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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
16章・ようやくダンジョン一般開放!

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 それから数日、いよいよ領都に聖貨の運搬部隊が到着した。


 昨日の夕方には2つ手前の街に辿り着いていて、俺たちはその事が知らされていたが住民はそうではなく、突如現れた街に近づいて来る大部隊に少々街が混乱しかけたが、武器を帯びていない礼装のリーゼルが馬に乗って現れた事で、その混乱は収まった。

 元々ダンジョンの事は記念祭でも話していたし、時期的にそろそろだって事もわかってはいたしな。

 ただ、もう少し早めにこの事を知らせていたら、混乱も何も起きなかった様な気はする。

 それくらい、リーゼルもセリアーナもわかりそうなもんだけど……わざとかな?

 最初のうちは俺も上から眺めていたが、どことなくやらせっぽさを感じた。


 ともあれ、無事に部隊は街に入り、そのまますぐ下の騎士団本部へとやって来た。

 部隊の人数は全部で50人ほど。

 王都から超高額な荷を運んでいる割には人数が少ない気もするが、リアーナ領に入った時点で半数を帰還させたらしい。

 王都を出発した際は100人の部隊だったとか。


 それでも少ない気がするが、通過中の領地の兵が道中一緒に行動をするから、結局いつもは200人くらいになっていたそうだ。

 領主側も、自領で自前の兵を自由に動かす良い機会だとかで、快く協力してくれるらしい。

 ウチやゼルキスと違って、お上品な領地は各街がそれぞれ縄張り意識を持っていたりで、領主と言えど好き勝手に兵を動かすのは難しいんだとか。


 色々あるんだな……。


 ◇


「ね、セリア様。この後って何も無いの?」


 外から部屋に戻りしばらくした頃、セリアーナの部屋に騎士団の受け入れの手続きが完了した報せが届いた。


 流石に全員をこの屋敷で受け入れる事は出来ず、アレクやオーギュストの屋敷、そしてウチの騎士団の宿舎などに分散はしている。

 ここに滞在するのは、少数の幹部クラスだけだ。

 もっとも、全員男だしこの南館には関係が無い。

 テレサがそちらの取り仕切りに向かっているし、彼女が戻ってきたらあとで教えてもらおう。


 街も、彼等の登場に一瞬盛り上がりはしたものの、何かするでも無いし……いつも通りで良いのかな?

 一応これからダンジョンを開通させるための儀式をする事になっているが、冒険者ギルドも数日前から閉鎖して地下と繋げたりと、既に作業は完了している。

 予定では明後日の朝にリーゼルと共にダンジョンに行くことになっているが、それまでの事は特に何も言われていない。


「ええ。今回は運搬の部隊だけで、それに合わせて移動する商隊もいないでしょう? 住民に影響は無いわ。もちろん、これから訪れる冒険者たちには備えてもらう必要はあるけれど……」


「……あぁ。なるほど」


 普通兵が大量に移動する場合は、一緒に商人を始めとした民間人も移動する。

 野盗なんかの犯罪者はもちろん、魔物だって武装した大量の兵には近づいたりはしないからだ。

 顕著なのが、春の入学シーズンだ。

 別に推奨しているわけでは無いが、民間人はだいたいそれに合わせて一緒に移動している。


 兵力だけなら今回の一行はそれより上だが、運んでいる荷が聖貨だ。

 警戒するのは魔物よりもむしろ人間の方。

 だから、後ろをついて来ることを許さなかったのだろう。


 そういえば、上から見ていても部隊の後に続く者たちはいなかったな。

 規律がしっかりした中央の騎士団だ。

 目的地に到着したからって街でハメを外す事も無いだろうしな……。

 ついでに数日で街を去る。

 うん……それなら、ダンジョンが出来てからそれ目当てにやって来る冒険者に的を絞った方が良いだろう。


「あら?」


「どしたの?」


 なるほどなーと考えていると、なにやら驚いたような声をセリアーナが上げた。

 手続き完了の報せと一緒に持って来られた手紙を読んでいたが、何か変な事でも書いていたんだろうか?


「ええ。この隊を率いているのはユーゼフのようね」


「……ユーゼフって言うと、総長さん?」


 家名は忘れたがユーゼフは騎士団総長で、伯爵領以上なら自前で騎士団を持てるから、国の全ての騎士の……とはいかないが、それでも有事の際は彼の下に指揮権が集約される。

 実質この国の騎士のトップだな。


 ちなみに、ミュラー家のじーさんと仲が良い。

 年も近いし、似た者同士って感じだ。

 しかし、そのユーゼフがわざわざやって来たのか。

 まぁ……聖貨1万枚ともなればそれだけの事かな?


 ……本当の事を思うと、胸が痛むぜ。


「そのユーゼフね。これをリーゼルの執務室に届けて頂戴」


 セリアーナは話しながらもその返事を書き終えたらしい。

 インクが乾いたのを確認すると、クルクル丸めて封を押し、こちらに渡した。


「ぬ? りょーかい」


 内容はわからないが話のタイミング的に、挨拶でもして来いって事かな?


「ジグハルト殿はどうかわからないが、アレクやルバン卿も一緒のはずだよ。ダンジョンの探索についても触れるかもしれないし、色々聞いておいで」


「おぉ! 確かに!」


 エレナの言葉にポンと手を打つ。

 アレクは彼等との合流に備えて街を空けていたし、ルバンも何やかんや忙しそうだったしな。

 いい機会だ。


「んじゃ、行ってきまーす」

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】・15枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・8枚

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― 新着の感想 ―
[一言] > ダンジョンの探索についても触れるかもしれないし、色々聞いておいで 言葉の柔らかさから可愛がられてる事が良く分かる( ˘ω˘ )
[一言] 遂に聖貨1万枚届いた(設定)で開通か(´-ω-`)… 地味に待ち兼ねてました。w
[良い点] 更新乙い [一言] とうとうコインが届いたぞ!!(棒 ダンジョン開店だー!!(棒
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