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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
15章・リアーナでアレコレと。

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「下層いけると思う?」


 人の少ない場所はあるが、ここは開けた階層だからな……中層でも俺が狩りを出来る場所は無さそうだ。

 それならもう、ここの先の下層しかない。

 だが……下層はボス戦の時に一度踏み込んだだけだ。


 ちょっと俺だけじゃ判断は出来ないので、アレクにも相談する事にした。


「下層か……。アレ以来まだ誰も踏み込んでいないからな……。魔王種が消えた事で出現する魔物がどうなるかは断言出来ないが……お前ならいけると思う。下層の構造もお前なら苦にならないだろう?」


 しばし考えこんでいたが、まぁ、なんとかいけそうかなって答えだった。


 下層は足場はあまり良くないし勾配もあって、気を抜くことが出来ない狩場だと思う。

 魔物も強いし単独で挑む狩場じゃ無いだろう。


 だが、俺なら足場の不利は関係ない。

 それ以外にも、上層よりは広いが壁で区切られているから、乱入してくる魔物の数も限られているし、俺でも対処できるだろう。

 なにより、周りに人がいないってだけで、選べる戦い方も増えていく。


「だよね……。よし……ちょっと行ってくるよ!」


 今は守りも固めているし、一撃で昏倒させられる事も無いだろう。

 ヤバいと思えば【隠れ家】に逃げ込む事だって出来るんだ。


 いけるいける!


「ああ。だが……そうだな、とりあえず1時間を目安にしろ。時間になったら一度こちらに戻って来い」


「ん、了解」


 まぁ、一先ず期限を設けないとキリが無いし、1時間ってのは妥当なところだな。

 下層か……しっかり気を引き締めていかないとな……!


 アレクに手を振り、その場を離れながら高度を天井近くまで上げた。

 中層全体が見通せるが、今戦っているのは中央付近までだな。

 ここから徐々に奥まで押し広げていくんだろう。

 弓で牽制しながら、槍で迎え撃つスタイルを試しているようで、少々速度は遅めだがその分堅実だ。

 普段なら、ダンジョンで知り合いにあったら別れ際に【祈り】をかけていくが……これは検証でもあるしな。


 どうしよう……と振り返りアレクを見ると、首を振っている。

 必要無いってことか。


 んじゃ、俺はちゃっちゃと下層に行きますかね!


 ◇


 さて下層に到着したはいいがどうしたものか……。


 魔王種討伐以来だが、あの時は俺は道中サポート役に徹していた。

 下層での戦闘もそうだった。

 俺が本格的に戦闘に参加したのは、あのカマキリが姿を見せてからだったしな。

 ここの魔物と普通に戦うのはこれが初めてだ。


 今目に入るのは魔獣種の群れがほとんどだが、少数の妖魔種も含まれている。

 空を飛ぶ魔物は今のところ目に付かないが……。


「ぬぬぬ…………。とりあえず毒撒くかな……。ほっ!」


【浮き玉】の高度を上げながら【紫の羽】を発動した。

 この階層の魔物にも、少々時間はかかるが十分効果はある。

 考えが纏まるまでの時間も無駄にならない。


「魔物は……40体ちょっとか。奥にはもっといるけど細かい数はわからんね。……あれはまだ気にしなくていいかな?」


 距離があるのをヘビたちの目で見ると、光点が重なってよくわからなくなるんだよな。

【妖精の瞳】も使えばよりはっきりと見えるようになるが……、あれまで使うと魔力の放射系の技を使って来るような魔物がいた時に、ダメージを受けちゃうからな……。

 厳密には攻撃じゃないから、【琥珀の盾】と【風の衣】も防いでくれないかもしれないし、1人の時は慎重に行こう。


 せっせと毒撒き毒撒き。


 ◇


「ぬーん……オーガの群れまでいるか。下に降りるのは危なそうだな……おっとっ!?」


 飛んできた石を慌てて躱した。

 危ない危ない……。


 毒を撒きながらこの広間をウロウロしていたが……魔物さん方、中々ヘビーな編成をしている。

 壁の上が空いていて、迂闊に近づくと隣の広間からも魔物が来るから、壁側まではカバー出来ていないが、この広間の魔物は概ね把握したと思う。


 魔獣はオオカミ種が中心で、複数の群れが互いをカバーし合っている。

 そして、そこに少数のゴブリンが混ざっているが……奥にしっかりオーガやオオイノシシといった大型が控えている。

 ここが外だと、捕食関係にあったり、互いに縄張り争いを起こしたりで、こんな歪な編成はそうそうない。

 だが、ダンジョンだとな……肉食草食関係無しに、しっかりと共闘してくる。


 小型を狙っていると、大型が奥から突っ込んで来るだろうし、大型を先に狙うと、小型が周りを囲んで来る。

 小型大型お構いなしに蹴散らせるような力があればいいんだろうが、俺じゃ無理だ。


「あ……効き始めた」


 懐からタイマーを出すと、時間は20分弱ってところかな?

 まずはゴブリンやオオカミと言った小型の魔物に毒が効き始めたようで、よろめいたかと思うと倒れだす個体が現れてきた。


 うむ。


 俺じゃーこの階層の魔物とまともに戦うのはちょっと危なすぎるからな。

 毒で動けなくなったのを刈り取っていくってのが、正解だ。

 卑怯と言うなかれ。

 そもそもこの貧弱ボディで魔物に挑むってのがおかしいんだ。


セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】・7枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・3枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・7枚

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― 新着の感想 ―
[一言] アサシン的セラさん
[良い点] 更新乙い [一言] >>ヘビーな編成 蛇だけに!!(激ウマ >>毒 耐性無いのが悪いので死ねぇ!!
[良い点] 500回更新お疲れ様です 500話はもうちょい先 [一言] 自らの欠点を認めることで人は成長するのかもしれません 残り時間40分くらい
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