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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
15章・リアーナでアレコレと。

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 どーすんだ……?

 と、親父さんの次の言葉を待っていると、ようやく口を開いた。


「セラ、君を我が家の養子にするのは、複数の理由がある。一つは王族を始め国内の貴族の中から、君が他国へ流れる事を危惧する声があった事だ。もっとも、政治的な意味合いでは無いのが面白いところか……」


「……うん。聞きました」


 主に御婦人の間でそんな声が出ているそうだ。

 だから、俺がこの国に留まる為にもこの話を推しているんだと。

 で、一番面倒にならないであろうミュラー家の養子にって、セリアーナが話を持って行ったと聞いた。

 別におかしなところは無いし、俺も納得していたんだけれど……。


「他にも東部と中央の繋ぎ役などもあるがね。まあ……それらが、他者が君を我が家の養子に推す理由だ」


「……はぁ」


 俺が知っていることと大差無いな。

 何でそれをわざわざ……?

 と、疑問に思っていると、親父さんは少し間を置いて再び話を続けた。


「もちろんそれ等も十分な理由になるが……セラ。君はこのゼルキス領をどう思う?」


「……は?」


「少しわかりにくかったか?」


 全くわからんかったよ……?


「ゼルキス領は、領主でありミュラー家当主でもある私、ミネアとフローラの2人の妻。さらにミュラー家と所縁のある者たちが結束して支えている」


 そして「彼等もそうだ」とリック達を指した。


「……はぁ」


 まぁ、リアーナ領でも、未だミュラー家の縁者が代官だったりを務めているくらいだもんな。

 お膝元のゼルキスじゃそりゃそうだろう。

 主要な役職を身内で固めるってのは大事な事だ。


「だが、ここ最近少々綻びが見え始めている。簡単に言うと、ミネアとフローラの派閥があるのだが、それらに対立の兆しが見え始めている」


「……あらま」


 思わず目を丸くしてしまう。

 その2人は俺が見た限り仲はいいと思うんだが……?


「私はフローラさんともルシアナさんとも良好な関係を築いているつもりなのに……困ったものだわ」


 後ろでミネアさんが溜息をついている。

 どうやらこの様子じゃ、彼女達本人じゃなくて周囲が勝手に動いているのかもな。

 親父さんも、その言葉に頷いている。


「アイゼンとルシアナがいるだろう? 2人により自派閥の強化につながる者をあてがおうとしているのだ」


「ほうほう」


 後継者争いみたいなことになってるのかな?

 んで、領地を自分達の好きなようにすると……。


「派閥を作る事や、自派閥の者を推す事自体は良い。既に後継はアイゼンと決めているし、その者達もそれを覆そうとは考えていないようだしな。だが……対立派閥を蹴落とそうとする動きをしているのだ。領地が割れかねないし、それは何としても避けなければならない」


「……ほぅ」


「ゼルキスは広大な領地を持ち、さらに長く魔境に接していたため、今まで内部の権力争いをしている余裕が無かった。だが、リアーナに領地を割譲し魔境からも遠ざかった事で、よからぬことを考え出したのだろうな」


「なるほどぉ……」


 この国……というか東部は、内部でぐちゃぐちゃに権力争いとかをやっている余裕が無いとは俺も聞いている。

 魔境とか関係無しに、そこら辺に魔物がうろついているもんな。


 派閥作ってアレコレやっている連中も、その辺はしっかりしているようで、後継云々には介入する気は無いようだ。

 その代わり、対立派閥を潰して、自派閥で領地を掌握したいとは考えている。

 だが、親父さん的にはそれはアウトなんだろう。


 で、俺を養子にしてそれに牽制する……と。

 ……なんで?

 俺が養子になる事に何か関係あんのかな?


「私は当主の座には早くから就いていたが、調整役として裏に回っている期間が長かった。だからだろうな……どうにも一部の武辺者達に軽んじられているのかもしれない」


 頭上に「?」を浮かべたままでいると、フッと笑う親父さん。

 いつもと違ってどこか自嘲めいた笑みだ。


「……はぁ」


 先代がじーさんだったからなー……。

 当主の座を早いうちに譲って、本人は東の端っこで魔物蹴散らしたりして開拓に勤しんでいたそうだし、リアーナにも自分の名前が付いた重要拠点があるくらいだもんな。

 俺は剣を振っている所を見た事あるし、じーさんに負けず劣らず強いってのはわかっているが、その事を知らない人からしたら、就任当初からずっと裏方に回っていた親父さんは、じーさんに比べたらインパクトは薄いだろうね。


 ……でも、結局それがどう俺が養子にって話に繋がるのかわからんぞ?


「旦那様」


 今まで黙っていたリックが親父さんに向かって言葉をかけた。


「む? どうした?」


「セラが退屈していますよ?」


 その言葉に俺の顔を見る親父さん。

 別に退屈はしていないが、要領を得ないな……とは思っている。

 俺も親父さんの顔を見て、一つ頷いた。


「話が長いのですよ。ゼルキスの事情はこの際置いておいて、ウチの事情を話せばいいのですよ」


 と、ミネアさん。

 親父さんはそれを聞いて少々気まずそうな顔をしている。


 まぁ、その様子を見るとじーさんの様な威圧感は感じられないよな……。

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】・11枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・8枚

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― 新着の感想 ―
[一言] まだ正式に家に入ってないのにお家のゴタゴタを聞かせてもらえるセラさんの信用度( ˘ω˘ )
[一言] 事情はわからんが事情があるのはわかるお話 伝え方って難しいですね
[良い点] 父ちゃんちょっとかわいいw
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