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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
15章・リアーナでアレコレと。

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「これで皆の分買いなよ」


「っ!?」


 広げさせた手のひらに、袋から大銀貨をジャラジャラと置いていく。

 枚数は20枚ほど。

 全員分のと、ついでに飲み物を買う分くらいにはなるだろう。


「落とさんよーにね」


 驚く彼に向かいそう言った。

 我ながら偉そうだ。

 子供相手にお金を渡す。

 それも人から貰ったお金を……。


 でもなー……。


「いっ……いいのかよっ……こんなにたくさん!?」


 日本円にしたら20万円ちょっとか。

 彼等は別に貧民という訳じゃない。

 むしろこの街の冒険者絡みの仕事をしている者は、ちょっとしたバブルに近い状態で、稼ぎはいい方だ。

 それでも、子供にお金を持たせるような事は滅多に無い。

 そもそも、子供が気軽にお金を使う場所はこの街には無いもんな……。


「いーのいーの。オレのお金じゃないからね。領主様とセリア様からだよ。それよりも友達呼んどいで」


「あっ……おっ……おう!」


 追っ払うように手を振り振りすると、彼は待っている子達の下に駆けて行った。

 なにやら歓声が上がっているが、すぐにいくつかのグループに分かれて、各露店や広場の外へと散らばって行った。

 注文したり他のグループを呼びに行ったんだろう。


「よろしかったんですか?」


 と、これまで黙っていた護衛の兵が声をかけてきた。


「いーよ。どうせ旦那様もこんな風に使わせたかったんじゃない? オレ1人に持たせるには多すぎるもん……」


 最初はお土産でも選ばせるためにお金を持たせたのかと思ったが、あちらこちらを見て回ったが、2人が欲しがりそうな物は見当たらなかった。

 少なくとも、お土産を選ばせて、俺のチョイスを笑うって線は無さそうだった。


 それなら、全部俺に使わせるかと言うと……渡された額が多過ぎる。

 2人はアレで経済観念は平民と乖離していないし、その事はわかっていると思う。


 なら、俺に使い切らせるつもりかといっても……そもそも串1本でもう腹いっぱいだ。

 その線も無いだろう。


 んじゃー……何のためなのかとなると、アレだ。

 上司が部下に対して飲み会用に渡す軍資金。

 多分それだ。


 一応立場上、俺のこの街での役職は騎士団の2番隊副長だ。

 部下って言ってしまえば、2番隊の隊員の大半がそうなるが、あの荒くれ者のおっさん共が俺から奢られて喜ぶのか……喜ぶか。

 いや、でも彼等に奢るとなるとちょっと額が少ない気もするし……、子供達に奢るってのが正解だと思う。

 リーゼルならこの街の子供の人数とかも把握できているだろうし、そこから外に出歩く年齢の者とかを想定するくらい出来るはずだ。


「なるほど……。領主様の民への振る舞いもどうしても酒が多くなりますからね……。子供にまでは届きにくいという事ですか」


 言わんとする事が伝わったようで、ポンと手を打ったりはしないが、なるほどといった表情のマーカス。

 他の護衛達も頷いている。


「まぁ、別に全部使って来いって言われたわけじゃ無いし、残してお小遣いにしても良いんだろうけれど……。そもそもオレはお金は余ってるからね……」


「そうなのですか!?」


 そうなのだ。

 そもそも俺の収入は非常に多い。

 給料とかを貰っているわけじゃ無いが、【ミラの祝福】の報酬だけでも十分な額になっているし、冒険者としての収入もダンジョンが出来て以来、遺物を大量にゲットしている。

 さらにだ……。


「うんうん。住居も食事も服も全部用意してもらってるし、何か欲しい物があって注文したりしても、先にお金払われちゃってるんだよね……」


 衣食住のどれも提供されていて、時たま欲しい物があっても、店に出向いてその場で支払いを済ますもの以外は、屋敷に届いた時点でリーゼルが支払っている。

 最近は装備のメンテナンスくらいでしか自分の財布から出していない有様だ。


「な……なるほど。それは羨ましいですね」


 と、皆で笑っている。

 そういえば彼等の給料ってどんなもんなんだろう?


 ここは俺が奢っちゃろうかね?


「君等も食べたり飲んだりする? お金はまだまだあるよ?」


「ありがとうございます。ただ、私共は今仕事中ですので……」


 肩を竦めながら断られてしまった。

 真面目な連中だ。

 流石1番隊。


 ◇


 子供達と別れた後、再び街をぶらぶらとうろつくことにした。


「アレなんだろう……?」


 中央広場から、職人街がある北西部に移動したが、そこにも露店が広げられている。

 革細工や、骨や牙で作った小物なんかがメインで、食指が動くようなものは無かったのだが……1店俺の目を惹く店があった。


「木彫り細工ですが……動物とは少し違いますね」


 棚の上に並べられた、精巧な木彫りの人形。

 サイズはどれも30センチ近くはありそうで、そのモチーフは一見動物のようだが、少し違う。


「……魔物かな?」


 魔物……というより魔獣か。

 俺が知らないだけで、魔獣の彫刻とかを飾る風習でもあるのかな?

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】・7枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・3枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・7枚

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― 新着の感想 ―
[一言] 大銀貨って1万円くらいかな?確か金貨が10万円だったと思うので。
[良い点] 木彫りの魔物人形・・・ フルコンプして隠れ家に飾らねば(義務感) [一言] デ〇ゴスティーニ  【週刊・セラ副長を作ろう!】 セラ・ミュラー・ゼルキス伯爵令嬢の              …
[一言] 木彫りって聞いて真っ先に思い浮かんだのが木彫りの熊(鮭を狩ってる)だった ↓なるほど装備フル展開セラさんフィギュア……有りだな
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