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ダンジョンから戻って、昼食とって、お昼寝して……気付けば乳母の1人に起こされていた。
なんかの会議に出かけていたセリアーナが俺を呼んでいるそうだ。
セリアーナどころかリーゼルも一緒だからか、随分と慌てていた。
……急いだ方が良いのかな?
俺甚平なんだけど……せめて何か上に羽織るか。
なんかあったかなー?
◇
「おじゃましまーす」
ついついいつもの癖でリーゼルの執務室に向かいかけてしまったが、第3会議室に到着だ。
中に入るといつもの面々に中央のおっさんたち。
リックもいるが、今日はムッとしていないな……つまらん。
リーゼルに挨拶をしてセリアーナの隣に座ると、膝掛を貸してくれたのでそれに包まり、ついでに彼女のお膝を失敬した。
今日は早起きしたり昼寝したりで、眠気こそ無いがなんともボーっとしているんだ。
そのまま蹲っていると……気になる単語が耳に入った。
「魔王種?」
名前持ちの強いやつがどっかで倒されたらしい。
魔王種……俺がソロで倒したオオカミは別として、サイモドキしかりダンジョンのボスザル、ボスカマキリと、どいつもその称号に恥じる事の無い、強力な魔物だった。
もう魔王種とは戦いたくないと思う程だ。
魔人とも戦いたくない。
俺は楽に倒せる魔物が好きだ。
でも、自分が戦わなくてもいいのなら、魔王種とかの情報はめっちゃ好き。
「そうだ。大陸の北西部にマルクト王国という小国があるのだ。どうやらそこで討伐されたらしい。リアーナに向かっている道中で知らされたので、私も情報はあまり持ってはいないが、遺骸の一部を引き受けた商人が他所の国でその話を漏らしたそうだ」
「ほー……」
マルクト王国……大陸の西部の地形を思い浮かべるも、思い当たらない。
もっとも、他の皆は違う様で、その国の名に心当たりはある模様だが……浮かべる表情は一緒。
変な国なのかな?
「……マルクトでか? あそこは名持ちを倒せるような奴はいないだろう?」
「……その国強くないの?」
申し訳ないがついつい話の腰を折ってしまった。
魔王種だけじゃなくて、冒険者にも二つ名持ちがいる。
その彼等は目録で所属が明らかにされている事が多いが、強い者は当然その彼等だけじゃない。
だから、断言したジグハルトの言葉を疑問に思ったんだ。
「ああ……賢者の塔は知っているよな? マルクトって国はそこと隣接していて、窓口の様な役割も果たしているんだ。他国との折衝なんかの面倒事を全て引き受ける代わりに、塔の後ろ盾を得ている。俺が知る限りあの国に攻め込んだ勢力は無いな。だからだろうな……政治力や治安を維持する力はあるが、直接的な戦闘力ってのは育ちにくいんだ」
「……ほぅ」
「他国との交流も多いし、あの国で名持ちの魔王種を倒せるだけの兵力があったら噂くらいは流れるはずだが、それも無いからな」
「なるほど……」
西部だし魔物はほとんど現れず、よその国とも争う事が無い。
軍事力ってのを必要としない国なんだな。
「じゃあ、倒したのは冒険者とか?」
「あの辺りは腕の立つ冒険者はそうそう稼ぐ場所は無いからな。可能性としては傭兵だろうが……傭兵ならそれこそ実績として、大々的に広めるだろう?」
ジグハルトは腕を組んで首を傾げている。
「討伐した者は何者か……それも気になるが、その前に討伐された魔王種は何なんだい? ユーゼフ、それは判明しているんだろう?」
「はっ。「白霧」と呼ばれる魔物です。ですが、詳細は我々もわかりません……」
……知らない魔王種だな。
目録に載っている魔物全部を覚えているわけじゃ無いが、そんなシンプルな名前なら覚えていそうなものだけど……。
俺だけじゃ無く、他の皆も心当たりは無い様で
「……僕は聞き覚えが無いな。誰か知っている者はいるかい?」
リーゼルの言葉に、皆一様に首を横に振るが、1人だけ手を挙げた者がいた。
「少しなら」
フィオーラだ。
博識というかなんというか……何でも知ってるな。
「フィオーラ、教えて頂戴」
リーゼルから変わってセリアーナがそう言うと、フィオーラの説明が始まった。
魔王種「白霧」
大陸北西部に生息すると言われている魔王種で、特徴は夜にしか姿を現さない事と白い巨体。
目立ちそうな姿をしていながらも、まともに近くで姿を見た者はおらず、存在を疑われた時期もあったそうだが、犠牲者は確かに増え続けているし痕跡も戦闘跡もある事から、魔王種と認定され遂には二つ名も付いた謎多き魔物だとか。
「……それはアンデッドか何かなの?」
そこまで聞いたセリアーナが不思議そうな声でそう訊ねた。
どちらかというと、アンデッドっていうよりはお化けっぽいよな。
だが、フィオーラは首を横に振ると話を続けた。
「いいえ。いつも姿を消した場所の側に、大きな穴が開いているそうで、そこから逃げたのだろうと言われているわ。危険だから誰も調査はせずに穴を埋めていたそうだけれど、近年そこを調査した者がいて、その彼が白くて長いロープの様な物を発見したの」
「……体毛か?」
「そう。王都の魔導士協会の研究所にも、数本だけれど買い取った物を研究用に保管しているわ。恐らくモグラかウサギの魔物と言われているわね」
ジグハルトの言葉に頷くフィオーラ。
「……へー」
それにしても……俺にはあんまり強そうには思えないけれど、周りを見ると戦闘慣れした連中は違うのか、真剣な顔をしている。
「そのような脆弱な魔物がそこまでの強さを持てるほど成長したのか……」
なるほど……実際結構な被害が出ていたようだし、そこまでの強さに成長したと考えたら、脅威ではあるな。
でも、倒されたんだよな?
◇
最後の最後で少々深刻な雰囲気になったが、程なくしてお開きとなった。
今日ダンジョン探索をしたのに大分急ではあるが、彼等は明日この街を発つ。
ルバンが治める村から、直接船で王都を目指すそうだ。
ついでに、ルバンたちも彼等と一緒に村に帰還する。
護衛にはもってこいだしな。
直通の道ももう少し整備すると、頻繁に行き来出来るようになるだろうが……もうちょい先になりそうだ。
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】・15枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・8枚




