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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
16章・ようやくダンジョン一般開放!

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「ただいまー! ……って、あら? セリア様は?」


 窓から執務室に飛び込み、帰還の挨拶をしたのだが……セリアーナの姿が見えない。

 窓を開けたタイミングの良さから、彼女が部屋から指示を出したのだと思ったが……違ったのかな?


「あははっ。雨が降ってきただろう? それでたまたま外を見たら、君が慌ててこちらに向かって来ているのがわかったんだ。濡れていないかい? 使うといい」


 リーゼルは、キョロキョロする俺を見て笑い声をあげると、タオルを渡してきた。

 そして、俺がタオルを受け取ると、再び話を始めた。


「セリアは、商業ギルドの幹部陣の奥方たちと会っているよ。場所はセリアの執務室だが……今君が行くと少し盛り上がり過ぎるかもしれないね……」


「あらま」


 今日は特に予定が入っていなかったはずだけど……飛び入りかな?

 商業ギルドのお偉いさんの奥さんたちは、確か記念祭で何人かと挨拶をしたことはあったけれど、それ以外は特に接点は無い。

 どんな人たちかはリーゼルの方が詳しいだろうし、その彼がそう言うんならそうなんだろう。


 しかし、そうなると俺はどこに行けばいいんだろう。


「どーすっかな……。あ、そうだ。はい」


「ん? ああ……ご苦労だったね。ありがとう」


 どうしたもんかと迷ったが、とりあえず今日のお使いを完了しておこうと、訓練所と冒険者ギルドでの報告をまとめたメモを渡した。

 訓練所はもちろん、冒険者ギルドの報告も特に問題は無かった。

 ダンジョン探索の許可を得るための魔境の依頼ってのがちょっと曲者扱いされているが、場所が場所だし意外と受け入れられている。

 セリアーナ提案の、ダンジョン前のあのカフェっぽいロビーも好評らしい。

 領都の冒険者ギルドは、領内の冒険者ギルドの纏め役も兼ねていて各街の情報が入って来るが、どこも懸念していた揉め事等は起きていないんだとか。


 強いて問題というか……冒険者たちの要望を挙げるとするなら、酒と食べ物だ。

 あのロビーで食事も出来るようにして欲しいって声があるらしい。


 ダンジョンから帰還して、上がったテンションのまま飲みたいんだろうが、それを認めるわけにはいかない。

 だから、外に出ないといけないが、冒険者ギルドと、酒場や食堂がある場所はちょっと離れているからな……。

 店に着くころには一段クールダウンしちゃってるんだろう。


 一応他の冒険者ギルドも、ダンジョン入り口前のロビーで酒を出したりはしないだろうし、冒険者たちもわかっちゃいるんだろうが、ウチはなまじ落ち着けるような場所にしているからな……。

 ついつい、ここで酒が飲めたらって考えちゃうのかもな。


「なるほどね……」


 メモに目を通していたリーゼルは、一言呟くと顔を上げた。

 困った様な表情を浮かべているが……すぐに引っ込めて元に戻る。

 そして、まずは訓練所での報告を書いたメモを取った。


「こちらの施策は順調な様だね。魔物の放置死体に関しては、改めて通達をしておこう。それで様子見だ。近く領都内の各ギルドとの会合があるし、そこで議題にのせるよ」


 ついで、もう一枚の方を手に取った。


「こちらに関しては……冒険者ギルドで酒を提供する事は却下だが……多少は要望を飲めるかもしれないね」


「ほ?」


「まあ、それは後のことだね。とりあえず、向こうで少し休んでいくと良い」


 どういうこっちゃ?

 と、思ったのだが、話は終わりなのか、リーゼルは奥のドアを指してそう言った。


 ふぬ……よくわからんが、セリアーナの部屋はまだ行かない方が良さそうだし、それまでそこで時間を潰させてもらうかな。


 ◇


「姫、迎えに参りました」


 リーゼルの談話室でゴロゴロし始めてどれくらい経ったかな?

 そろそろ日が落ち始めるって頃に、わざわざテレサが迎えにやって来た。


「ふがっ!?」


 寝てないぞ?

 ちょっと意識がどこかに行っていただけだ。


 ともあれ……。


「おきゃくさん、もーかえったの?」


「はい。つい先程。【浮き玉】は使えますか? それとも私が抱えますか?」


「じぶんでかえる」


 足元に転がしていた【浮き玉】を手繰り寄せて、乗っかった。

 そしてそのままテレサの後を、ふよふよとついて行く。

 執務室では相変わらず皆忙しそうに仕事をしているが、この人達ってマジで何時休んでるんだろう?


「ほっ」


【祈り】が果たして事務仕事にも成果があるのかはわからないが……肩こりや腰痛には効くかもしれないし、ないよりゃマシだろう。

【祈り】に気付いたリーゼルが軽く手を上げていた。

 俺もそれに手を上げて応えて、退室だ。


「今日はもうセリア様の仕事は無いのかな?」


 セリアーナの部屋に向かう途中の廊下で、テレサに部屋に戻ってからの事を訊ねる事にした。

 もう夕方ではあるが、仕事がある時は夜まであるしな……。


「はい。今日の仕事はすべて終えています。それと、明日からはしばらくはお休みになります」


「……あれ? 雨季の間は忙しいとか言ってなかったっけ?」


 雨季の間は街を出る者はそうはいない。

 商人達もそうだ。

 次に街を出るとしたら雨季が明けてからだが、もうじき冬になるし、日が落ちるのも早くなっている。

 グズグズしていると、春まで先延ばしになってしまうから、こぞって出て行くそうだ。


 だから、その前に何とか爪痕を……と、面会の予定とかが増えるって聞いていたんだが……。


「商業ギルドでもいくらか受け持ってもらうようにしました。色々進めていくので、あまり他所の者たちに時間を取られるわけにもいきませんからね」


「へー……」


 今日会っていたってのもそれ絡みなのかな?

 領都の商業ギルドの幹部ともなれば、領内の商人たちにそれなりに影響力はあるだろうし……。

 アウトソーシングってやつかな?


 セリアーナたちも、しばらくのんびりできそうだな。

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】・15枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・8枚

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― 新着の感想 ―
[良い点] 寝起きのセラさんのようじょムーブ
[一言] テレサ「寝ぼけてる姫の尊さは至高」
[一言] リーゼルも既にセラは甘やかす妹かなにかぐらいの扱い でも別にわがまま姫にはならない それどころか色々役に立つ 好循環だな!
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