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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
16章・ようやくダンジョン一般開放!

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 ダンジョンの浅瀬にこの面子は過剰戦力もいいとこだが、魔物たちがやる気になっている以上は迎え撃たなければいけない。

 普通にやるなら、ジグハルトなりルバンなりが魔法をドカンとぶっ放して、一気に殲滅するんだろうが……。


「皆、下がってくれ。僕がやろう」


 リーゼルがやる気になっている。

 剣を抜くと、皆を制して前に進み出た。


 リーゼルが強いのは稽古でちょっと相手をしてもらうだけでもわかるし、【妖精の瞳】とヘビたちの目で見てもわかる。

 後者は今日が初めてだったが、こりゃ強いわ……数年前のルバン並。

 普通に考えたら、もっと下の階層でも余裕だろうが……今日はちょっと装備が悪い。


 見た目重視で動きにくそうな鎧に、なんかカッコいい剣……。

 防具はまだ【祈り】で強化しているし、何とかなるのかもしれないが……武器はなぁ。

 セリアーナが使っていたような細身の剣だが、刃がもう少し長く、見るからにバランスが悪い。

 なんの魔力も感じないし硬い物斬ったら簡単に折れそうだけれど……大丈夫かな?


 だが、その心配は杞憂だった様だ。

 ゴブリンたちが姿を現す直前に、リーゼルは前に踏み出し……。


「はっ!」


 剣を横薙ぎに一閃。

 木やらなにやら諸共に両断した。


 その一振りで5体全部とはいかずに、実際に倒せたのは2体だけだったが、姿を見せる前に先頭の2体がいきなり真っ二つになったんだ。

 そりゃー魔物だってビビるよね……。


 生き残った3体も反撃に移ったりは出来ない様だ。

 驚きで動きが止まったのが1体、後ろと横に逃げようとしたのがそれぞれ1体ずつ。

 その機を逃す事はもちろん無く、スパっスパっスパパンっと、これまた真っ二つになった。


「……終わりかな?」


 魔物を倒し終えたリーゼルは、それでも油断せずに剣を構えたまま。

 リーゼルが魔物を倒す姿は初めて見たけれど……お見事だ。


 ◇


 ユーゼフ達は王都の人間だし、アレク達も達人の勘的なもので実力をわかっているから驚いていないが……見た目通りの実力しか計れない俺は無茶苦茶驚いている。

 なんであの細長い折れそうな剣で、こんなにスパスパ斬れるんだ……って。


 セリアーナはもう少し短い剣を使っていたが、斬るよりも突きが主体だった。

 突きだって、折らずにしっかり刺すのは難しいだろうけれど、それでも真っ二つにってのはまた次元が違う難易度だ。


「……? どうかしたかい?」


 俺の視線に気付いたリーゼルが顔を上げた。


「んー? いや、皆余裕そうだなって」


 初戦こそ彼が戦ったが、今はもうアレクたちリアーナ組の3人に任せて、剣を納めて一行の中央に下がったままだ。

 そして、ユーゼフたちも剣を抜いてこそいるが戦闘に参加をする気は無い様で、周囲の警戒だけ行っている。

 ちなみに支部長もそっち組。

 この階層の事はもう念入りに調査も済ませているし後は消化試合だ。

 前で戦う3人も、核を潰したり貫いたり断ったりと、余裕の戦いぶり。


「そうだね。セラ君は戦闘に参加しなくていいのかい?」


「オレは……この恰好だしね。止めときます」


 今日は探索というよりも、デモンストレーションの意味合いが強い。

 ジグハルトも普段は身に着けない鎧を装備しているし、アレクやオーギュストも、自前の鎧では無くて騎士団の鎧を身に着けている。

 そして、栄えある2番隊副長の俺は、あちこちにリボンの付いた青いワンピース。

 ……相変わらず裸足だが、それさえ除けば、立派なご令嬢のスタイルだ。

 まぁ……俺には迫力も威厳も無いし、確かにこの恰好が一番効果的だとは思う。

 冒険者ギルド前には、冒険者たちだけじゃなくて街の住民もいたしな。

 いい宣伝になっただろう。


「確か……セラ嬢は王都のダンジョンを、単独で上層まで到達していたな。普段はどのように戦っているのだ?」


 と、リーゼルとのやり取りを聞いていたのか、ユーゼフが話しかけてきた。


「どう戦うって………………蹴る?」


 我ながらなんという頭の悪い答え。

 だが、【影の剣】の事は隠しているしな……俺の手持ちで魔物相手に攻撃力があるのは【緋蜂の針】と【ダンレムの糸】だけだ。

 彼等が弓の事を知っているかはわからないが、使い勝手を考えたらこう答えるしかない。


「それよりも旦那様さ、さっきのアレはどうやったの? それって普通の剣だよね?」


「普通のよりも脆いかな? 見栄えだけを優先した儀礼用の剣だよ」


 リーゼルの腰にある剣を指すと、彼は再びそれを抜いた。


 スラっと長く綺麗な剣。

 刃には何か模様まで彫られている徹底ぶり。

 ……戦闘向きにはとてもじゃ無いが見えない。


「魔力を通したら、少しは使えるけどね」


 クルリと回すと再び鞘に戻した。

 もう振るう気は無さそうだな……。


「……何も感じなかったよ?」


 魔力を通して強化する技ってのは存在する。

 俺も時間はかかるしそこまで強くは無いが使う事は出来るものの、あの時のリーゼルにそんな様子は無かった。

 俺の場合は魔力の動きも見れるし、見逃す事なんて無いと思うのだが……。

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】・15枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・8枚

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― 新着の感想 ―
[気になる点] リーゼルがめっちゃ強いけどこの世界の王は自分の子供に聖貨である程度下駄を履かせたりするものなのだろうか?
[良い点] 更新乙い [一言] 魔力とか通さなくても、斬れば斬れるんだよ系 または、目にも映らぬ一瞬だけ系 相変わらず行政TOPの戦闘力が高いwwww
[気になる点] ユーゼフのセリフに、王都のダンジョンで単独で上層までと書いてありますが読みにくさを感じます。王都のダンジョンを単独で上層までと書いた方がより読みやすくなると思いますよ。
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