表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
15章・リアーナでアレコレと。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

477/2096

473

「もっ……申し訳ありません! セラ殿」


 大人しくなったネコの下からよたよたと抜け出すと、マリエラが慌ててこちらにやって来た。

 彼女は俺を抱き起こすと、パタパタと土を払い落としていく。


 ネコは大人しくなりはしたが、相変わらず俺を見て喉を鳴らしている。

 サイズが大きいだけにその音も大きく、グルルングルルンと凄い迫力だ。


 ……これ餌だと思ってる……なんてことないよな?


「……はぁ……えらい目に遭った……」


 そのままフラフラと、椅子に座るセリアーナの下まで行くが、相変わらず彼女は可笑しそうに笑っている。


 俺が呼ばれた先は屋敷の中庭で、ちょっとしたテラスの様になっている一画だった。

 俺達はあまり利用する機会は無いが、街を見下ろす事が出来て、リーゼルは他所からの客が来た時に、そこでお茶をしていたりもする。


 ふよふよと上からそちらに向かった時に、でっけぇネコがいるのはわかっていた。

 そして、降りていき、セリアーナに彼女達の事を紹介されると、ネコがこちらに近づいて来て、胸元にゴツンとぶつかられた。

 まぁ……猫だと、頭突きや体を擦りつけたりはよくある事だし、特に気にしていなかったのだが……。


 それからは、あっという間だった。

 ガバっとのしかかられて、ザリザリと……。

 アカメ達が反応しないし、攻撃じゃないってのはわかっていたから、俺も大人しくしていたけれど……凄い迫力だった。


「ねぇ、ほっぺ無くなってない……?」


 ついているのはわかるが、思わず聞いてしまう。

 あの舌はやすりみたいな感触だった……。


「……赤くはなっているわね。でも、ちゃんと付いているから安心しなさい」


 セリアーナに見せるとそんな答えが返ってきた。

 赤くはなっているのか……【祈り】を使っておこうかな。


「紹介はすんだことだし、2人とも座りなさい」


 セリアーナに着席を促され、セリアーナは屋敷に向かって、手を上げていた。

 お茶でも持って来させるんだろう。


 デカニャンコの速攻で、わけのわからない事態になっていたが、結局何の用で呼ばれたのかは聞いていないからな。

 ようやく本題に入るようだ。


 ◇


 席について程なくしてお茶が運ばれてきた。

 ネコはマリエラの後ろに移動し、大人しく座っているが、相変わらずグルルンと喉を鳴らしている。


「お前の何がそんなに気に入ったのかしらね……?」


 セリアーナも不思議そうに俺を見ているが、俺だって知りたい。


「恐らく、セラ殿が契約している潜り蛇の魔力に惹かれたのだと思います。このコも夜行性の魔物と相性が良いものですから……」


 何故だろう? と首を捻っていると、後ろのネコに目をやりながらマリエラが答えた。


 なるほど……きっとそれプラス【影の剣】もだな。

 アカメも最初はそうだったし、属性的な相性でもあるのかもしれないな。


 とは言え、スッキリしたし納得も出来た。

 これは今後も従魔と接する時は気を付けた方がいいかもしれないな。

 何と言っても、俺は普段からジャラジャラ身に着けているし……。


「まぁいいや……。んで、セリア様? わざわざオレを呼ぶとかどうかしたの? 紹介するためだけってわけじゃ無いでしょう?」


 ……無いよな?

 今の一連のやり取りはセリアーナも想定外みたいだった。

 セリアーナは基本的に俺に会わせる相手ってのは大分選んでいる。

 従魔持ちってのは確かに貴重かもしれないが、それだけでわざわざ俺を呼びつけるって程でも無い気がする。


「あら? 彼女を紹介するためよ?」


「ぐぬぬっ…………」


 俺の問いかけに、澄まし顔で答えるセリアーナ。

 それだけじゃ無いはずなんだが……。


「あ……あの、セリアーナ様……」


 申し訳無さそうにマリエラが間に入って来た。

 それを聞き仕方ないと言った様子で、一つ息を吐くとセリアーナは口を開いた。


「お前、おじい様たちが数年内に王都を去る事は聞いているでしょう? 彼女の夫がその後任候補の1人なのよ」


「……へー」


 春、王都を発つ際にじーさんがそんな事を言っていたが……王都の屋敷はいわば領地の大使館的な役割も兼ねている。

 分家とはいえミュラー家に連なる家だし、まぁ、別にいい気はする。

 第一印象でしかないが、実直な感じだし……ん?


「候補ってことは、他にもいるの?」


「ええ。元々王都の屋敷には分家の者が就いていたのだけれど、領地と王都の結びつきを強めるためにおじい様が就いていたの。その分後回しにしてしまったから、どこもやる気があるようね」


 結びつき……リーゼルとの結婚話とかの事かな?

 そう言った事情なら、分家の者より元当主で王都でも顔の利くじーさんが適任だったか。


「ただ、彼女の夫が現時点では最有力の1人ではあるわね。従魔使いの彼女がいるもの」


「うん」


 王都でどんな仕事をするのかはよく知らないが、こんだけ目立つ従魔がいるのなら、色々顔を繋ぐきっかけにはなるだろう。

 他の候補がどんな人たちなのかは知らないが、彼女の夫が最有力ってのは理解できる。


 でも、それで何でここに……一応長女ではあるし、今後も派閥の一員として深い付き合いは続けるだろうが、セリアーナはもう他所の家だ。

 彼女に顔を繋いでも、ゼルキス領内の人事にそこまで影響があるとは……。


「……あっ!?」


 だが、一つ頭に浮かんだことがあった。


「あら珍しい。気付いたのかしら?」


「……昨日知らされたことだしね」


 そういえば、俺は近いうちにミュラー家のお嬢さんになる予定だった。

 だから、俺に紹介するのか。



セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】・7枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・3枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・7枚

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] よく考えたらナチュラルに祈り使ってるけど唐突に光るんだよな
[一言] ミュラー家のおぜうさん さすがにまだ自覚は持てないようで
[一言] 「あら、紹介の為によんだのよ。その従魔の猫とセラで婚約するために。おまえ、猫みたいだから相性良いでしょ?」
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ