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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
16章・ようやくダンジョン一般開放!

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542 セリアーナ side その2

「そういえば、セラ嬢は連れて行くのですかな? 今日の探索で確信しましたが、あの少女は少数よりもむしろ大軍の中にいてこそ、その力を発揮出来るはずです」


 話が一区切りついたところで、ユーゼフはふと思いついたかのように、そう口にした。

 だが、こちらの答えは分かり切っているのだろう。


「セラ君かい? いや、彼女は屋敷に残って貰うよ」


「おや? 随分便利な恩恵品と加護を所有しておりますよ? 閣下の初陣には心強いのではありませんか?」


「学院でも、家庭教師にも……何より君にも散々言われただろう? 恩恵品や加護を前提にした軍事行動を行ってはいけないと」


 ユーゼフは、リーゼルのその言葉を聞いて、安心したように大口を開けて笑っている。


「安心しました。王都にいた頃と変わらず聡明なままですな。いや、失礼しました」


「構わないよ。これも君の役割だろう?」


 領地を手にしたりダンジョンを開通させたりと、身を置く環境に大きな変化があるとついつい気が大きくなってしまい、今までの教えを忘れて無茶な事をしてしまう。

 何度となく学院でも言われた事だ。

 騎士団総長でありながら、ユーゼフがこの隊の隊長に選ばれたのは、リーゼルに対して強く出る事が出来るからというのもあったのだろう。


 恩恵品や加護は便利ではあるが、誰にでも扱えるわけでは無い。

 それに頼り過ぎると、もしその主が殺されたり行動不能な状況に陥ると、それだけで組織が成り立たなくなる。

 たった1人を潰すだけで、それだけの成果が得られるのだ。

 敵からしたら、こんなにありがたいことは無いだろう。

 それは、軍事行動に限らず組織運営全般で言える事だ。


 だからこそ、メサリアではこの教えが徹底されている。

 もっとも、私に言わせればそれを考慮したうえで、それでも尚活用出来るようにするべきだが……。


 その後もどの様に兵を王都まで運ぶか等の打ち合わせを行った。


 折角自領に船を停泊させる村があるのだし、そこを使ってもいいが、今回はお父様の顔を立てる意味も兼ねて、ゼルキスに集まってから行くことに決まった。

 ユーゼフ曰く東部閥全体がその様に動く。

 丁度いい顔合わせにもなるだろう。

 今回リアーナの派兵は、各国への顔見せでしかないし、それで十分だ。


 そして、これで話は終わり。

 リーゼルたちが領地を空ける間の事は、簡単には触れたが詳細を聞こうとはしない。

 彼からしたら、リアーナの事はリアーナで決めろという事か……やりやすくて助かる。


 ユーゼフたちも心なしか表情が和らいでいる。

 実際には積まれていないとわかっていても、聖貨の運搬という重要任務に加えて、王都以東の各領主との協議……彼でも重荷だったんだろう。

 だが、その役目も終わり、今ではリーゼルにホスト役を任せて、王国各地の話題で盛り上がっていた。


 そろそろセラも起きる頃だろう。

 もう戦争の話になることは無いだろうし、あの娘を呼んでもいいかもしれない。


「ちょっと」


 外で待つ兵の1人にセラを呼びに行かせることにした。


 ◇


「おじゃましまーす」


 皆の話は進み丁度国内を終えて他国に移った時、セラが部屋に入ってきた。

 20分ほどかかっただろうか?

 男性兵士は南館に立ち入れないから、人を介する必要がある為仕方が無いか。

 普段だと、何かある時はセラに呼びに行かせるから数分で済むが、そのセラを呼ぶ場合はどうしても時間がかかる。

 ゾロゾロと引きつれるのは好みでは無いが、セラがいない場合は女性兵を配置するべきだろうか……そんな事を考えながら、セラに目をやったのだが……。


 セラ自らデザインしたあの妙な寝間着に、流石に冷えるのか上から一枚羽織っているが、相変わらずの裸足。

 隣に座らせて膝掛を渡すと「ありがとー」と気の抜けた声で礼を言ってきたが、この娘は寒くないのかしら……?


「やあ、セラ君。ゆっくり休めたかな?」


「ぐっすり!」


 そう言いながらも、膝掛に包まって丸くなり始めた。


「……お前まだ寝るつもりなの?」


「くるまるだけー」


 その様子を見て、慣れているのかリアーナの面々は苦笑を浮かべているが、キーラやユーゼフたちは目を丸くしている。

 ここまでとは思っていなかったんだろう。


 室内に沈黙が訪れるが、アレクが気を取り直して、先程までの話の続きをする。


「……名持ちの魔王種が倒されたんだって?」


「う……うむ。今から4年程前らしい。だが、つい最近まで隠していた様だ。それも、進んで公表したわけでは無く、たまたまその場にいた者が最近漏らした事で発覚した。それを受けて、仕方なくといった様子だったらしい」


 ユーゼフも咳払いをすると、その話に戻って行った。


「魔王種?」


 それに釣られたのか、セラがくるまっていた膝掛から顔を出して、体を起こした。

 魔王種とは戦いたくないとか言っていたが、興味自体はあるようだ。

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】・15枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・8枚

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― 新着の感想 ―
[一言] 甘やかされ可愛がられてるセラさんを見てみんな目をまん丸( ˘ω˘ )
[一言] >くるまるだけー 甘やかされ続けた結果ょぅι ゙ょ化が進行してますねこれは
[一言] もう妖精かなにかになってんな
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