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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
15章・リアーナでアレコレと。

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490 偉い人・side その3

 その後もリーゼルの説明は続く。

 そして、先程の会議では話していない内容に話が入った。


「西部の有力勢力……特に帝国と連合国が方針を変えてきているんだ。ここ数十年の間、教会の内部に人を送り込み、東部から聖貨を吸い上げる方針を取っていたが……反発を招き、逆に東部から教会勢力がどんどん追いやられているだろう? だから、彼等は今東部では無くて西部に目を向けているんだ。……もちろん一時的なもので、いずれはまた介入しようとして来るだろうがね」


「ふん……。だが俺が知る限りでは、動くのはいくつかの小国だけで大国は動かないだろう? 同盟側の動きはわからないが、まず負けることは無いだろう? なら帝国や連合国は結局何を考えているんだ?」


「西部の再編だね」


 ジグハルトの疑問に、リーゼルは簡潔に答えた。


 西部には、私達東部が横断道と呼んでいる大陸西端から東部にまで通っている街道がある。

 西部はこの街道を中心に発展していき、街道が国内を通る国はそれだけで、大陸の主要国として栄える事が出来ていた。

 だが、今では複数の移動経路を持ち、この街道の重要性も全盛期に比べれば激減している。

 それに合わせてその国々も徐々に衰退していっているが、それでも長い間西部の主要国であったため、各国の王家に顔が利く。

 その中には、帝国が併合した国や、連合国に加盟した国も含まれる。

 だから、疎ましくなったのだろう。


 本来この件の本命は、あくまでリアーナ領に混乱を起こす事だ。

 だが、まずは私を害する策は全て不発に終わり、次に領内を荒らす策も潰された。

 後はダンジョン開通後を狙うだけだが……。


 最初私達が予測していたのは、ダンジョン調査に領内の戦力が割かれることだけだったが、魔王種がいたとなると、見込みが甘かったかもしれない。

 だが、その甘い予測はあくまで私達だけの話で、近隣領地はその際の援軍の準備をしていたようだ。

 記念祭の折に、遠回しに代理人に問い質すと、曖昧にではあったがそう漏らした。

 領主やその周辺を鍛えるためでもあるのだろうが、直接言えばいいのにと思ったものだ。

 西部もダンジョンには魔王種がいる事を知っているはずだし、それによる兵力の減少を前提にしていたはずだが、これも無駄に終わる。


 ダンジョンの事は外部に漏れていないが、先の二つだけでも失敗だと判断したのだろう。

 だから、リアーナの混乱から、西部の再編へと計画の軸を移した。


「不要になった小国をけしかけて、大森林同盟と戦わせる。西部の……それも小国の王族になればなるほど、情報が昔の儘固定しているのか、僕等同盟側を開拓初期のままだと侮っているからね。彼等にしたら勝てるつもりなんだろうが……当然同盟側が勝つ。そして賠償に聖貨を要求するが……まあ、払えない額になるだろう。そこで、肩代わりするから自分達の下に降れと、仲裁に入る訳だ」


 利用される身としては迷惑な事だが……西部のためにわざわざ労力を費やしても意味が無い。

 さっさと終わるならそれでいい。

 どのみち、メサリア王国は援軍に過ぎないわけだし、いい行軍演習になるだろう。


 さて、それらの説明を聞いたジグハルトは納得したようで、なるほど……と頷いている。


「それで、どれくらいリアーナから兵を出すんだ? 領地の警備もあるし、隊長格もすべて連れて行く訳にはいかないだろう?」


「そうだね。僕とオーギュスト、アレクシオに君……あとはルバン卿にも出てもらう。リアーナで対外的に名の知れた者たちだね。その代わりに連れて行く兵は50もいればいいだろう」


 隊長格を入れても総勢60人に満たない。

 新設とは言え、公爵領としては物足りないだろうが、リーゼルは別にしても、他の4人も十分に名を知られている。

 特にジグハルトは。

 たとえ数が少なくても、内外に侮られることは無いだろう。


 ジグハルトもその事を理解したようで、笑みを浮かべながら片手をあげて了承の意を示している。

 冒険者上りの騎士だと、こと戦争となると浮足立つことも多いと聞くが、アレクもだが傭兵を経験している者は、その点話が早い。

 頼りになりそうで、大変結構だ。


 ◇


 大まかな説明を終えた後は、簡単な部隊編成や、彼等がリアーナを離れた際の領地の守りについて話をしていた。

 基本的には、普段通り領都はもちろん領内は1番隊がそのまま警備する。

 2番隊はアレクとジグハルトが抜けるが、テレサとフィオーラも残るし、魔物への備えも問題無いだろう。

 屋敷に関してもそうだ。


 もっとも、私とセラがいる以上、何も起きようがないが……。


「あら?」


「どうかしたのかい?」


「ええ。セラがこちらに来ているわね」


 少し前に外から戻ってきたのは分かっていた。

 ダンジョンに行っていたのに、屋敷の外から戻ってきたし、何かあったのかもしれないが……。

 訝しんでいると、テレサがドアを開けに立ち上がった。


「近づいてくりゃ俺でもわかるが……いくら加護があるからって、よくわかるな……」


 感心するようなジグハルトの言葉に、皆も同意しているが……。


「壁を越えて真っ直ぐに向かって来て、2階の窓から屋敷に入るのはあの娘だけよ」


 疑問に答えていると、テレサがセラを伴い部屋に戻ってきた。


「おじゃましまーす! ……ぅぉっ……なんか勢揃いだね?」


 ダンジョンに出かけた時とは違う服装のセラが、無駄に元気よく部屋に入ってきたが、一瞬驚いた顔をしたかと思うと、首を傾げている。

 今日のことは、会議がある程度しか知らないし、この部屋にこれだけ集まっている事に驚いているのだろう。


セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】・7枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・3枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・7枚

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― 新着の感想 ―
[一言] セラさん偉い人たちの中に飛び込んでしまう( ˘ω˘ )
[気になる点] >小国の王族になればなるほど、情報が昔の儘固定しているのか  小国こそ、どうにか生き延びようとして、情報収集するモンだと思ってましたが、この世界では違うっぽい?  物理的な戦争をする…
[良い点] 更新乙い [一言] セラちんinしたお!!
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