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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
14章・リアーナダンジョン

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 ダンジョンで【風の衣】と【紫の羽】の使い心地を確かめた日の夜。

 同行したメンバーにセリアーナとリーゼルも交えて報告会を行っている。

 場所は南館では無くて、本館のリーゼルの部屋だ。


「……そう。使い物になるのなら結構な事ね」


 まずは前座の俺の報告を聞いて、【小玉】に乗ったセリアーナはそう言った。

 彼女はソファーに座らず、フワフワと宙に浮いている。


 もっとも俺と違って、座っているのとさして違わない程度の高さに留まっている。

 俺は気を抜くと天井あたりまで浮き上がってしまうからな……。


 2つに加えて、【小玉】ももちろんダンジョンで試用した。

 とりあえず、本体の【浮き玉】と同じ程度には使う事が出来る。


 フィオーラが使っていた時は普通に移動するだけだったが、途中で交代して、テレサが使うようになった。

 彼女は剣を用いた戦闘も行ったのだが……【浮き玉】と遜色ない機動力だった。

 だが、そもそも【浮き玉】の限界自体もわかっていないし、現時点での【小玉】の評価は持ち越しになっている。


 とりあえず、女性陣にとって便利な足が出来た。

 それと、フィオーラも高い所や速いものには平気って事がわかったくらいか。

 馬とかに乗る機会があるからか、皆結構平気っぽいんだよな……俺が苦手過ぎるだけなのかな?


 さらに他の面子が補足をして報告が終わった。


 しかしまー……皆よく初見の恩恵品について、アレコレ意見を出せるな……。

 効果や効率の良い使い方なんかの意見がポンポン出てきた。

 俺はただただ感心しきりだったが……情報量や経験の違いなんだろうか?


 さて、俺がふぬぬと唸っている間に、ボス討伐へと話が変わり、今度はオーギュストがメインで話を始めた。


「後10日もしたら、ルバン殿が再び領都に訪れます。前回同様下層まで一息に駆け抜けて、それから探索、討伐を行います」


 ……相変わらず、あのにーちゃんにとっては慌ただしいスケジュールになりそうだな。


「うん。最近は騎士団で探索を行っている者達も中層まで進めているんだったね? それなら下層まで到達するのもそこまで時間はかからないかな?」


「それと、前回は中層には我々が最初に踏み入りましたが、今回は事前調査で既に下層に数隊送り込んでいます。下層の入口周辺のみの調査ですが、ある程度情報が揃って来ていますし、さらに効率良く進めるはずです」


「魔物の種類は?」


「主に強化型の妖魔種が。環境は上層や中層と同じですが、構造は上層に近く、各広間が通路で繋がっているようですね。ただ、魔物の密度は非常に高く、恐らく援軍を呼ばれ乱戦に持ち込まれるでしょう。また、環境は中層に近く、足場も見通しも悪いようです」


 彼等は真面目な顔で下層の状況について話をしている。


 前回と違って、下層には既に調査の兵が送り込まれていて、その彼等から情報が入って来ている事は俺も知っていた。

 当初は、最初に踏み入るのは俺達で、そのまま討伐をって予定だったそうだが、中層でも安全マージンを確保しながらでの狩りも行えたため、アレクを交えた冒険者たちとの混成部隊で調査を行っていた。


 別に順番にこだわるつもりは無いし、死者が出ないんなら事前に情報がある方が助かる。

 実際今日の恩恵品や加護の試用も、彼等からもたらされた情報を前提に、アレコレやったわけだし、今目の前で行われている討伐の計画だってそうだ。

 死者も重傷者も出てはいないそうだが、やはりそれなりに大変だった様だとは聞いている。


 ありがたい事だ。

 彼等の苦労に報いる為にも、しっかりと情報を活かしたい。


 だが、俺はちょっとこの会話に加わる前に確認しておきたいことが一つ……。


「ね」


 討伐計画を練っている中に参加せず、脇からそれを眺めているセリアーナに後ろから声をかけた。


「どうしたの?」


「強化型って強いやつだっけ?」


 ……聞いた事はあるが、実は詳しい事は知らないんだ。


「……そうね。ゼルキスだと下層の最奥部。王都だと下層あたりから現れる、そこまでの魔物よりもずっと強力な魔物のことよ。私も直接見たことは無いし資料で目にした程度だけれど、魔境の魔物と同等らしいわ」


 セリアーナは一瞬呆れた様な表情をして見せたが、ハタと何かに気付いたのかすぐにいつもの表情に戻した。

 冒険者ギルドとかなら資料があるのかもしれないが、ダンジョンの奥の資料は、俺はまだ閲覧できない事を思い出したのだろう。

 簡単にだが説明をしてくれた。


「ほうほう」


 魔境クラスの魔物がワラワラと……まともに戦うと結構大変そうではあるな。

 そして、中層の様にだだっ広い空間という訳でも無いし、まとめてドーンっという訳にもいかないだろう。


 ……となると、俺の背中の羽の出番かもしれないな……!


 ◇


 話を終えたその後は解散となり、俺はセリアーナ達と寝室に戻った。


「どう? どう?」


 そして、俺は今ベッドの上で上半身裸になっている。

【紫の羽】の第1段階を自分で見るためだ。

 ダンジョンでは確認はフィオーラが行ったが、【隠れ家】に入らず、服の襟から覗き込む形だったからだ。

 エレナとテレサに鏡を持ち前後に立ってもらい、合わせ鏡の様にして背中を映しているのだが……。


「ああ……本当。蝶の羽ね。お前蝶は平気なの?」


「幼虫じゃなきゃ平気だよ。あ、見えた見えた」


 鏡に俺の背中が映った。

 ちょうど真ん中……肩甲骨の間あたりに紫色の蝶の羽が現れている。


 ……思ったより毒々しくないな。

 紫の羽とか言うからちょっと警戒していたが、開放前の花びらを並べ替えた様なデザインで、正直悪くない。

 人に見せる事なんて無いだろうが、これはアリだな!

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】・1枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・3枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・5枚

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― 新着の感想 ―
[一言] 空中の瞳に3匹の蛇 蝶の羽 伸縮自在の爪 鳥の左脚 断罪の右脚 蛇の尾 完全に魔王降臨ですね
[一言] えー芋虫もダメなの? もしかして長虫系全般がダメとか 弱点多そう
[一言] 浮き球に乗って上空から毒の粉散布するだけでもかなりの有能と言うか組み合わせが非常に良い恩恵品なのでは、カバー用の防御も手に入ったし 見た目も可愛いなら戦場の妖精になれるね!(毒)
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