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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
15章・リアーナでアレコレと。

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「……あれ? これいけるんじゃね?」


 チクチク斬ったり蹴ったりしていたのだが、ふと気づいてしまった。

 もう10分くらい経っているし、2発目いけちゃうぞ……?


 結局このおサルさんは、よほどダメージが大きかったのか、まともに右腕を使っていない。

 精々筋力で強引に振り回すくらいだ。

 まぁ、それでも千切れていないのが、筋肉と皮膚の頑強さを物語っているわけだが……。

 ともあれ、このまま攻撃を続けていても、致命傷を与えるのは難しいだろう。


 だが、もう一度弓をドッカンとぶっ放せば……!


「ふらっしゅ!」


 離れていたとはいえ、この魔法はこいつも見ていたはずだ。

 だが、使ったのはあの1発だけだったし、頭から抜けていたのかもしれない。

 目潰しの直撃を受けて、左手で顔を押さえながら悲鳴じみた咆哮をあげている。


 ぬふふ……隙だらけじゃないか!


 笑いを堪えて、オオザルから30メートルほどの位置に下がり【ダンレムの糸】を発動した。

 もっと近い方が狙いは正確に付けられるだろうが、万が一暴れられようものなら、その距離だとちょい危ないかもしれないもんな。

 俺は油断しないぜ?


 発射の体勢を取りながらオオザルを見ると、左手で顔を押さえているのは先程と同じだが、さらに右腕まで振り回している。

 振り回しているが……こちらに仕掛けてくる様子は無い。

 確かに視界は奪っているが、それ以外の感覚には影響ないはずなのに……他の魔物もそうだが、やはり急に強烈な光を浴びるとパニックになるのかもしれないな。


 唸りを上げる弓を足と尻尾で固定し、腕を振り回しながらうろつくオオザルに狙いをつけた。

 放置していると回復するだろうから、悠長に狙いをつける余裕は無いが……それでも、この一撃で核を貫く必要は無いんだし、どこかに当たりさえすれば十分だ。

 この一射でさらなるダメージを与えて、そして、止めは【影の剣】……これだな。


「たぁっ!」


 オオザルが右腕を振り切ったタイミングで、発射した。

 例によって地面を抉りながらカっ飛んでいく光の矢。

 そして……間髪入れず響き渡る着弾と崩落の音。


「……はれ?」


 予期せぬ轟音に驚き声を上げてしまった。

 発射と同時に移動を開始していたので、ちょっと目を離していたのだが……何が起こったんだ?


 音から考えて、壁に当たったんだろうが……オオザルはどうしたんだろう?

 壁の近くにいたが……まさか貫通しちゃったのか?


 一発目以上に土煙がひどくて、状況が把握できない。

【妖精の瞳】を発動して、土煙に視線を向けようとした正にその瞬間。


「…………うぉわっ!?」


 土煙を切り裂き、俺目がけて何かがすっ飛んできた。

 慌てて上空に退避して一息つくと、すぐに下を見ると、先程まで俺がいた場所に無傷の左腕を叩きつけているオオザルの姿があった。


「……無傷?」


 厳密には右腕を怪我しているが、それは先程から。

 だが、そこを除けば損傷した箇所が目に入らない。

 目潰しを決めて、比較的近めの間合いからだったのに……躱したのか?


「まじで……? って、あぶっ……なっい!?」


 少々呆然として見下ろしていると、いつの間にか握りしめた小石の塊を俺目がけて投擲してきた。

 1個1個は小さいが広範囲にばら撒かれて、まるで散弾銃だ。

 幸い一つ一つの威力はそれ程でも無い様で、風で弾いているが、その風の結界に当たる都度に俺ごと揺らされている。

 最初に比べると速度も上がっているし、これを連発されるようだと、そのうち撃ち落とされるかもしれない。


「これはどうする……うわっ!?」


 接近戦を仕掛けるか、いっそ本格的に距離をとるかで迷っていると、今度は小石でなくて、手のひら大の大きな石をぶん投げてきた。

 アレが散弾ならこっちは大砲だ。

 半端な距離をとっていると両方を警戒しないといけないし、却って危ないかもしれない。

 それに、いま距離を空けた分も詰めて来ている。

 これで、無駄にジャンプでもしてくれたらその隙を空中で突く事が出来るのに……!?


「おっと……。流石にこの距離じゃー当たってやらないぞ?」


 今度は正面からじゃ無く俺の側面に回り込んでから、散弾の如く小石をバラバラと広範囲に景気よくばら撒いているが、一度見た事がある上に距離もある。

 お次は大砲だが、それもあっさりと躱した。

 石は俺に当たる代わりに壁に直撃し、大きな音を立てている。

 当たればただじゃ済まないだろうが、肝心の俺に当たらない様じゃー……壁?


「あー……壁際に追い込もうとしているのか……」


 回り込んだのはそっちの方が壁に近かったからだろう。

 壁際なら回避の選択肢も減るし、投擲が当たる可能性も増える。

 壁までまだ余裕はあるし、何より俺の場合はそんなの大した問題じゃ無いが……頭いいじゃないか……。

 こりゃ、色々見せちゃったし、ここで倒しておかないと面倒なことになりそうな相手だな。


 さてどうするか……全く……なんでこんな風に追い詰められてから本気出すかね?

 この強敵との決着をどうやってつけるか……それを見下ろしながら考えていると、不意に広間に男の声が響いた。


「セラっ! 動くなよっ!」

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】・7枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・3枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・7枚

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― 新着の感想 ―
[一言] 帰ったらセリアさんからお小言かな~?
[一言] 残念時間切れ。 糸の一撃で仕留められなかったのが誤算で、結果論ですが、時間制限のオーダーを遂行するためには糸を試さず撤退するべきでしたか。手持ちの切り札の限界を確かめられたのは収穫でした。
[一言] オオザルが避けれた理由って何なんだろうか…そういや腕に魔力纏ってガードしてたし、実は蛇達みたいに魔力を読む事が出来るとか?
感想一覧
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