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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
16章・ようやくダンジョン一般開放!

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 会議室で行われた夕方の会談の後は、特に何も催し物が開かれること無く時間は過ぎていき、すっかり夜だ。


 まぁ、中央騎士団の連中にしたら、早朝出発するし浮かれるわけにもいかないんだろう。

 船便だしここまでの道のりを思えばずっと楽だろうが、それでも王都までの長い道のりだもんな。


 だが、リアーナにとってはちょっとおめでたい出来事でもある。

 男性陣は明日彼等の前に出るそうだから控えているが、女性陣は関係無い。

 ってことで、セリアーナの寝室に集まってお酒を飲んでいる。

 メンバーはエレナにテレサ、そして珍しい事にフィオーラもだ。


 もっとも精々いつものお茶の代わりが軽いお酒になったという程度で、様子に変わりは無い。

 髪を下ろしたりと、少し姿勢が崩れているくらいかな?

 まぁ、酔っ払っても翌朝俺が引き受けるし問題無いな。

 キーラも先程までいたのだが、明日が早いという事もあって、彼女だけ退散した。


「おかえりー」


「はい。ただいま戻りました」


 そのキーラを部屋まで送っていたテレサが部屋に戻ってきた。

 キーラが泊っている部屋は同じ南館の数室隣なだけなのに、送り迎えが必要なのが実にお貴族チック。

 テレサもなんだけどね……お客様だもんな。


「あ……ねぇ」


 俺は流石に酒は飲めないので、おつまみのナッツ類やクルミっぽい物をポリポリ摘まんでいたが、ふと思い出したことがあった。


「ねぇ、夕方話してた魔王種倒したってやつさ。なんでみんな深刻な顔してたの? 弱い魔物も場合によっちゃそこまで強くなるって事はわかったけど……」


 あの後すぐ解散になったし、その後は聞ける機会が無かったが、折角集まっているんだし話もひと段落しているし、聞くなら丁度いいタイミングだ!

 と、気軽に聞いたのだが……4人が互いの顔を見合わせている。


 ……なんか俺の知らないところで面倒な事でも起きるんだろうか?


「大したことじゃ無いわ。「白霧」を倒した者……冒険者か傭兵かどちらかとしたら、リアーナにもやってくる可能性があるでしょう?」


「新しくダンジョンが出来たかんね」


 セリアーナの言葉に頷く。


「それ自体は良いのだけれど……」


 と、そこで溜息を一つ。

 そして、説明が始まった。


 要は、地元の利権の問題になるらしい。


 新興の領地として、領地外……外国も含めて、外から多くの人間を集めている。

 当然冒険者もだし、商人もだ。


 ここリアーナ領の最大の特産品は、魔境の魔物素材だ。

 そのままでも良し、加工しても良し……大陸中で高値で取引されている。

 それを獲って来るのは魔境での狩りに慣れた、地元の猟師や冒険者で、彼等とほぼ独占的に取引をしているのが、やっぱり地元の商人であり商会だ。

 その関係は、ここがゼルキス領の端っこで領主の手が届きにくく、自分達で全てを賄わなければいけない時代から続いている。

 そのため非常に強固で、他所から来た者が食い込む事は難しい。


 だが、ダンジョン関連は今まで領内に無かっただけに、地元の商人達もノウハウが無く、そこを商機と考えている者たちも多いらしい。

 だから、なんだかんだでリアーナに店を構えようとやって来る商人も多いそうだ。

 まぁ、人は集まるし普通に商売をやっていく事も可能だしな。


 ところが、名持ちの魔王種を倒せるような者が、実力を隠したまま入ってきて外部の商人達と手を組むと、その関係に割って入って来ることも可能かもしれない。

 後は、単純に警備上の問題だな。

 男か女か1人か複数か……そもそもいるのかどうかすらわからないのに、注意を払い続けなければいけないのは負担が大きい。

 ってことでの、警戒だったらしい。


 警備はまぁ……注意が必要だと思うけれど、冒険者としてはどうだろうね?

 魔境の魔物って倒す事も大変だけれど、その倒した獲物を運ぶ事こそが重要なのに……。


 俺は自分で倒した際には周辺の見回りの兵に任せているが、あくまでそれは森の浅瀬での事だし、奥に行くとなると、自分たちで運ぶか手配するしかない。

 それが難しいんだ。

 魔境産の魔物素材が高価なのは、魔物の強さもさることながら、運搬手段が乏しい事もあげられる。


 無理だろ。

 うーむ……なんかはぐらかされているような気がしなくも無いが……まぁ、俺には話さない方が良いって事なのかもしれない。

 何かあったら、その時は教えてくれるだろう。


「……ふぁ」


 聞く事聞いてスッキリしたら、欠伸が出た。


「…………お前、他人に説明させておいて……」


「姫は今日は早朝から忙しかったですからね。そろそろお休みになられてはいかがですか?」


 その欠伸を見て、呆れるセリアーナとフォローに入るテレサ。

 今日は朝早かったってのもあるが、寝たり起きたり横になったりもしたからな……眠いのかも。


「そだね。そろそろ寝るよ」


「そう。私たちは……場所を変えましょうか」


「ああ、オレ明るくてもうるさくても平気だから、そのままでいいよ」


 セリアーナが部屋を移動しようかと口にしたが……この部屋の方が皆寛げるだろうしな。

 俺はよほどのことがあってもグッスリだ。


「……そういえばそうね。ならこのままでいいわ」


 他の皆も思い当たるふしがあるのか、小さく笑っている。

 それじゃー歯ー磨いてとっとと寝るかな。

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】・15枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・8枚

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― 新着の感想 ―
[一言] まあ、セラさんは入眠能力もずば抜けてるからね( ˘ω˘ )スヤァ
[良い点] 更新乙い [一言] 起こしても中々起きないからねスヤァ
[一言] 実はセラが魔王種になるのを懸念されてるのだな!
感想一覧
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