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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
15章・リアーナでアレコレと。

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 街の散策はほどほどで切り上げて、領主の屋敷に向かった。


 少々唐突ではあったが、夏の3月の終わり頃に訪れる事は伝えていたし、街をうろついている間に検問の兵から連絡があったのか、特に待たされること無く俺がいつも使っている部屋に通された。

 風呂の支度も出来ていて、もてなす体制がしっかり整っているあたり、流石と言ったところだろうか?

 

 リアーナの方は、記念祭のお客のもてなしは上手くいったが、リーゼル付きの侍女であるロゼ曰く、まだまだ事前に予定のある客の対応しか出来ないそうだ。

 それこそ今の俺の様に、近いうち寄るかもーって客の相手はまだ難しいんだろう。


 まぁ、そこら辺の事は経験を積んで出来るようになってもらおう。


 ……ところで俺が今日着ていた服は、いつもの黒のワンピースに赤い薄手のマントだ。

 戦闘は全て避けるつもりではいたが、何があるかわからないし余所行き用ではなくて、一般的な生地ではあるが戦闘用の服をチョイスしていた。

 着替えは【隠れ家】にもあるが、この屋敷には俺用の服も揃えてくれている。

 以前はルシアナの服を借りていたが、俺用の衣装タンスまであるそうだからな……。


 まぁ、仕立てたのは前の事だろうし、サイズがぴったりという訳にはいかないが、親父さんもその事はわかっているだろうし、問題無いだろう。


 ……とか思っていたんだけれど……用意された服はピッタリだった。


 別に俺の好みってわけじゃ無いが、俺が普段からよく着ている服は、【浮き玉】に乗る事が前提で足が動かしやすく、尚且つヘビの出し入れがしやすい裾の広がったデザインをしている。

 この国の女性は割とタイトな服装を好むし、少々流行から外れている。

 にもかかわらず、似たようなデザイン……恐らく記念祭の折に、セリアーナから寸法を受け取って仕立てたんだろう。


 それはいつもの事だが……二月も経っていないのに仕上がっているのか。

 仕立ての出来はリアーナ領都の職人も引けを取っていないと思うが、突発的にこんな俺しか着ない様なものを用意できるかって言うと……ちょっと人手が足りないだろう。


 うーむ……まだまだ差があるなぁ。


「どうしたの?」


 リアーナとの差を感じていると、着替えを手伝ってくれていたメイドさんが、声をかけてきた。

 後ろからでもわかったんだろうか?


「んー? なんでもないよ。あ! そーいえば、今日は屋敷には旦那様と奥様しかいないんだっけ?」


「ええ。アイゼン様はお一人で、フローラ様はルシアナ様と領内の視察に向かっているのよ。雨季前には帰還されるけれど一月近くになるわね。セリアーナ様も屋敷にいた頃は行っていたわね」


「ほうほう」


 部屋に案内されている時にチラっと聞いたが、そんなしっかりしたお出かけだったのか……。

 まぁ、気軽に領主夫妻が領都から離れるわけにはいかないもんな。


 子供達が代理を務めているんだろう。

 もちろん従者や護衛も一緒なんだろうけれど、皆大したもんだ。


「はい。終わったわ」


「ありがとー。お洒落な服は着るのが難しいね……」


 普段俺が着ているのは飾りっ気の無い地味な物だが、今着ているのはあちらこちらに飾りがついている。

 ただ似た物ってだけじゃなくて、ミネアさんの趣味が反映されているのかな?

 普段の服だと、頭からガボっとかぶって、適当に腰の辺りで留めてエプロンをつけるっていう雑な着方で済むが、この服は背中側で留める箇所があったりと、そうはいかないからな……。


「本当ね……。セラちゃんは使用人の制服だって適当に着ていたくらいだものね」


 俺の言葉に苦笑を浮かべている。


 彼女は俺がセリアーナに拾われたころから働いているベテランさんで、俺がこの屋敷にいたのは短い間だけだったが、それでも覚えている様だ。


 しかし……もう5年近く経つし、顔ぶれも結構変わってきている。

 メイドと言えど、なんといっても領主のお屋敷で働くわけだし、身許もしっかりした人たちだ。

 花嫁修業みたいな意味合いもあって、若い女性の場合は1年2年で入れ替わったりする。


 領都出身の者もいれば領内の他所の街出身の者もいて、代官の推薦を受けて働きに来ている。

 使用人の中で俺が屋敷にいた時親しくなった人もいたが、彼女達も地元に戻っている。

 寿退社だ。


 昔は、この屋敷で働く者同士でくっついたりして、そのまま働き続ける者も多かったらしい。

 こっちは社内結婚だな。

 そして、子供が出来ると、その子もそのまま親と同じルートを辿って行くと……。

 だが、最近はそういったケースは減っているらしい。

 俺が屋敷にいた時も、使用人の子供とかはいなかったもんな。


 その代わり、子育てが終わり生活がひと段落すると、再び屋敷で働く事もあるんだとか。

 なんだかんだで、領都の生活は魅力的なんだろう。


「それじゃあ、向かいましょうか」


「うん。お願いー」


 風呂に入ってサッパリしたし着替えも済ませた。

 とりあえず、親父さんに手紙を渡して、用事を片付けよう。

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】・11枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・8枚

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― 新着の感想 ―
[一言] 現地のというかお屋敷の就職事情と結婚事情 実に中世欧州っぽい テンプレの領主のお手つきとかは無いっぽい それにしても甘やかされている怠惰姫 一応義理の娘だからこんなもんですかね?
[一言] そういえばセラさんは養子として貴族になっても普通に使用人の服着て働いてそうだよね。
[一言] 意外といれかわりはやいんだなぁ
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