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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
15章・リアーナでアレコレと。

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 どれほど立派な彫刻でも、祭りの露店で大銀貨5枚は出せないだろう。

 ましてや、いくら領都とはいえ、こんな辺境で。

 たとえばこれが王都だったら、もしかしたら噂を聞いた好事家が買ったりはしたかもしれないが……この街じゃそれは無理だ。


「物は良いんですがねぇ……」


 と店主のおっさんは力なく笑っている。

 これを引っ込めて、売り上げを建て直した彼はともかく、どうやら親方も職人頭も商売下手のようだ。

 まぁ、この街では今までそれで成り立っていたんだろう。

 注文を受けて制作に入り、良い物を作る。

 職人としては間違っていないけれど、物を売るにはお客さん視点が抜けていたな。


「まぁ、いいや。これ、両方オレが買うよ」


「っ!? よろしいんですかい? 金貨1枚になりますが……」


 俺の言葉に驚く店主と周りの護衛達。

 まさか売れるとは思っていなかったんだろうね。

 これが果たしているかいらないかで言えば、正直俺もいらないんだけれど……クマもサイモドキもどっちも戦ったしなぁ……。

 記念にはいいかもしれない。

 セリアーナの部屋には似合わないが、リーゼルの執務室なら別に置いていてもおかしく無いだろう。

 お土産だ。


「うん。はい、お金」


 後ろで財布を出そうとする護衛を制して、自分のお財布から金貨を出して、彼に渡す。

 これは、俺の趣味だしな。

 自分で出そう。


「ありがとうございます……。親方たちにどう説明しようか困っていたんですよ」


「売り方間違えてるぞ! ってオレが言ってたって、言っちゃって良いよ」


 それは流石に難しいのか、答えずに曖昧に笑い、彫刻の梱包を始めた。

 布で包んで、梱包材代わりの木くずが詰まった箱に入れた。

 そして、再び大きな布で箱を包んで完了だ。


「えーと……包んじゃいましたが……お屋敷に届けましょうか?」


「あ……そっか……」


 いつだったかの王都の記念祭の時も大きな物を買ったが、その時は護衛がアレクだけだったこともあって、【隠れ家】に放り込む事が出来た。

 これはどうしたものか……持てるかな?


 勢いで買ったはいいがどうしたもんか……と悩んでいると、護衛達が代わりに受け取った。


「自分達が持ちましょう」


「いいの?」


 護衛なのに荷物持ちをさせちゃうのもな……と思ったが、どうやら違ったようだ。

 笑いながら答えてくれた。


「ええ。確かに私達は護衛ですが、荷物持ちも仕事の範疇です。何も買われないので、却ってどうしようかと思っていましたよ」


 他の面々を見ても、同じような顔をしているが、お貴族様は護衛が荷物持ちも兼ねるのか……。


 セリアーナは商人を自分の下に呼びつける事はあっても、自分が店に出向くって事はしないからな……。

 俺が一番馴染みのある貴族はセリアーナだから、彼女がやらない事はわからんね。


「そかー。んじゃ、お願いするよ」


「はい」


 ってことで、護衛達に荷物を持たせて、頭を下げる店主を背に、その場を離れた。


 ◇


 彫刻を購入した後も、少しの間街をぶらついたのだが……もう目ぼしいものは無く、屋敷に戻る事にした。

 俺は普段は空から屋敷に戻っているから、護衛の彼等と歩調を合わせてのんびりと下から行くことに。


 今までは領主の屋敷とその麓に繋がる坂道しか舗装が間に合っていなかった。

 この辺はアレクやオーギュストの屋敷を除けば、騎士団本部や関連施設が建ち並んでいたから、先に貴族街を済ませていたのだが……いつの間にやらこの辺も立派な石畳が……!

 たまーに、この辺をうろつく事もあるが、全く気付かんかった……もう少し街の変化に気を配った方がいいのかもしれんな。


「こちらでよろしいのですか?」


 声に緊張の色が混じっているが……。


「うんうん」


 俺は気楽に答える。


 さて、本来なら坂を上って屋敷に戻るのが正規ルートなのだが、向かった先は騎士団本部だ。


「上はまだお客さんが多そうだしね。こっちの方が面倒が無くて良いよ」


 騎士団本部から、屋敷の地下に繋がる通路がある。

 当初は通路だけだったが、いつの間にやら研究室や保管所等の重要施設が追加されて行った。

 領主の屋敷への直通通路だから、許可を持った者以外は利用できなかったが……今はそれとは違った意味で、利用できる者が選ばれている。


 彼等はどうやら許可が下りていないようだが……俺が一緒なら基本的にフリーパスだ。

 俺が入れない屋敷の北館と、女性限定の南館2階は無理だろうけれど……。


 ともあれ、このルートなら他の客と顔を合わせる事無く、屋敷の中に辿り着ける。


「あら、セラ?」


 通路を通過している最中、横道から不意に名を呼ばれた。

 誰とも会わずに屋敷へ……と思っていたのだが、いきなり出くわした。

 もっとも彼女は身内だが。


「フィオさん? どしたの……こんなところで」


 横道から現れたのはフィオーラだ。

 普段のジャラジャラした動きにくそうな恰好では無く、装飾の省いた楽そうなワンピースで、上からストールを羽織っている。

 部屋着って程じゃ無いが、大分砕けた格好だ。


 彼女は騎士団だけじゃなくて、セリアーナが招聘した領地の立派な幹部様だ。

 不意の登場に護衛達は慌てて姿勢を正した。


セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】・7枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・3枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・7枚

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― 新着の感想 ―
[一言] そして玄関に安置される木彫り( ˘ω˘ )
[良い点] 姫、太っ腹ぁ! [気になる点] フィオーラと遭遇してどんなイベントが…巨獣リアーナの姿形が違うという突っ込みが入って、親方巻き込んでてんやわんやの騒動とか・・・?
[良い点] 更新乙い [一言] 上役の護衛してたら、更に上役が追加されたでござる
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