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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
15章・リアーナでアレコレと。

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「セラ」


 ここで彼が入って来てから初めてセリアーナが口を開いた。

 ついでに俺の顔の上で右手の人差し指を立てている。

 右手の人差し指……あぁ、見せんのね。


「ミオー、これ見て」


 彼女が見えやすいように、右手を掲げた。

 右手の爪は、既に全部黒のマニキュアは落としている。


「……人差し指の爪だけ黒が塗られていますね?」


 まぁ、知らないとそう見えても仕方が無い。

 ここからだと顔が見えないが、それでも声から「?」といった様子なのは伝わって来る。


「違うよ。アカメ」


 呼びかけると袖から頭を出したアカメが、シュルシュルと指先まで伸びていき、【影の剣】を咥えるとそのまま抜き取った。


「……あ、それは恩恵品だったのですね……。なるほど、ソレを隠すために普段から指輪を複数着けたり、爪も黒に塗ったりしているのですね」


 指輪が外れた事で爪の色が元に戻ったのを見て、ソレが何か、そして何のためにジャラジャラ指輪を着けているかを理解したようだ。

 もちろん爪の色が変わるだけじゃ無いってのは彼女もわかっているだろうが、効果を聞いて来るような事はしないあたり、オーギュストの副官って感じだ。


「そうそう」


「……その、ではよろしいのですか?」


 違う色を塗っている事に疑問を感じたんだろう。

 だが、問題無い。

 そう答えようとしたのだが……。


「問題無いわ。この娘はしばらくダンジョンにはいかないそうよ。それにしても……お前変な芸を仕込んだのね」


 俺の代わりに答えたセリアーナは、感心した様子でアカメから指輪を受け取った。

 なんで俺じゃなくてセリアーナに渡しているんだろう……?


「面白いでしょ?」


 まぁ、仕込んだんじゃなくて勝手に覚えたんだけどな……。

 お陰で俺が恩恵品を外さずに寝ていても、代わりにアカメ達が外してくれるんだ。

 おまけにベッドのサイドボードにちゃんと置いてくれている。


 普段は自分で外しているが、たまーに疲れてた時とか忘れる事もあったからな。


「前は着けたまま寝ていた時は、私が外していたけれど、最近外し忘れが無いのはそう言う事だったのね」


「……うん」


 セリアーナも外してくれていたのか……気付かんかった。


 ◇


 場が和んだところで、ようやく本題のダンジョン関連の話に移った。


 アレクは中層全域の情報を、フィオーラは改装の進捗具合をそれぞれ報告し、どちらも順調で、そのまま進める様に……となった。

 で、俺の番。

 下層にチャレンジして、オオザルを仕留めきれなかった件だ。

 セリアーナ達には簡単には伝えているし、アレクの報告でも少し触れていたからオーギュストも、多少は知っている様だが、改めて詳細の報告をした。


 下層はボス討伐の際に踏み入ったが、皆強い上に特にジグハルトが張り切っていたからな……ノーカウントだ。

 今回は図らずも先遣隊のような役割を果たしてしまった。


「セラ殿の矢が通じなかったか……私は通常よりも強いと考えるがどう思う?」


「そうだな。魔境の影響を受けているのか、それとも下層だからか……。ジグさんはどう思いますか?」


「勘の良い魔物なら躱すくらいは出来るだろうが、アレを受け止めるとなるとな……。間違いなく通常種よりは上だろう。気になるのは投石でセラの行動を誘導した事だな……」


 報告が終わると、ダンジョン探索を主に率いる3人はあーでも無いこーでも無いと、真剣に話し合っている。

 ……真剣なのは間違いないが、楽しんでもいるんだろうな。

 勝手に結論を出すだろうし、こいつらは放っておいてもよさそうだ。


「セラ、当分ダンジョンに行かないとは言っていたけれど、構わないの? お前、ゼルキスでも中層で詰まった時に積極的に挑んでいたじゃない」


 ゼルキスのダンジョンでは中層のオーガに苦戦して、何度かトライを繰り返した。

 そして、攻略法を編み出して突破できるようになったのを、セリアーナは覚えていたのだろう。

 今回は早々に諦めた事を訝しんでいるようだ。


 だが……。


「あん時はさ、あくまで数が問題ってだけで、1対1なら勝ててたんだよね。だから、戦い方を工夫したらいけそうな気はしてたし、実際そうだったんだけど……。今回はねー……ちょっと倒せる気がしないんだよね」


 マニキュアを塗り終えて乾かすために両手を上げたままの変なポーズで答えた。

 今日の下層での戦闘を思い出したが……アレは無理だな。


【ダンレムの糸】はまともに当てるのは難しく、【影の剣】は通じこそするが、斬り落とすのは刃が短すぎるし、核や急所を突き刺すのも、思いっきり懐に入り込む必要があるから却下。

 同じくらいの強さの魔物でも、これが四つ足なら背後から接近してって方法を採れるんだが、二足歩行だしな……。

 そして、【緋蜂の針】もダメージこそ入るが致命傷には程遠く。


 俺が魔物を倒す手段ってのが基本的に恩恵品頼りだから、それが通じない相手になると何もできなくなるんだよな。

 かと言って、一朝一夕で下層の魔物相手に通用するほど俺自身が強くなるってのも不可能だし……。


 ちょっと、根本的に戦い方を考え直す必要があるのかもしれない。

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】・10枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・3枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・7枚

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― 新着の感想 ―
[良い点] 群れのボスをちゃんと蛇達も認識していて逆らっちゃいけないと理解しているのでセラがポンコツムーブしても反旗を翻す事は無さそうw [気になる点] >ここで彼等が入って来てから初めてセリアーナが…
[一言] おっと?ちょうどよくそこにガチャ一回分があるぞ
[良い点] 何故指輪をセリアに渡したかって? そりゃお前、誰がどう見ても群の最上位は奥様じゃないか。 蛇にだって本能はあるんだ。 [気になる点] ある夜―― 「まったく、この娘は恩恵品も外さずにぐーす…
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