざして下を注視している。


「……えーと?」


一体何をしたいのかと聞いたりもしたいが……随分真剣な表情だし、邪魔をしちゃいかんかな?

仕方が無い。

彼女が何を見ているのかわからないが、周囲の警戒でもしておこう。

俺はヘビたちを外に出して、周囲の見張りを任せる事にした。

そんなに見る物も無いだろうし、時間はかからないだろう。


……結局20分ほど経っただろうか?

セリアーナは、教会地区の上空に留まりそこの様子を調べていたが、ようやく満足したのか移動を始めた。


「ねぇ、セリア様? 何かわかったの?」


移動を始めたはいいが、特に何かを言ったりもせず、何をしたかったのかがよくわからん。


「お前が言うように、そもそもここに出入りする人間が少なすぎるわ。もちろん時期的な問題があるのかもしれないけれど、ダンジョンが一般開放されて以来私もこの周辺を探ってはいるけれど、ダンジョンの探索許可を持つ冒険者が出入りする気配は無いし……」


「そんなことしとったのね……」


街の端にある屋敷からこの辺りまでとなると、領都の半分近くをカバーすることになる。

セリアーナの加護は距離だけなら相当広げられるようだけれど、その分負担も大きくなるそうだが……相変わらずすげぇな……このねーちゃん。


「領都に様々な者が入って来ているのは把握していたけれど、それで街に直接どのような影響が出ているかは人伝に聞くだけだったし、自分の目で見るいい機会だったわ」


「ほぅ……」


リーゼルはたまにだが各ギルドに会合で顔を出す事もあるが、セリアーナはほぼ外に出ることは無い。

現時点で、この領地最大のVIPはリーゼルじゃなくてセリアーナだしな。

そうそう危険は無いとはいえ、それでも街に出る事は基本的に控えていた。

出ることがあったとしても、護衛が周囲を固めて、決められたエリアを決められたルートってだけだったからな。

もっともそう決めていたのはセリアーナ自身で、その気になれば完全に自由に……とまでは行かないが、ある程度は出歩いたりは出来ていたが……真面目だしな。

情勢が落ち着くまでは自重していたんだろう。


だが、それじゃあ、街の様子がわかっているとは言えない。

ダンジョンが出来た事で、セリアーナの重要度も少しは下がるし、だからこそ今日の様に外に出る気になったんだろう。


「セラ、お前は普段は教会地区を避けて移動しているのよね? とりあえず、これからもソレは継続しなさい」


「ぬ? う……うん」


教会地区から離れた所で、セリアーナがふとそんな事を言ってきた。

まぁ、俺もあそこには用は無いし近寄ろうとは思わないが……念押しするって事は、まだ何かあるのかな?

そこら辺の事も聞いたりしたいが……既に商業地区を越えて職人地区に差し掛かっているし、セリアーナの意識はそちらに移っている。

多分答えてはくれないんだろうな。

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】・15枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・8枚

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― 新着の感想 ―
[一言] 人が少ないから主要人員は逃げてて大規模な何かが始まるのかなぁ
[良い点] 更新乙い [一言] 敵対的な反応でもあったのかなあ いや、露骨に省いてたら、当然そういう反応になるよなっていうか 元から殆ど敵対してた様なもんだったよなっていうか
[一言] 陰謀の気配でも感じた?
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