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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
14章・リアーナダンジョン

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 弓から放たれたビームは、狙い違わず呑気に滞空しているボスカマキリの背中に直撃した。

 まぁ、片羽だけに当てて、墜落ってのが理想なんだけど……そんな腕は無いからな!


 ともあれ、威力だけなら自慢の【ダンレムの糸】が見事直撃だ。

 いくら硬かろうと……魔力を弾こうと、ヒビが入った状態でまともに受けた。

 ただではすまないだろ……う?


「ぬぬ……?」


 直撃を受けて、よろめき落下するボスカマキリ。

 その際に、全身の甲殻が剥がれ落ちていくのが見えた。

 今までもパラパラとだが落ちてはいたが、まるで車のフロントガラスの様に一気にバラバラとだ……。


 落とした後はボコスカ袋にして、仕留めた後に剥がしていく……そう考えていたのだが、思ってたのと違うな。

 ボスは落下のダメージがあるのか、その源である俺に注意を割く余裕が無いようで、地面でもがいている。


 腹に大穴が空き、脚も上手く動かないようだし、無理もないか。


 だが……これはチャンス!


【浮き玉】を操り、ボスカマキリまでの距離を一気に詰めた。


 たとえ甲殻があろうと無かろうと、ベストな状態のこいつにだったら通じはしないだろう。

 だが、コツコツダメージを与え続け、ジグハルトのどでかい一撃も加わった。

 魔力による強化かなのかはわからないが、当然防御能力だって落ちている。


 今ならいける!


 甲殻がはがれて土色の体表が露出している。

 全長こそ大きいが、幅も厚みもそれ程では無い。

 核は胸部にあると言っていたし、十分【影の剣】でも届きそうではあるが……狙いはここだ!


「はぁっ!」


 首裏めがけて右腕を一閃。


 回転しながら上を通り過ぎた為結果を見る事は出来ないが、弾かれるようなことは無く、代わりに指先に伝わる何かを断ち切る感触。


「うひひ……」


 これは決まったな……。


 振り向くと、頭部を失い地面に崩れ落ちたボスカマキリの姿があった。

 そして、斬り落とした頭は少し離れた所をゴロゴロと……。


「倒したよー!」


 近くのジグハルト達はもちろん、離れた場所で戦っている皆にも届くように、両腕を掲げて大きな声で勝利の報告だ。

 しまったな……もっと討ち取ったりーとかカッコよく叫ぶべきだったか。


 向こうの魔物は数こそまだまだ多いが、魔王種による強化も無くなるし統制も崩れるはずだ。

 そうなってしまえば、後は彼等が蹴散らすだけ。

 そしたら遺骸を回収して、ダンジョンから撤収だ。


 と、戦闘後の事を考えていると、不意にアレクの鋭い声がした。


「セラっ!」


「ほぇ?」


 我ながら気の抜けた声を出してしまったが、何事かと振り返ろうとしたその瞬間、視界の端から迫る何かが見えた。

 次いで、弾かれるような衝撃と硬い物が割れるような音。


 何かによって【風の衣】と【琥珀の盾】が破られた。


「はわわわわ…………」


 一度経験していたからか、慌てることなく即座に発動し直す事が出来たが、一体何に……?


 そう思い、攻撃を受けた方を見ると、頭の無いカマキリさんが鎌を振り回していた。


「あっ……あわわ……」


 虫って確かにしぶといけれど……ここまでなのか!?

 前世でも、ちょっと仕留めそこなって頭を潰しても動いていたりって事はあったが……ここまで豪快に動くのか……?

 魔王種だからかな……?


「はあっ!」


 異様さに動きを止めてしまっていると、駆け付けたアレクが脚に一撃を叩き込み、さらに追撃を胸部と腹部の付け根に見舞っていた。


「……止まったね?」


 首無しのまま動き回っていたボスカマキリは、その2発が止めになったようで、今度こそ動きを止めた。

 脚はへし折れ、胴体は半ばまで千切れと……流石にここまでやれば動かないか。


 しかし……まぁ……甲殻が無くなっていたとはいえ、アレクの攻撃力よ。


 俺自身が蹴ったり斬ったりしたから、よくわかっている。

【影の剣】は物理攻撃とはまたちょっと毛色が違うが、甲殻が無くったってボスカマキリの身体は硬い事に違いは無い。

 それを力尽くでベコッボコッと……。

【強撃】と【祈り】有りとはいえ、とんでもない破壊力だ。


「よう、大丈夫だったか?」


 そう言うのは、未だ地に臥すボスから目を離さず警戒している、アレクの代わりに側にやって来たジグハルトだ。


「うん。びっくりしたけどねー」


「首を刎ねてもああまで動くとはな……。おっと……流石に今度はくたばったようだな」


 そう言うと、ニッと笑いながら右手を開いてこちらに見せてきた。


「だね」


 俺も右手を開いて、彼に見せる。

 聖貨をだ。


 本来なら止めを指した者のみが得られるか否かの判定の対象になるが、やはり中層のボスザル同様、ダンジョン内に現れる魔王種を討伐すると、参加者全員に贈られるようだ。

 アレクも聖貨を得た事で、ようやく肩の力を抜いたようだ。

 盾を背負うと、左手で摘まんだ聖貨をこちらに見せながら歩いて来た。


 向こうの戦闘音も徐々に少なくなって来たし、ようやくボス討伐も終了かな?

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】・3枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・3枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・5枚

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― 新着の感想 ―
オオカマキリは亜竜じゃ無かった?
[気になる点] 聖貨って右手にも出るんですね 特記はなかったと思いましたが、今まで左手にしか出なかったイメージなので
[一言] これ苦戦度でいえば混合種の5倍くらいありそう
感想一覧
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