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「んじゃ、どーぞ」
「ええ。お邪魔するわね」
セリアーナの部屋に着くと、まずは寝室へ。
そして、そこで【隠れ家】を発動して、フィオーラと共に中に入った。
今日は人を中に招く予定が無かったから、少々荷物が散らばっているが……まぁ、フィオーラならいいだろう。
別にゴミを散らばしているのではなくて、素材や道具が入った箱が積んであるわけだし……。
「随分貯め込んでいるのね……。やりがいがあるわ」
当の本人は、強化で増えた方の部屋を覗き込み、やる気を出している。
向こうの部屋は遺物とかそのまま放り込んでるからな……彼女にとっては色々楽しめる物なんだろう。
「んじゃ、オレは風呂入って来るよ。部屋の使い方はわかるかな?」
「ええ。以前説明を受けたから大丈夫よ」
なら大丈夫か。
まぁ、何かわからないことがあったら聞いてくるだろう。
この人もセリアーナ並にマイペースだしな。
それじゃー、こっちは任せて、俺は風呂でサッパリしてくるか!
◇
「……ふぅ」
髪や体を洗い、浴槽へ。
この浴槽は、いくつか選べるサイズの中で、大きめのを選びはしたが、それでも一般的なサイズのものだった。
特注だと、浴槽のサイズも弄れるそうだったが……そこまでやる気は無かったからな。
使い心地に不満は無いが、広さだけはこの世界のお貴族様のお屋敷の風呂の方がデカい。
なんか浴槽だけパワーアップとかしないかな……今はまだ手足を伸ばせるけど、そのうち出来なくなったら嫌だしなー……。
そんな事をぼんやり考えていたのだが……。
「セラ! あなた寝ていないでしょうね?」
フィオーラが脱衣所から声をかけてきた。
時計が無いからわからないが、思ったより時間が経っていたようだ。
「起きとるよー!」
「……そう。程ほどにしてあがりなさい」
「はーい……あがるか。……うひぃっ!?」
浴槽から出ようと立ち上がったはいいのだが、濡れた髪の毛が背中に張り付き、思わず変な声を上げてしまった。
普段はこんな事無いんだが……ボーっとしすぎた。
そろそろ風呂に入る時に、頭にタオルを巻くことも検討しないとな……。
風呂から出てリビングに向かうと、モニターの前のソファーにかけて、フィオーラがお茶を飲んでいた。
部屋全体を見ると、風呂に入る前に比べて大分すっきりと片付いている。
「上がったわね。何か中で変な悲鳴が聞こえたけれど、どうしたの?」
フィオーラは俺を見ると、自分の下に来るように手で示しながら、そう言った。
どうやらここまで聞こえてしまったようだ……。
「髪がね……背中に張り付いたんだよね」
テクテクと近づき、彼女の隣に座ると、魔法が発動し髪が乾かされていく。
この魔法もどうにか覚えたいんだけれどな……。
「ああ……。そういえばプライベートでは相当気が抜けていると言っていたわね……」
フィオーラは、呆れ混じりの声で小さく呟いた。
……誰がそんな失礼な事を言っていたのか気になるが……、聞かなかったことにしておこう。
大体予想は付く。
「それよりも、大分スッキリしたね。何か面白いのでもあった?」
「ええ。簡単な仕分けはしておいたわ。薬草とかの放置しておくと悪くなるようなものも無かったし、素材はどれも問題無しね」
「ほうほう……」
俺はたまに外で薬草の採集なんかもやるが、基本的に、ここに放り込んでいるのはダンジョンでの遺物ばかりだもんな。
一応、外の魔物の素材もあるが、骨とか牙とかをクリーニングした物で、それは棚に飾っている。
「冒険者ギルドで換金してるんだけど、あんまり一度に持って行くのは難しいから、下の倉庫で出して少しずつ小出しにしてるんだよね。……お金は余ってるし、急ぐ必要は無いんだけど……。何か要るのあった?」
「そこの箱に纏めているわ。明日にでも下にお願い」
「ほいほい」
【隠れ家】にやって来たのは、風呂に入る為でもあるし、食事までの間の時間つぶしでもある。
セリアーナの部屋も居心地は悪くないが、それでもここの方が上だからな。
だが、一番の目的はこの素材の山の整理だった。
リーゼルの執務室を出た後、ここに来るまでの間に【隠れ家】の状況をたまたま話したら、フィオーラが自分が整理すると言い出した。
腐る様なものは無いとはいえ、これからダンジョン探索を再開すると、まだどんどん増えていく事を考えると、ここは彼女の厚意に甘えようと、お願いする事にした。
フィオーラは素材の仕分けとかが趣味だと言っていたが、それでもただ働きは申し訳なく思い、報酬という訳では無いが、もしこの山の中から彼女が使うものがあれば何でも貰ってくれて構わないと言っている。
さて、フィオーラが持って行く分は……。
「あんま無いけど、あれだけでいいの?」
フィオーラが素材をキープした箱はポーション用の木箱だった。
大きさは前世のビールケースくらいなのだが、その箱をいくつか貰ってここに置いているのだが、その箱に一杯分だった。
もっと持ってって良いんだけど……。
「オーガの頭骨や角、オオジカの角……錬金術師には有用な物ばかりだから、十分よ。有難く使わせてもらうわ」
「そう? ならよかった」
うーむ……価値観の差かな?
まぁ、ここで下手な遠慮をする相手じゃ無いし、本人が言うように十分価値があるんだろう。
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】・7枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・3枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・7枚




