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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
14章・リアーナダンジョン

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 装備を【隠れ家】に放り込み、移動を開始した。


 中央辺りから入口近くまで、500‐600メートルくらいあるんじゃないだろうか。

 その広いボスの間をやや小走りで移動しているが……魔物が襲ってこない。

 というよりも、逃げている。

 俺達からっていうよりかは、あのボスカマキリから。


 俺は何も感じないが……魔物達には何かが伝わっているんだろうか……?


 そのボスカマキリはゆっくりだが、確実にこちらの後を追って来ている。


 普通魔物って、俺達人間を追いかける時は、もっとガッツいているもんなのに……何かこう……じわじわ追い詰められている感じがして落ち着かない。

 アレク達が狩りをする時に、魔物相手に勝負を急がず一手一手を潰していく、あの余裕のある感じを彷彿とさせる。

 ウチのメンバーも前方の警戒は俺に任せて、ずっと背後のボスカマキリに集中しているし……やっぱ強いんだろうな。


 さて、結局魔物との戦闘は起きないまま南側の壁まで辿り着き、いよいよボスカマキリを迎え撃つわけだが、その前に壁越しに他の部屋の様子を探る事にした。

 かつての魔人や中層のボスザルのように、どかどか増援を呼ばれるにしても、ある程度の心構えは必要だ……少なくとも俺には!


「むむむ…………うん! 向こう側にも魔物はいないよ!」


 さしあたってすぐにこちらの部屋に流れてくる様な魔物がいない事を、皆に報告する。

 前衛の2人にルバンとテレサ、さらにジグハルトも接近戦を行うつもりなのか、剣を抜いている。

 魔法が効かないそうだし仕方が無いのかもしれないけれど、アレによく接近戦を挑もうって気になるな……。


「わかった。お前は打ち合わせ通り頼む。無理はしなくていいからな」


 報告を受けたアレクがこちらに向かって言ってきた。

 彼は今は【赤の盾】を背負い、両手で棍棒を手にしている。

 足を止めての殴り合いじゃなくて、移動しながら戦うスタイルだ。


「はいよ。皆も気を付けてね」


【祈り】を発動して、俺だけ少し離れた位置へ移動する。

 そして、【紫の羽】【琥珀の盾】【風の衣】も発動し、準備は完了。


 さぁ、張り切って毒まくぞー!


 ◇


 ボスカマキリとの戦闘が始まった。


 ボスは、ゆっくりと移動し左右の鎌を大きく振るう。

 とにかくシンプルな戦い方だ。


 だが、サイズが大きい分その迫力たるや……鎌を振るうたびにブオンブオンと、少し距離を取っている俺の耳にまでその音が届いて来る。

 可動域が限られているから回避は決して難しいことでは無いが、範囲が広く、また体の向きを変えたりして軌道を変えてくるため、気を抜く事は出来ない。

 そもそも体にぶつかるだけでも、大事故だ。


 さらに昆虫の目……複眼だったかな?


 とにかく視認出来る範囲が広く、正面はもちろん横や後ろ、死角らしい死角が無い。

 どう移動しても対応してくるため、今のところ有効打は与えられていない状況だ。

 オオカマキリという魔物自体、強力な部類にもかかわらず、さらに魔王種で亜竜と属性を盛っている。

 とにかくこちら側は、通常のオオカマキリからどれだけ強化されているかわからないし、攻撃を受けることなく慎重に戦っていく方針ではあるが、攻めるとっかかりが掴めない。


 まだ始まって間もないとはいえ、なんとも我慢を強いられる妙に静かな戦いだ。


 さて、そのボスとの戦いはさておいて……。


「……あ、効いた」


 ヘビの視界の端で、魔物が崩れ落ちていく様子が見えた。


 以前は目を閉じないと視界の共有は出来なかったが、最近俺の目を開けたままでも、何とか1体までなら出来るようになっている。

 まぁ、激しく動いたりしながらは無理だが……それでも今の様にただ宙に浮いて、観察しながらだとそれも可能だ。


 そちらをさらに注意して見てみると、奥の方で同じく崩れ落ちる魔物が多数。

 戦闘が開始される少し前から、全開で毒を撒いているが、ようやく効果が表れ始めたようだ。


 下では相変わらず戦闘が続いているし、ボスには全く影響が無いようだが……それでも少しは援護になるだろう。


「周りの魔物、毒効き始めたよー!」


 下で戦う皆に報告する。


 俺のボス戦での役割は四つある。


 一つ目はボスの真上をキープしながら観察すること。


 二つ目は、ひたすら毒を撒き続けて周囲の魔物を無力化することだ。

 その二つ目の方から先に成果が表れたか。

 皆は集中しているから、声で返事をしてくることは無いが、一瞬アレクが棍棒で小さな円を描いていたが、アレが返事替わりだ。


 このメンツは領地の仕事で一緒になる事が多い。


 騎士団絡みでは、地位と身分どちらもあるオーギュストに。

 森の探索や魔物との戦闘では、経験と実力のジグハルトに、リーダーを任せているが、ダンジョン探索ではアレクがその役目を果たしている。

 なんというか……ルバンは普段は離れているから別だが、しっかり皆従うのが面白い。


「んじゃ、オレもそろそろ取り掛かるかな」


 四つ目にはまだまだ手を付けられないだろうが……一先ず皆がボスに集中出来るように三つ目のお仕事開始だ!

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】・3枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・3枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・5枚

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新乙い [一言] 毒撒きたーのしー!!
[一言] セラちゃん「ふはは!ダンゴムシ用に開発したキ◯チョールを喰らえい!」
[一言] いよいよボス戦が始まった! セラさんはどんな活躍をするのか楽しみ!
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