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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
16章・ようやくダンジョン一般開放!

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 リアーナ領の領都にダンジョンが誕生した。

 まぁ、実際は随分前から出来ているわけだが、秋の2月1日、今日この日をもって正式に誕生した。

 実に憶えやすい。

 開通は夜中って事にしているので、ダンジョンが誕生する瞬間の地震とかそこら辺のことを知る者がいたとしても、何となく誤魔化せるだろう……多分。


 さて……その早朝、リーゼルを筆頭にダンジョンに挑む者が玄関ホールに集合した。

 それだけじゃ無くて、セリアーナやエレナと言った身内や屋敷で働く者はもちろん、騎士団一行までもが大集合だ。

 壮行会みたいなもんか。


 集まった者達は、リーゼルの訓示に耳を傾けていた。

 途中でユーゼフも加わり、なにやら勇壮な事を語っている。


 数百年にわたる宿願とか……東に国土を拓くのは同盟国の命題なんだろうけれど、知らんがな。


 盛り上がる彼等を他所に、俺たちは俺たちで準備に取り掛かっている。


「……起きてるか?」


「だいじょぶ……」


 呆れた様な声のアレクに、キリっとした口調で答える。

 頭は起きているんだ……そのうち体も起きる。

 問題ねぇ!


 そのまましばしぼんやりしていると、向こうの演説は終わりを迎えた様で、扉が開かれた。

 そして、リーゼルを先頭にゾロゾロと出発していく。

 ファンファーレなどは無いが、歓声が上がったりと大盛り上がりだ。


 ここからは、ダンジョンがある冒険者ギルドまで1番隊の護衛の下、馬車で向かうことになっている。

 地下通路から直行も出来るが、領主として住民に対してのちょっとしたデモンストレーションだ。

 果たして早朝にわざわざ見物に出るようなもの好きがいるかどうかはわからないが……。


「よし。俺たちも行くか」


 アレクの言葉に、ジグハルトとルバンが短く答える。


「おう」


「ああ」


「……ぉぅ」


 当たり前だが、向こうの雰囲気にあてられるようなことは無く、俺たちに気負いはない。

 装備こそ領主主導のパーティーだから、俺以外はキッチリとした物を身に着けているが、気分的には軽いお散歩。

 余裕だな!


 とりあえず、ダンジョンに着くまではアイドルタイムって事にしておこう。

 漂いながらも辿り着いたアレクの肩に掴まった。


「……ぬ?」


 屋敷を出る直前で、ジグハルトがフィオーラから何かを受け取っているのが目に入った。

 まぁ、ソレだけなら別におかしなことじゃ無いが……なんか俺の方を見ていたな。

 なんだろう?


「セラ、俺たちはこっちだ」


「あ、うん」


 前の馬車にリーゼルたちが、俺たちはその後ろの馬車に乗り込んだ。


 ◇


「セラ、これを」


 屋敷がある高台の坂を下りた辺りで、ジグハルトが袋から出して、緑の小さな錠剤を渡してきた。

 先程フィオーラから預けられた物だが……。


「なにこれ?」


 酔い止めかな?

 俺は酔わないぞ?


「奥様からお前に眠気覚ましだ。お前がその状態でも働けるのはわかっているが、一応外に姿を見せるからな。飲み込まずに噛むんだぞ」


「なるほど……」


 アレはセリアーナの指示だったのか。

 外から馬車の中は見えないが、冒険者ギルドに着いた時に、ちょっと外を移動するもんな。


 それを受け取り口に入れる前に軽く匂いを嗅ぐと、スッとするミントのような香りがした。

 薬というよりはラムネ菓子みたいな感じだ。


「ほんじゃ、いただきます」


 ひょいっと口に放り込むと、まずは香りから想像通りの味が口内に広がる。

 その後は、やや強い酸味がジンワリと……そして。


「んがっ!?」


 ◇


「おや、セラ君。目は覚めたのかい?」


 冒険者ギルドに到着して、馬車から降りた俺を見たリーゼルの一言目はそれだった。

 馬車から降りて、すぐに冒険者ギルドに向かわず俺たちを待っていた様だ。


「もーばっちり!」


 俺そんな眠そうな顔をしてたのかな?


 とはいえ、あの薬の効果はもう……凄かった。


 わざわざ噛んだりしなくても、舌下薬の様に口に入れるとすぐに溶けて、味が一気に広がった。

 苦いわ酸っぱいわえぐいわ……。


 目が覚めるどころか一周回っておねんねするかと思ったわ。

 ただ、それもほんの一瞬の出来事で、味はすぐに消えた。

 後にはただただびっくりして目が覚めたという結果だけ……エナジードリンクやカフェインなんか目じゃねーな。


「それは良かった。折角これだけの者たちが集まってくれているわけだしね」


 これだけの者……野次馬の事だな。

 停車場から入口に向かって歩くとすぐに入口に着くが、その短い距離でも俺たちを見ようと人垣が出来ている。

 顔を見た事のある冒険者や、商業ギルドや街のおっさんたち。

 そして、見習いのガキンチョ共も。


 なるほど、一大イベントか……。

 確かにこれだけ期待されているのに、寝ぼけ眼でフラフラ浮いていたらいまいち箔が付かないだろう。

 俺を除くセリアーナ組はいつものダンジョン探索時に着ている、動きやすさ優先の装備だが、リーゼルたちはどちらかと言うと見た目優先の派手な装備だ。

 アレクたちの様な革製の黒っぽい地味な鎧よりも、金属のキラキラしている鎧の方がカッコいいもんな。

 たとえ、実際に動きやすいかどうかは別として……。


 当のリーゼルは、集まった者たちに笑顔で手を振っている。

 どこのアイドルかと……これも領民へのサービスなのかな?

 カリスマ性も求められるんだろうが……領主様は大変だ。

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】・15枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・8枚

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― 新着の感想 ―
[一言] 異世界メガシャキ・眠眠打破・強強打破的なサムシング( ˘ω˘ )
[良い点] セラさんへの注目度、本人の認識と実際が著しく乖離してそうですね。 [気になる点] >装備こそ領主主導のパーティーだから、俺以外はキッチリとした物を身に着けているが、気分的には軽いお散歩。 …
[良い点] 更新乙い [一言] すやぁ……
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