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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
16章・ようやくダンジョン一般開放!

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 本館1階の面会用の部屋。

 本日はここでセリアーナが客の相手をしているが、俺も同席している。

 といっても、例によって何かをするわけでも無く、ただただふよふよ部屋を漂っているだけだ。

 この部屋、俺がゴロゴロできるスペースが無いんだよな。

 時折、お客さんが俺の方を見ているが、別に話しかけられたりもしないし……。


「それでは、セリアーナ様。私共はこれで失礼いたします」


 男は席を立ってそう言うと、部屋を出る前にもう一度こちらに向かって頭を下げて、そして部屋を出て行った。

 会う人会う人皆そんな感じだ。


 ダンジョンの一般開放をいよいよ明日に控え、セリアーナへの客もピークを迎えている。

 商人なんかはリーゼルの管轄だが、冒険者……それも腕の良い連中はセリアーナが抱え込んでいるからな……領内の商人はもちろん、他領や外国の商人、貴族と大忙しだ。


「セラ」


 セリアーナの呼び声に目を向けると、指で肩をトントンと叩いている。


「はいはい」


 セリアーナが座るソファーの裏に回ると、そのまま彼女の肩に指を当てて、グイグイと押し始める。

 そして【ミラの祝福】も発動し、肩回りへのマッサージを続けていく。


「お疲れだね」


「疲れてはいないわ。……飽きたのよ」


「……ぉぅ」


 うんざりした様なセリアーナの言葉に、なんと返したらいいのやら……だが気持ちはわかる。


 セリアーナのお抱え冒険者との取引を、紹介を、依頼を……顔ぶれは変わっても、話の内容はほぼ一緒だもんな。

 前置きは長いが、結局はセリアーナの「却下」の一言で終わる話ばかり。

 それが一組二組なら大したこと無いが、毎日10数組相手じゃーね……。

 よくもまぁ……そんなにたくさんの人たちがこの街に滞在しているもんだ。

 そのうちの何組かは、既に領都に店を構えているらしいが、他の連中はどうなるのかな。


「エレナ、今日はまだお客さんいるの?」


「ん? あと2組だね。明日はなにも予定は入っていないし、一先ずそれで終わりだよ」


 エレナは、部屋を整えに入って来た使用人達に指示を出しながらも、質問に答えてくれた。

 一先ずってのはよくわからんが……。


「まだ2組もあるのか……。でも、もう少しじゃない」


 肩を終えて今度は首のマッサージに移りながらそう言うと、溜息を一つ。


「これからが長いのよ。何組かは領都に店を持っているけれど、流石に全員は無理でしょう?」


「うん」


 正にそこを疑問に思っていたんだ。


「彼等もその事はわかっているの。だから、出来るだけ領内で条件の良い街に店を持とうとしているのよ。ただ、他の街はココと違ってもう完成されているから、簡単には拡大できないわ」


「うんうん」


 領都はもう結界を張ったけれど、他の街はそうじゃない。

 簡単に壁を壊したりは出来ないだろう。

 ……例外は魔王種の素材が分配された街くらいかな?


 その事を言うと、小さく頷いた。


「そう。でもそう考えるのは皆一緒。代官の裁可待ちね。……だからこそ私やリーゼルに面通しをして、優先的に話を進めようとしているのよ」


「ほうほう」


 根回しか……基本ではあるな。


「私もリーゼルも、代官を置いている場所は代官に全てを任せる方針だし、意味は無いのだけれど……彼等もここまでやって来るのに相応の身銭を切っているわけだし、まだまだ諦めないでしょうね」


 続いて、もう一つ大きく溜息を吐いた。


 セリアーナの事だし、一度言ったんだから大人しく諦めろよって思っているんだろう。

 だが、向こうは向こうで粘る理由があるし、その事もわかる。

 何より、ちゃんと正規の手順を踏んでいる以上、断るわけにもいかない。

 ただの我儘になっちゃうしな。

 それはセリアーナの性格上、許せないんだろう。


 言動に似合わず真面目なねーちゃんだ。


「雨季が明ける頃には収まるはずですよ。その後はしばらくゆっくり出来るはずです」


「……長いわね。セラ、もういいわ」


「ほい」


 どうやら次のお客が来たらしい。

 俺を下げて、代わりにエレナを呼んで服を整えさせた。


 後2組。

 頑張って貰おう!


 ◇


「……ぉぉぅ。いっぱいだぁ」


 ダンジョン一般開放の当日朝、セリアーナから命じられて街の上空をぐるりと周っている。

 やはりダンジョンがある冒険者ギルド周辺は、冒険者や彼等に依頼を出そうとする商人達で賑わいを見せているが、そこだけじゃなくて、街全体がとにかく人通りが多い。

 それに合わせてか、巡回の兵も多いし揉め事が起きたりはしていないが……まぁ……人の多い事。


 街だけじゃなくて、その外……一の森も遠目にだが人の気配が沢山あるのがわかる。

 事前調査したダンジョンの情報は、冒険者ギルド経由で広めているそうだし、様子見の連中もダンジョンにチャレンジするために、魔境の依頼を消化しているんだろう。

 季節柄、しばらく人の出入りは減るだろうが……皆忙しくなるだろうな。

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】・15枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・8枚

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新乙い [一言] 今の仕事は外付け薬草だから、使われるまでは袋に入ってても良いのだ
[一言] 猫セラの癒し、海月セラの癒し。幼女セラの癒し。 どれも癒されるけど、幅広く癒しのゾーンをカバー。 遠い未来には【セラの癒し】がガチャに追加されそう。
[一言] たいへんだなあ
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