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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
14章・リアーナダンジョン

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「ふぬぬぬぬ…………」


 雑魚掃討に参加したはいいものの……あまり活躍出来ているとは言えない。

 弾幕を突破してきた魔物の中でも、大物はオーギュストが倒しているし、それ以外はテレサが魔法も絡めて倒している。

【ダンレムの糸】でドカンとやったらまた別なのかもしれないが……そうなると次弾発射まで10分間、俺が遠距離攻撃を出来なくなってしまう。


「とぉっ!」


 抜け出してきたイノシシに蹴りをかまし、よろめいた隙にヘビたちが止めを刺した。


【影の剣】を振るうには、色々気にしないといけない状況だからな……。

 上手く狙いが付けられずに一撃で仕留めそこなうと、俺に隙が出来てしまう。

 恩恵品や加護で今までよりも守りを固められてはいるが、だからと言って攻撃を受けて良いわけじゃ無い。


 地味ではあるが、このままコレを続けることにするか……。

 ボスの方は上手く抑えられている様だし……。


 そう方針を決めて、ボスとの戦況を確認しようとそちらを振り向くと、ジグハルトと目が合った。


「ぬ………?」


 弓を引くようなジェスチャーをしているし、丁度こちらを見たタイミングってわけじゃ無いようだ。

 ……弓を射ろって事かな?


 ボスは相変わらず羽ばたきながら滞空をしている。

 カマキリってよりは、ハチドリっぽいな……いや、あんな可愛くはないか。


 あの飛び方なら、バランスを崩す事さえできたら落とせそうではあるが、魔法は甲殻で弾かれる。

 それでも衝撃は伝わるだろうが、それだけの威力を出すのはいくら彼でも、1人で相手取っている今だと厳しい。


 そこで俺か……。


 見ればボスも動きこそしているが、素早い軌道はとっていない。

 そして、背面の甲殻もヒビが入り、さらにそこからパラパラと崩れ落ちている。

 貫きこそしなかったが、ジグハルトの魔法はそれだけの威力があったんだろう。

 アレなら背面から当てたら一気に崩せるかもしれない。


 水平に撃つとジグハルトを巻き込むかもしれないが、斜め上を狙えば大丈夫だろう。

 丁度、的は宙に浮いているしな。


 後ろから撃って、狙いをこちらに変えられたら困るが……そうなったらそうなったで、今度はジグハルトが後ろから撃ってくれるだろうし……やってみようかな!


「オレもカマキリの方に参加するから、後お願い!」


 オーギュストとテレサに向けて、こちら側から離脱する事を伝えた。

 あんまり役には立っていないが、一応抜けるわけだし報告はしないとな。


「!? 了解した! 仕損じた時は遠慮なくこちらに来られよ!」


 と、魔物を切り伏せながらの頼もしいオーギュストのお言葉。


 よし……それなら。


 ジグハルトにもしっかり見える様に、手では無く尻尾を振って了承した事を伝えて、この場を離れる事にした。


 ◇


「むぅ……」


 さて……攻撃役を引き受けたはいいが……これは結構難しい。


 俺が【ダンレムの糸】を撃つには、足を完全に止める必要がある。

 ……まぁ、浮いているが。


 ともかく、一射撃つだけで完全に動きを止めて無防備になってしまう。

 さらに、外してしまえば次弾発射まで10分かかる。


 オーギュストはいざとなれば自分が引き受けるとは言ってくれたが……。

 後ろを振り向くと、先程と変わらず中々の激戦が繰り広げられている。

 さらに負担をかけるのは忍びないし……できれば俺で決めたい。


 と、気合を入れたはいいが……。


 しっかりと決められる位置を求めて先程からウロウロしているが、どうにもわからん。


 そもそもオオカマキリ自体初めて知った魔物だ。

 動きを見切る様な知識も無いし、隙を見つけても狙い通りに当てる技術も無い。


「ぬぬぬぬぬ……。もうここでいいか」


 気負い過ぎても駄目だな。

 どうせ出来ない事は出来ないし、誤射だけ気を付けて、後はなるようになれだ!


「ほっ!」


【ダンレムの糸】を始め諸々を発動し、発射の準備に移る。


 それが目に入ったのか、ボスの気を引くべくジグハルトが魔法のタイプを切り替えた。

 小さな光球を、マシンガンさながらに連発している。

 一発一発の威力は大したこと無い様だが、これは鬱陶しい。


 これだとジグハルトが危ないんじゃ……と思ったが、そこはアレクがいつの間にか詰めていて、いつでもカバーに入れるようにしている。

 2人とも流石だ……おかげで俺も慌てずに狙いをつけられる。


 ◇


 見守ることしばし、ようやく機会が訪れた。


 連発される魔法を鬱陶しく思いジグハルトを潰しに行こうとするも、アレクが前に立ちはだかり、攻撃を凌がれる。

 そして、一旦距離をとって次にどう動くか迷うかの様に、その場で滞空している。

 これは、ジグハルトの魔法は鬱陶しくこそあれど、自分を倒すほどの威力が無いとわかっているからだろう。

 でも、それもジグハルトの想定内の事。


 それにしても、ボスカマキリ……【妖精の瞳】やヘビの目で見ても弱って来ているのは間違いないんだ。

 追い詰めてはいるはず。


 だが、それでも何だかんだで余裕があるのは、いざとなれば逃げればいいとでも考えているからだろうか?


 まぁ、強いのは確かだが……お陰でしっかりと狙いをつける事が出来た。


「…………はっ!」


【ダンレムの糸】をしっかりと引き、背後の俺に無防備に晒した背中目がけて、発射した。

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】・3枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・3枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・5枚

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― 新着の感想 ―
[一言] カマキリの胴体が挽き肉に!
[気になる点] ハリガネムシが魔王ではなくタダの最後の抵抗か。 てか、カマキリって複眼だから見えてるのでは?
[一言] やったか!?
感想一覧
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