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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
15章・リアーナでアレコレと。

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 記念祭が終わり、さらに数日。

 滞在していた他所の者たちも領都を離れて、ようやく日常に戻ったと言ったところだろう。

 チラっと聞いた話では、今までこの街で暮らしていた住民も、辺境の一地方都市から領都に変わった事で、大規模なお祭りになったことに大興奮だったとか。

 日常に戻ったとはいえ、未だ街の活気は収まっていない。


 ダンジョンに関しても、王都から聖貨が届き次第儀式に取り掛かり、秋頃には出来上がると発表した。

 大ニュースだ。 

 そのため、一の森などで腕を磨こうと冒険者の活動ペースも上がっているんだとか。

 もちろん狩場は魔境になるし、犠牲がゼロってことは無いそうだが、こればかりは仕方が無い。

 酷な話ではあるが、力が足りなかったんだろう。


 ダンジョンで死者が出てその死体を回収しそこなうと、それだけで維持費が増えていくし、魔人もポップするようになる。

 その前に実力の無い者が減ってくれるのは、むしろ歓迎すべき事態なんだとか。


 ダンジョンへの探索は、登録料を支払う必要があるが、それ以外にも独自の基準を設ける場合がある。

 ここリアーナでは、一の森を始めとして、魔境での依頼実績も考慮することになるそうだ。

 手っ取り早いふるい落としだろうね。


 そして、登録料に関してはまだ具体的な枚数は発表されていないが、この街の冒険者は以前貯め込んでいた聖貨を放出しているからな……。

 今のうちに貯め直さないと……と、必死になっている。

 幸い、ここ最近何故か領地の腕利き冒険者たちは、狩りに出ることが無い為、今がチャンスとばかりに、領都のみならず開拓拠点にまで出向いて狩りを続けているそうだ。

 お陰で、雨季前に領内の開拓もまた進みそうだと、聞いた。


 ……住民から聖貨を回収する為に、通常よりも高値で買い取り、そして再び聖貨を稼ぐ必要性を作り出して、ガンガン狩りをさせる。

 若干マッチポンプ的な何かを感じるが、まぁ……良しとしよう。


 アレクやジグハルトはダンジョンの調査に再び取りかかり、そして俺は……。


「…………ぐぬぬ」


「どうしたの? さっさとかかって来なさい」


 地下訓練場で木剣を手に、セリアーナと対峙している。

 外に狩りに行くのは暑いし、ダンジョンは人が多いしで、やる気が出ずに部屋にいたのだが、セリアーナに誘われてやって来た。

 彼女も記念祭絡みのパーティーや会談続きで体を動かしたかったんだろう。


 で、やってきたは良いのだが、ダンジョンの魔王種との戦闘で、幸い恩恵品や加護で防ぐ事は出来たが、俺は攻撃をまともに受けてしまっていた。

 だから、俺も防御技術を磨こう……となり、恩恵品や加護抜きで剣を打ち合うことになった。


 以前からたまにここでセリアーナも剣を振っていて、俺が相手をする事もあるが、その時は恩恵品や加護を使っている。

 生身で……となると……なんも出来ん。


 俺は両手持ちで中段に構えていて、セリアーナは片手持ちで半身になっている。

 もう何本もやっているが、構えはいつもこれだ。

 どこかに隙は無いものかと、じりじり回り込む様に動いているのだが……隙ってなんだ?

 だが、このままグルグル周りを回っていても埒が明かない……。


「うぬぬ……ほっ!」


 意を決し、突きを繰り出した。

 リーチは片手の方が長いが、それだと簡単に払われてしまうから、しっかりと両手持ちだ。

 これなら……!


 パシッ! と片手で簡単に斬り払われた。


「ぐぬっ!?」


 セリアーナの追撃に備えて、すぐさま柄と剣身に手を当てて盾の様に構える。


「ふぬっ!」


 セリアーナの頭への一撃を受け止めた。

 そして、切っ先を下に向けて、その一撃を受け流し……。


「たぁっ!」


 空いた胴目がけて、横薙ぎの一撃を……。


「あれ?」


 放とうとしたのだが、剣をセリアーナの剣に絡め取られて、そして落とされた。

 さっき俺が試して、不発に終わった巻き打ちだな。


「はい。終わりね」


 予期せぬカウンターに動きを止めてしまい、隙だらけになった俺の頭に、ポンと木剣が置かれた。

 またも負けだ。


「動き自体は悪くなかったわ。私の剣も防げていたし、どう決めるかを考えて組み立てていたもの」


「うん」


 まぁ、あくまで訓練だしセリアーナは加減をしていたんだろうけれど、それでもしっかり攻撃を受け止めて、不発に終わったがカウンターを決めようと考えて、実際動けてはいた。

 自分的には中々悪くないと思っている。


「ただね……」


「ただ?」


「お前、結局遅いし弱いのよ。背も低いし」


「どうしようもないじゃん……」


 ボコボコに言ってくれるな。

 ぐぬぬ……と唸っていると、少し離れた位置で、テレサとエレナが女性兵たちに今の試合の動きを解説していた。

 ついでに、あの場合どう動くのが正解だったかも。

 セリアーナも隣に来て、それを聞いている。


 どうやら初手を防がれた時点で、一旦距離を取って仕切り直した方が良かったらしい。

 そして、笛を吹いて救援を待つ……。

 で、俺の様に1人で相手をする時は、やっぱり時間を稼ぐ……それが正解だとか。


 まぁ、彼女達の場合は警備が仕事だしな……敵を倒す事よりも、警備対象の安全を確保する事が第一だし、それならそう動くのがベストだろう。


 俺の場合だったら……勝てない相手には逃げるのが一番かな?

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】・7枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・3枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・7枚

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― 新着の感想 ―
[一言] >俺の場合だったら……勝てない相手には逃げるのが一番かな?  逃げる前にフラッシュでめくらましを狙ってからが、一番です。  目をやれればヨシ。 やれなくても、目をつぶったり違う方を見たりで…
[一言] > お前、結局遅いし弱いのよ。背も低いし (そんなところも可愛げがあっていいのだけれど) って副音声が付きそう
[一言] セラって普段歩かないから、特に体幹が弱いと思う。 そうすると力を上手く武器にのせられないので、余計に弱々だし、動きにもキレがなくなる。 パワーを出す基本は下半身ですからねぇ。
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