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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
16章・ようやくダンジョン一般開放!

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 リアーナ領都のすぐ側に広がる、一の森。

 現れる魔物や獣こそ国内の他所の地域と大差は無いが、決定的に違うのはここが魔境である事。

 1体1体が通常よりも強く、他所で経験を積んだ冒険者でも気を抜く事は出来ない場所だ。


「あっちぃ……」


 気を抜く事は出来なくても、暑いもんは暑い。

 もう秋だって言うのに、森の中は何とも言えない蒸し暑さ。

 日差しは木に遮られてそれ程でも無いが、狩り用の厚手のジャケットを身に着けると、汗ばむほどだ。


 特に今は滞空していて、風に吹かれる事も無い。

 お仕事中ではあるが、正直さっさと帰りたくなってくる。


「お、倒した」


 下を見ると、見習い達がゴブリン2体との戦闘を終えたところだ。


 数の上ならこちらは5人で優位に立っているが、それでもここのゴブリンは中々侮れない。

【祈り】を使っていないのに、無傷でしっかり倒すなんて大したもんだ。


 彼等は念入りに周囲の警戒を行いながら、死体の足をロープで括りつけている。

 このまま街まで引っ張っていくんだろう。

 毛皮や肉を利用するタイプの獲物ならこの方法じゃ駄目だが、ゴブリンなら問題無い。

 薬草採集が目的だった割に、しっかりと戦闘もこなした。


 そろそろ正式に冒険者デビューの頃合いだが、もうすっかり慣れたもんだ。


「隊長! 終わったぜ!」


 作業が完了したところで、下から俺に声が飛んできた。

 下に目をやれば、これ以上進むのではなくて、引き返す模様。

 見習いとは言え、もう2年近くこの森で活動しているし、どれ位が自分達の限界かわかっているんだろうな。


「たいちょー、じゃねーよ!」


 無駄と思いつつも下に向かって言い返すと、彼等と速度を合わせて、移動を開始した。


 ◇


 先程戦闘を行ったのは、森に入って数百メートルの浅瀬だ。

 魔物の強さも出現頻度も低く、見習い冒険者たちの研修先になっている。


 もっとも、俺は随分この引率業をサボっていたから知らなかったが、少し前まではもう少し奥まで進めていたらしい。

 だが、そろそろ領都にダンジョンが開通する時期が近づいて来て、森の中の冒険者の数が一気に増えた事もあり、少々後退して、探索は浅瀬のみとなった。


 リアーナのダンジョンは、何枚必要かは知らないが、他所と同じく聖貨が必要だが、それだけじゃ無くて魔境での依頼実績も必要になる。

 元々この地で活動していた冒険者は実績は問題無いが、他所からダンジョン目当てに流れて来た冒険者は違う。


 温い浅瀬での依頼は実績に加算されないそうだが、それでも魔境に慣れるためにお手軽な浅瀬での狩りは盛況で、見習い達はさらに浅い場所を利用するようになっている。

 本来だとどちらかと言うと地元の冒険者が優先されるそうだが、その辺はやはり正規の冒険者と見習いの差ってことで、譲る様にと冒険者ギルドで協議して決めたそうだ。


 さて、その他所からやって来た冒険者たちだが……中々魔境の魔物に苦戦している。

 わざわざ領地を越えてやって来るほどだし、彼等も地元じゃそれなりに腕自慢だったんだろうが……、なまじ経験がある分、ついつい自分達の知る魔物の強さを基準に挑んでしまい、エライことになる者がちらほらと。

 ってことで……。


「止まって」


「っ!?」


 あくまで引率ってことで、何か指示を出したりなんてしてこなかったが、これは別だ。

 何事かと身構える彼等にその場に留まる様に言いつけると、そこから少し離れた場所にある岩陰に向かって声をかけた。


「生きてるー? 死んでるー? 近づくよー?」


 その言葉に返事は……無いね。

 まだ死体になっていないのはわかるが、もう余力が無いのかな?


【妖精の瞳】は体力も含めた身体能力の総量のような物が、体を包む膜になって見える。

 疲れ果ててへたり込んでいたってその量に違いは無いが、瀕死になっているとその膜がほとんど見えないくらいに減っているんだ。

 ちなみに死体には何も見えない。


 俺は見習い達と一緒に移動していた時に、余力が尽きかけた瀕死と思しき人間の姿を捉えた。

 今声をかけた先にいるはずだ。


 手負いの獣も怖いが同じく瀕死の人間もそうだ。

 救助に近づいても、意識が朦朧としていると敵と誤認して斬りつけてきたりってのもよくあるらしい。

 その辺のことは彼等も座学で教わっているだろうが、対処できるかどうかは別だ。


 一応引率の手前、彼等を危ない目に遭わせるわけにもいかないし、何より俺なら1発は耐えられる。

 適役だな。

 ってことで、返事は無いが呼びかけを続けながら、残り後数メートルの距離まで近づいたのだが……。


「……うっ!?」


 鼻をつく嫌な臭いに、思わず声を上げ口元を手で押さえた。


 こりゃー血だけじゃ無いし……そもそも1人分じゃないな?

 俺が確認出来たのは1人だけだったし……ってことは……?


「近づくぞー? 攻撃しないでよー?」


 それでも呼びかけを続けながら、【風の衣】をやや強めに発動し、近付いて行った。

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】・13枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・8枚

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― 新着の感想 ―
[一言] セラさんにトラウマが残らなければいいけど……
[一言] 腹を裂かれて中身ぶちまけて虫の息とかかな。
[良い点] 更新乙い [一言] 死臭通り越して腐敗臭 は、流石に時間足りないかなぁ どうなるか……
感想一覧
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