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休憩ついでに俺たちも、女性兵の講義を聞いていると、セリアーナに、テレサとエレナの3人が訓練所の入口を向いた。
前も似たような事があったが、誰か来たのかな?
今日のここを利用するような人物と言えば……。
「おや? 訓練所を利用していると聞いていたけれど……もう終わってしまったのかな?」
リーゼルが護衛の兵を連れて中に入ってきた。
座って講義を聞いていた女性兵達は慌てて立ち上がり、ビシっと敬礼をした。
まぁ、この領地のトップだもんな……。
リーゼルは、そんな彼女達に楽にするようにと手で示すと、こちらにやって来た。
恰好は、動きやすい訓練用のシャツにパンツだが……、彼もここを使うのかな?
そう思っていると、セリアーナが彼に訊ねた。
流石奥さん。
「いらっしゃい、リーゼル。今は休憩中ね。貴方も剣を振りに来たの?」
「ああ。今日はこの後は面会予定もないからね。ここ最近体を動かす事が出来なかったから、ここを利用しようと思ってね」
リーゼルが普段体を動かすのは、中庭か外の騎士団用の訓練所だ。
そういえばここを利用しているのを見た事が無い気がするな……便利なのに。
「そう……。セラ、お前相手をしてもらいなさい」
「ほぇっ!?」
体を動かしたいって言ってるのに……後ろの護衛とかじゃ駄目なんだろうか?
「お前、真っ当な騎士の剣を使う相手はテレサしか知らないでしょう? いい勉強よ。リーゼルいいでしょう?」
言わんとする事はわかるが……。
「ああ。セラ君、相手を頼むよ」
「あ、うん……」
いかん……真っ正面から言われてしまうと、断る事が出来ない。
……まぁ、相手はリーゼルだ。
しっかり加減してくれるだろう。
「セリア、セラ君はどんな訓練をしていたんだい?」
「対人での攻撃と防御の訓練よ」
つまり対人戦だな……。
だが、リーゼルはそれを聞くと、了解と笑っている。
彼を追って、俺もテクテクと壁際から離れてリーゼルと距離を取って向かい合う。
「セラ君、何時でも良いよ。君のタイミングで来てくれ」
「……はーい」
これが実戦なら、迷わず飛んで逃げるんだけどなぁ……。
とは言え、そんな事を言ってもどうにもならんし、ここは真面目にやりますかー!
ふんすっ! と気合を入れて、セリアーナの時と同じ様に構える。
そして、正面からリーゼルを捉えるが……彼の構えは、右手に剣を持ち、左手はやや引いている。
だが、体は正面を向いている。
盾とかを持つ事を前提にしているのかな?
テレサも似た様な構えを採る事が多かった気がする。
オーギュストは加護があるから、それを生かす為なのか、騎士というよりは冒険者に近い戦い方だからな……。
セリアーナも言っていたが、これがこの国の騎士の構えなのかもしれない。
「……ぬぬぬ」
どうすりゃいいんだ?
これ。
リーゼル……身長は180くらいか……俺との身長差は40センチ以上だな。
リーチ差は絶望。
そして、一見細身だが施療の際に腰や背中に触れることがある。
服越しでもわかるくらいには筋肉が付いているし……腕力差も相当なはずだ。
片手で構えているからって、俺の一撃なんか簡単に防がれるだろう。
……ならやっぱり突きか。
「ぐぬぬ……」
でもなー……隙なんてわかんないよ。
俺が見つける事が出来ないのか、彼に隙が無いのか。
多分両方だろうけれど……。
「セラ、さっさと動きなさい」
セコンドから厳しい声が飛んでくる。
仕方が無い。
とりあえず、突っ込んでから考えよう!
「……はっ!」
思いきり踏み出して、リーゼルの胸元目がけて突きを放つが、リーゼルは剣を持つ右手を僅かに動かして、俺の突きの軌道上へ。
剣越しにすぐに伝わって来る硬い感触。
防がれたか。
なら、一旦距離をとって……っ!?
突きを防がれたと思った瞬間に、もうリーゼルの左手が俺の目の前に来ていた。
そして勢いよく突き出された手のひらに視界を塞がれたのだが……。
「うあっ!?」
視界を塞がれた事に一瞬パニックになり、無意識のうちに【風の衣】を発動してしまったようだ。
「おっと!」
リーゼルは小さく声をあげると、風の勢いに逆らわずに後ろに飛んでいく。
そのままクルクルと2回ほど回転をすると見事に着地を決めた。
……お見事。
「……セラ駄目でしょう?」
セコンド……もといセリアーナの声には呆れが混じっているが、リーゼルは楽し気に笑っている。
「あははっ。オーギュストから聞いてはいたが、コレだったんだね」
実に楽しそうだ。
しかし、やはりこのにーちゃんも中々とんでもないな。
俺の突きを叩き落とすんじゃなくて、受け止めた事は、他の人でも可能だと思う。
根本的に俺は遅いし非力だからな。
だが、不意打ちのカウンターで風に吹き飛ばされたのに、自ら後ろに飛んでしっかり着地まで決めるとか……。
いくら俺がこの加護を所持している事を知っているとはいえ、そう簡単には出来ないだろう。
まぁ、怪我をしなかったのは良かったが……。
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】・7枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・3枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・7枚




