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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
15章・リアーナでアレコレと。

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「ふらっしゅ!」


 オーガに接近すると、目潰しに魔法を放った。

 今までは1体ずつ倒していったが、前に出てきたあの2体……オオザルを警戒しながら、あいつらを引き離して狩っていくのは厳しいだろう。


 直撃を受けた2体は顔を押さえて呻いている。

 傘や【竜の肺】の補助が無いから、光量は控えめで復帰はいつもより早いかもしれないし、ここは時間をかけずに、2体一息にやらせてもらおう。

 例によってサックリと核を潰そうと、【影の剣】を伸ばして未だ呻く2体に接近したのだが……。


「……むっ!」


 もう後数メートルの距離まで近づいたところで、ヘビたちが横から何かが飛んで来る事に気付いた。

 どうせオオザルが何か投げて来たんだろう。

 守りは固めているし1発くらいなら無視してもよさそうだが……攻撃全回避が俺のスタイルだ。

 魔法が1発無駄になるが、ここは普段通り……!?


「ぬぅぇぇぇぇいっ!?」


 何が飛んできたのかだけ確認しようと、そちらを見た瞬間奇声を上げてしまった。

 飛んできた物体に驚きすぎて、一瞬頭は真っ白になったものの、【浮き玉】はしっかり反応してくれて、高速で離脱を果たしてくれた。

 流石だ、お玉。


「……あ、潰れた」


 俺は回避に成功したが、地面にいておまけに視界を奪われた状態のオーガが躱せるわけも無く、見事にソレが直撃して押し潰されている。

 飛んできた物体はオオイノシシで、ウシみたいな大きさで、重さは数百キロは軽くあるだろう。

 中層で戦ったボスザルは魔王種で、アレはまた別格だったとはいえ大岩を高速でぶん投げてきた。

 速度こそ気付いてから躱せるくらいではあったが、ノーマルのオオザルだって、それくらいの力はあるか……。


 オーガもイノシシもまだ息はあるが、ぐったりしている。

 そりゃーそうだろうよ……むしろあれで死んでいない方が凄い。


 オオザルの方を見ると、特に何をするでもなく先程までと変わらない様子でウロウロしている。

 もしかして、何となく投げただけなのか……?


「……とりあえず、仕留めておくか」


 オーガとイノシシに近づき、3体ともサクサクっと止めを刺した。

 これで残りは、毒で動けない魔物が数体とオオザルだけ……実質オオザルとの1対1だ。


 ……どうしよう。

 ボスザルはもちろん、ノーマルのオオザルにもまともに俺の攻撃は通じなかったしな。

 どうやら積極的に俺に仕掛けてくる様子は無いし……このまま逃げるってのも有りなのかもしれないが……。


「矢は試してないよな……」


【緋蜂の針】はまともに通じず、【影の剣】は危なすぎて間合いまで近づけない。

 だが、俺の手持ちで一番威力と射程のある【ダンレムの糸】は、乱戦だったり狙いをつけるのが難しかったりで、まだ試していない。


「ふむ……後10分ちょっとか」


 アレクに言われた制限時間の1時間まで、後少し。

 上手くいけば2発撃てるし、やってみるかな?

 無理ならさっさと、とんずらこけばいいんだ!


 ◇


「よっ!」


【ダンレムの糸】を発動し、同時に【足環】と【蛇の尾】も発動して、矢を射る体勢に移る。

 オオザルとの距離は30メートルほど。

 こちらを見てこそいるが、この距離でも相変わらず俺に何かをしてくることは無い。

 先程のイノシシぶん投げてきたのは何だったんだろう……魔法に反応したのかな?


 ともかく、このギュンギュン唸りを上げている【ダンレムの糸】にもさほど警戒を向けていない。

 一応俺から目は離さないものの、呑気に残った昏倒中の魔物の間をうろついている。

 このライン上なら、数体は巻き込めるし、射るならここだな……!


 オオザルを注視する事1分程。

 また魔物をこちらに投げようとでも思ったのか、倒れ伏すオーガの傍らにしゃがみこんだ。

 狙うならココだ!


 矢は【足環】と【蛇の尾】のお陰で、もうほとんどブレることは無いが、俺が左側から射っているからか、毎度そちらに少しだがズレてしまう。

 そのため、折角の長射程武器でありながら、遠距離攻撃としては使えていないが、この距離なら問題無い。


「…………ぬー……はっ!」


 しっかりと胴体に狙いをつけて、矢を放った。


 放たれた光の矢は、ダンジョンの地面を抉りながらオオザル目がけて尾を引きながら直進して行く。


 そして狙い通りオオザルの胴体を貫き、ダンジョンの壁面にドーン……と……ならないな?

 その代わりに何かバチバチっと、【緋蜂の針】のスパーク音みたいなのが耳に届く。


 いつも矢を放つとき、発動前や発射後も地面や壁を抉る音はするが、矢自体は音を発しない。

 まぁ、鏑矢じゃ無いし、当然と言えば当然だ。

 だが、今は確かに何かバチバチとした音がして……さらに耳を澄ますと、何か呻き声のような音もする。


 ……なんだこの音……どうなってんだ?


「直撃はしたはずだよね……? ……いや、待てっ!?」


 何で矢がまだ見えているんだ?

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】・7枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・3枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・7枚

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― 新着の感想 ―
[一言] 矢と押し問答してる図? 498話ってなんかちょっとお得感がある
[良い点] 更新乙い [一言] 直撃した(倒したとは言っていない)
[一言] 地形変える系のMAP兵器に抵抗できるってそれ本当に通常種なの? 逃がすとまずいしアレクが様子見に来るまで時間稼いで確実に倒しておきたいところ。 そしてセラ一人で下層にGOサイン出したアレクは…
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