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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
15章・リアーナでアレコレと。

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488 偉い人・side

 夏の2月の半ばを過ぎた頃、リアーナ領の全代官が領主の屋敷で一堂に会していた。

 記念祭には代理を出席させていた者も多く、その場合は帰還した代理と交代で騎士団の1番隊による護衛付きで、領都までやって来た。

 彼等に招集の理由は教えられていない。

 それでも、事前に仕入れた情報や領都に到着してからの情報交換で、ある程度のあたりはつけていた。


 記念祭で、領主リーゼル・リセリア・リアーナ公爵は、既に王都から聖貨の輸送部隊が出発し、その部隊が到着次第ダンジョンの開通に取りかかる。

 到着予定は秋の1月末か2月頭頃で、遅くとも2月末までにはリアーナ領領都にダンジョンが誕生することになる……。

 そうなると必然、冒険者を始めとした領都を目指す者も増えていく。

 その者達をどう受け入れるか。

 そして、問題が起きた時にどのように対処するか……。


 冒険者は、冒険者同士では連帯するしダンジョンでは揉め事を起こさないが、外でもそうだとは限らない。

 最低限のルールはあっても、武装した集団に違いは無く、警備兵の少ない小さな街や村では対処できない可能性もある。

 それには騎士団との連携が必要だ。

 関税や職人の手配等は代理人達が行ったが、ことが武力だけに、代官自ら出向き領主を始め各地の代官との折衝が必要なのだろう。

 1部の者を除いて、集まった者達はそう話し合っていた……。


「……ってところかな?」


「まあ……無理も無いでしょう。あの娘がいてこそだし……むしろ、気付かれている様では困るわ」


 一歩前を歩くリーゼルがこちらを振り向きながら、会議室に集まっている面々が今何をしているかの推測を、楽しそうに話している。

 ダンジョンはすでに出来上がり、さらに下層までの探索を行っている。

 この事を知る者は、私達を除けば2番隊の一部と冒険者ギルドの幹部、そして実績のある冒険者達……全部数えても100人を超えていない。

 その者達も、外部に漏らす様な馬鹿な真似はしないだろう。


「……今日はセラ君は一緒じゃ無いけれど、いいのかい?」


「ええ。あの娘に教えても仕方が無いでしょう?」


 そう返すと、リーゼルも先日の訓練所でのセラを思い出したのか、苦笑をしている。

 少なくとも現時点では、あの娘は人間相手の戦いには向いていない。

 あれだけ豊富な恩恵品や加護があるから、経験を積めばまた違うかもしれないが……。


「それもそうか……。まあ、どこまで伝えるか……は君に任せるよ」


「ええ」


 視線をリーゼルから前に移すと、会議室のドアの前には警備の兵が立っているが、普段と違い鎧を身に着けている。

 部屋の中にいる者たちの事を考えれば、示威行為の意味合いもあるのだろうが、ご苦労な事だ。

 その彼等はこちらに気付き頭を下げると、中に呼びかけ、ドアを開けた。


「じゃあ、行こうか」


 リーゼルを先頭に、会議室へと進んだ。


 ◇


 議題はまずはダンジョン関連から始まった。


 外部から訪れる冒険者への対処は、主に騎士団とクランや戦士団が行う。


 戦士団は、言ってしまえばクランの集合体だ。

 たとえ、その地で長く活動をしていても冒険者クランは、武装した者の集団でしかない。

 そのため、より大きな集団を作り自主的に管理をさせている。

 それが戦士団だ。


 もっとも、結成には領主側の承認が必要で、さらにせいぜい3~4個での結成しか認めていない。

 だが、それでも身分こそ平民だが地方での戦力としては破格で影響力も大きい。

 戦士団の纏め役ともなれば、その地の立派な顔役になれるだろう。

 王都で引き抜いた「ラギュオラの牙」もその戦士団の纏め役を務めている。


 現在リアーナ領には5つ戦士団が存在している。旧ゼルキス時代から活動している地元の冒険者たちが中心の団が3つ。

 そして、外部の冒険者を中心とした団が2つだ。

 対立しているわけでは無いが、敢えて、陣営を分けて管理させている。


 その分、極力仕事は均等に振り分けている。

 ダンジョンの先行探索は地元の戦士団の1つに任せたが、巨獣・リアーナの討伐には両陣営から1つずつ出てもらってたりと、配慮はしている。

 今回は、外から来るものへの備えだし、外部組に任せることになるだろう。


 また、各代官が懸念している事の1つに資金面の問題もある。


 以前に比べれば、訪れる人間もずっと増えたし、相応の金も落とされているだろう。

 かといって、それだけで今後も増えていく人間に備えての施設を用意するには、流石に足りない。

 だが、それも問題無い。

 リアーナ領は現在非常に豊かだ……むしろ金が余っているとさえ言える。


 このリアーナ領が出来て、魔境の開拓も進み始めた。

 当然、魔境の素材も豊富に収集されている。

 魔境の素材は、国内のみならず大陸中から求められていて、非常に高値で取引されている。

 永遠にそのまま……とはいかないだろうが、5年や10年でどうこうなることは無い。


 今のうちに集まった金を地方に分配できるし、丁度いい話だ。

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】・7枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・3枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・7枚

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― 新着の感想 ―
[一言] > あの娘は人間相手の戦いには向いていない。  確かにどちらかというと人間としての戦い方っていうより、ドラゴンとかの戦い方の方が近いですよね。  伝統的な剣術や格闘術よりも……動物や魔物の動…
[一言] セラさんがいなかったら領地開発が10年くらいは遅れてた可能性ありそうだよね
[良い点] 更新乙い [一言] 利権分配のお時間だよー セラちんは、まぁ寝てて、どうぞ
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