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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
14章・リアーナダンジョン

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「……あれ? 向かう場所違うくない?」


 俺を抱えて【浮き玉】に乗ったテレサは、北に向かい始めた。

 てっきり本陣に向かうと思ったのだが、どうやら先にアレク達と合流するようだ。

 先程のルバンの魔法であの変なのに気づいたのか、彼等も本陣に向けて移動している。

 もう一回彼等を【風の衣】で吹っ飛ばすのかな?


「ええ。恐らく本陣を捨てて、開けた場所に移るはずです。アレク達にも伝えて、まずはその場を確保しましょう」


 わざわざ造ったあの場所を捨てるのか……。


「うん……。ね、テレサもアレが何かわかってるの?」


 魔虫種って事くらいしか俺にはわからない。

 魔力も何も見えないし、強さがわからないから気にはなるが、ルバンといい只事ではない様子だ。

 ここまで来たらあれがここのボス……魔王種なんだろうってのは俺でもわかるが、それでもここまで警戒するような相手なんだろうか?


「私は直接対峙した事はありませんが、オオザルと一緒でアレも森林の深い位置に生息する、オオカマキリです」


 まんまなネーミングだ。

 まぁ、カマキリとか強いし、それの魔物版ともなれば警戒するものなのかな……?


 カマキリの方を見ると、さらに本陣の方へ移動をしている。

 ルバンの魔法で接近に気付いただろうに、一切迎撃を行っていないのが気になるが……飛ぶのかな?

 いや、それなら撃ち落とせるだろうし……。


 などと考えていると、アレク達のもうすぐ側まで来ていた。

 本陣に向かって走っているが……。


「あれーく」


 手を振りながら呼びかけると、こちらに気付いた様で足を止めた。

 大きな怪我こそ無いが、あちらこちら鎧が破損しているあたり激闘だったんだろう。


「降りましょう」


「うん」


 彼等の補給もしないといけないしな……忙しくなりそうだ。


 ◇


 竜種。


 強靭かつ巨大な肉体に魔法を無効化する鱗を持つ、この世界の頂点に君臨する種族だ。

 物語だと空を飛んだりするが、実際は流石にそこまでの化け物っぷりではないらしい。

 それでも、単純にデカくて硬くて重いってだけでも十分な脅威になる。

 アレだね……ゾウさんが強い的な。


 そして、強力なブレスや、人が使う様な魔法こそ使わないが、魔力のごり押しでそれに近い現象を起こしたりもするそうだ。

 そのエネルギー源になるのが、竜核と呼ばれる臓器だ。

 極論だが、竜種と他種との区別は、その竜核の有無と言ってもいい。


「……亜竜?」


 アレク達と合流を果たした後、【隠れ家】から急いでポーションや予備の装備を取り出して、装備の交換作業等をしていると、本陣から移動してきたジグハルト達もやって来た。

 装備は置いたままだが、ポーションはしっかり持って来たようで、ジグハルトとフィオーラも回復を行っている。


 本陣を目指していたカマキリは、狙いは俺達なのか、壁から降りてこちらに近づいて来ているが、随分ゆっくりとしている。

 その間にアレは何なのかと聞くことにした。


 亜竜か……ゲームとかだと、ドラゴンじゃ無いけれど、ドラゴンっぽい姿だってことで、ワイバーンとかがそんな風に呼ばれることが多いな。

 でもカマキリだぞ?

 せめてトカゲとか、鳥類とか……どこか共通点でもあれば納得できるけれど……。


「カマキリなのに?」


「姿は関係無いわ。あの体表……竜種の鱗とほぼ同種のもので、魔法を弾くの。竜核を持たなくても、あの鱗を持つものを亜竜と呼ぶようになっているの。……ダンジョンで出て来るとは思いもしなかったわね」


 苦々しげに言うフィオーラ。


「!? ……そりゃエライ事だ」


 あの黒いのがそれか……魔法が無効化って事はうちのメイン火力2枚が封じられてしまう。

 とんでもないな……。


「俺もフィオも、溜めさえ作れりゃ亜竜程度はどうにか出来るんだが……」


 ポーションをグビグビ飲んでいたジグハルトが加わってきたが……。


「あ、どうにか出来はすんのね」


「外でならな……。亜竜を押さえながら他の魔物の対処となると手が足りない。……どう倒すかな」


「あー……なるほど」


 サイモドキの時のアレみたいのなら通用するのかもしれない。

 ただ、あの時は溜め時間は10分そこらだったが、そのための準備を事前にしっかりやっていた。

 それ抜きでとなるとどれ位かかるのかはわからない。

 しかもそこらから魔物が湧いてくるダンジョンでとなると……ちょっと厳しいだろう。


 それに……あのカマキリ。

 もう200メートルくらいのところまで来ているが……壁に貼り付いていた時は何となく大きいなって程度だったが、高さは3メートルくらいで、長さはもっと……大型トラックくらいだろうか?

 それが大きな鎌を構えながらジワジワと……いざ近づいて来ると結構な迫力だ。


 2人を守りながらとなれば、あのカマキリの足止めは1人でやる事になってしまう。

 その役割はアレクになるだろうが、いかに彼でも……ぬぬぬ。


「どう戦う? 足は速くないようだし、もう一度壁側にまで移動するか?」


 カマキリの挙動を探っていたルバンが口を開いた。


 壁際にあった本陣を捨ててここまで来たのは、あそこは雑魚を迎え撃つために造ったもので、あちらこちらに堀や塀があり、大物相手に走り回る様な戦いには向いていない造りだったからだ。

 戦闘中は移動することになるかもしれないし、そこに引っかからないようにとここまで移動したが、あの移動速度なら、本陣から反対の西側まで移動するくらいは余裕がある。


「そうだな……南側の壁を目指そう。セラ、先導を任せられるか?」


 結局入口まで戻ることになるのか。

 ボスの間の4分の1を回った感じになったな。


「うん。任せて」


 南側なら壁や通路越しに増援を呼ばれても、何が来るのか把握できているし、対処もしやすいだろう。


「急ぐ必要は無いぞ。折角姿を捉えているんだ」


「了解!」


 俺の場合はゆっくりの方が難しかったりするが……まぁ、何とかしよう。

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】・3枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・3枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・5枚

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― 新着の感想 ―
[一言] カマキリなら首は細いし腹は柔らかそうな気も 亜竜って位だからやっぱり素材としては良いのだろうな。コイツもしかして飛ぶのだろうか、そしてハリガネムシはいるのだろうか?
[良い点] 竜と言っても遠距離をブレスで攻撃したりするわけじゃないし、頑丈なのは体表だけ。そして、飛行する様子もない。 …………これはもう勝ったのでは? [気になる点] 竜鱗は【ダンレムの糸】も防げる…
[一言] 魔法が効かない・・・? よし、油を掛けて火を付けよう(外道)
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