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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
16章・ようやくダンジョン一般開放!

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 エレナへの【ミラの祝福】は2時間もかからずに完了した。

 施療中に発動した【祈り】は3回で切れてたし、予定通りだ。

 そして、これがいつも通りの施療ならもう終了なのだが……今日はここからが本番だ。


「痛っ!? いたたたた………」


「ちょっと? 動かないでよ……」


「いっ……いや、待ってセラ、痛い。痛いよ!?」


 普段は物静かなエレナが、ジタバタしながら声を上げている。

 俺は彼女の足に乗っているが、体重が軽いからか振り落とされてしまいそうだ。

 もうこうなったら尻尾でも巻きつけるか……?


「セラ」


「うん?」


 ベッド脇の椅子に座り、たまに施療の様子を訊ねるくらいだったアレクが口を開いた。


「随分痛がっているが、これは問題無いのか? 今は【祈り】の効果も切れているんだろう? お前の力でここまで痛がるというのは……」


「あー……、うん。大丈夫大丈夫。力はほとんど入れて無いし、これは骨とか筋がどうこうって痛みじゃ無いよ。手、出して」


 彼の言わんとする事はわかる。

 俺の力でここまで痛がるって事は、骨とか筋とか……あるいは筋肉といった箇所に負荷をかけて、痛めつけていないか気になったんだろう。

 なんといっても、やってるのは俺だしな。

 口で説明するのは難しいし、それなら彼にも少しだが体験してもらおう。


「手か……?」


 訝しみながらも出してきた手を取った。

 そして……。


「痛っ!?」


 手のひらを上に向けて親指の付け根あたりを、ツボ押し棒で軽くグリグリっとすると、顔をしかめて手を引っ込めた。

 思わぬ痛みと、すぐに痛みが引いた事も合わせて目を丸くしている。

 この世界にもマッサージはあるが、少なくとも俺の知る限りではツボ押しは無いからな……驚いているんだろう。


 自分で体験して、とりあえず怪我をするようなものでは無いと納得したのか、アレクは小さく頷いている。

 そして、自分でも手のひらを押してみて、確かめている。


「……なるほど。お前もよくよく妙な事を知っているもんだな……」


「んー?  昔なんかで聞いたんだよね。セリア様のマッサージをした時に思い出しちゃってさ。お腹の中とかに効くんだって。疲れたりしてると痛いらしいよ?」


 昔聞いたってのは、嘘じゃない。

 生まれる前の事だけどな!

 効果に関してはどこがどう効くかとかは全く覚えていないが、締めに【祈り】をかけておけば、悪いようにはならないだろう。


「こっ……これで……終わりかな?」


 俺がアレクと話している間に息を整えたらしく、今までベッドに突っ伏していたエレナが、顔を上げてそう言った。

 そんなに長引くような痛みじゃないのに、この憔悴具合。

 武術をたしなんでいるのに、痛みには弱い模様だ。

 まぁ、攻撃を受ける訓練をするわけじゃ無いし、そんなもんなのかな?

 実戦で盾役を務めるアレクとは違うか。


 とりあえず、これで終わるかどうか。

 その問いには答えておこう。


「まだ」


 その一言で、エレナはガクっと枕に顔を落とした。


 ◇


 あれから10分ほどかけて足のマッサージを終わらせて、さらに腰、背中、肩とツボ押し棒でグリグリと押していった。

 とはいえ、足裏に比べたら大したことは無い。

 エレナも最初は身構えていたが、その事に気付いてからは随分リラックスしていた。

 そして20分ほど続けたところで、完了だ。


 開始から全部で3時間くらいだったかな?


 体力的には問題無いが、時間が少々かかり過ぎるし他所でやるのには向いていないかもしれないな。

 だが……効果は時間と手間をかけただけあって、いつものお手軽版とは比べ物にならない。

 フラフラと体を起こしたエレナだったが、まずは彼女を見たアレクが驚き、そしてその反応を見て鏡を見ても驚き……小さな鏡じゃ物足りないと、全身が映る姿見のある談話室に移動することになった。


 ◇


 談話室に移動する際にその事を伝えるべく、エレナの侍女……メイラーというそうだが、彼女を部屋に呼んだ。

 そして、先程のアレクとエレナに比べて、より大きな反応を見せた。

 驚愕! って感じだな。

 どうやら、俺の加護の事は耳にしていたそうだが、それでもここまでとは……ってところだろう。

 ともあれ、部屋を移り彼女の用意したお茶を飲んでいるわけだが……。


「あはっ……あはははははっ!」


 談話室では俺の笑い声が響いている。


「うひっ……! うはははははっ……ぉぇっ!? やめてやめて」


 笑い過ぎていよいよ咽せたところで、ようやく俺の足を揉む手が止まった。

 はー……しんどかった。

 ソファーの上で体をモゾモゾ反転させて起き上がると、下手人であるエレナは、腑に落ちないといった顔で己の手にある棒を睨んでいるのが目に入った。


 あれだけ痛がっていたし、彼女の気持ちはわからなくも無いが……仕方ないだろう?

 日常的に【祈り】と【ミラの祝福】を自身に発動している俺は、恐らくこの世界でも屈指の健康体だ。

 足を揉まれたって、くすぐったいだけでしかない。

 エレナもその事に思い当たったようで、諦めたのか小さく息を吐いた。

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】・13枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・8枚

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― 新着の感想 ―
[一言] 生活習慣病にならない加護って良く考えれば凄い 祈りとミラの加護のシンパシーが良すぎる…病死の可能性が無いって事になる? トレーニングも効率良くなるんかな。ちっちゃな非力少女のままやけど
[良い点] 更新乙い [一言] くすぐり地獄ならきっと仕返しになるよ!!なるよ!!
[良い点] そうね、ほぼ歩いてすらいないし、肉体的な疲労が溜まるとか無さそうよねw そもそも睡眠もたっぷりやしな……
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