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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
14章・リアーナダンジョン

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 先日行った念願の聖貨ガチャ10連。


 その成果である、【風の衣】と【紫の羽】の実験にダンジョンにやって来ている。

 そのために、護衛としてアレクとオーギュスト、テレサの3人に、監督役としてジグハルトとフィオーラという豪華な面子だ。

 アレク達は騎士団の仕事もあるんだが、こちらを優先してくれた。


 ボス戦に間に合ったし、その際に使うかもしれないからだろう。

 まぁ、単に興味があったからってのもあるかもしれないが……。


【琥珀の盾】は試していない。

 剣の方と違って、的相手に試す事は出来ないし、性質上人間相手に試すわけにもいかないから、魔物相手に試したいところではあったが……、そのためには攻撃を受ける必要がある。

 ダンジョンに潜ってもう4年経つが、未だに俺は魔物の攻撃を受けた事が無いし……怖いじゃん。

 そのうちどうにかなるはずだ。


 効果がわかっている【琥珀の盾】よりも、2つの方だ。


【風の衣】……これも効果はフィオーラから聞き、ある程度わかってはいるが、実際に発動してみるとより詳しく効果がわかった。

 名前に風なんて付いているが、別に風が吹きすさぶわけじゃ無い。

 正直、俺を中心に風が逆巻いていたりしたらカッコいいな……とかは思っていたが……残念ながらそうでは無かった。


 最大で直径5メートル程の球状の膜を張り、その膜に触れたものは突風で吹き飛ばされる……そんな具合だ。

 適用される対象が敵、あるいは何かしらの危険らしいが、俺が認識していなくても発動するのが謎だ。

 まぁ、高性能なのは有難い。

 俺の場合は浮いているから範囲が球状であって、通常だと半球状になるらしい。


 流石にイノシシの突進を押し返すほどの力は無かったが、オークをよろめかせる事は出来た。


 俺は今も通路を突破する時は傘を使っている。

 今のところオーガの姿を見ていないが、たまにオークの中にも投擲をしてくるものがいるし、直撃は避けられるが破片はやはり怖い。

 傘は有効だが視界が塞がってしまい、アレはアレで怖いしな。


 ここリアーナだけじゃなくて、他の似たようなダンジョンはもちろん、外での狩りでも使えそうだ。

 流石に屋内や街中じゃ周りを巻き込む事もあるが、外でなら範囲を狭めれば常時発動でも行けそうだし……いい加護だ!

 ちょっとした、コンビ技も出来たしな!


 そして……なんか訳の分からないおっかない恩恵品【紫の羽】。

 名前は羽なのに開放前は切り花で、いざ開放したらブローチに……ブローチはありかな?

 効果は名前から毒っぽいって事こそわかっていたが、どんな物なのかあまり想像の出来ない恩恵品だった。


 結果は……。


「……生きてはいるな」


「ああ……やはり麻痺毒か?」


「今回は10分そこらか……。体格差か能力差かはわからんが……効果が現れるまでにバラつきがあったな。セラ、こいつらは俺達でやっていいか?」


【紫の羽】の効果によって倒れ伏す魔物達。

 そして、アレク達はそれを調べているが、止めを刺す様で、天井近くを漂っている俺に向かって、大きな声で聞いてきた。

 浅瀬だとそれほどでも無いが、上層だと結構声が響くなー……。


「いいよー!」


 動けないとは言え、魔物が沢山いる場所に降りていくのは怖いしな。

 ちょっともったいないが、任せてしまおう。


「……思った以上に便利ね。貴方向きかしら?」


「おわっ!?」


 横から声をかけてきたフィオーラに、驚き声を上げてしまう。


「そろそろ慣れてくれると嬉しいわね」


「ごめんごめん……。んっんっ……まぁ、そうだね。これなら浮きながら無力化できるし、乱戦でも支援が出来そうだよ」


【小玉】に乗ったフィオーラに謝りながら、【紫の羽】の使い心地を説明する。


 いやー……今まで【浮き玉】に乗った俺に、下からならともかく横から声をかけてくる人なんていなかったからな……慣れない。


「終わったみたいね……」


 下に目をやれば、先程まであちらこちらに転がっていた魔物の姿が無い。

 どれも核を潰したんだろう。


「だね。降りよう」


 止めは俺じゃないから聖貨は期待できないが、遺物の回収をしないとな。


 ◇


【紫の羽】は名前通り羽が生える……と言うと少し語弊があるかもしれない。

 系統としては【蛇の尾】に近い。


 まず発動前の状態があって、次に発動すると背中に蝶の様な羽の模様が現れる。

 これが第一段階だ。

 第二段階は、そこを意識してもう一度発動すると、紫色に淡く発光する大きな4枚の羽が現れる。

 しっぽと違うのは、それ自体を動かしたり、何か物に触れたりは出来ない事と、背中から生えるのではなくて、少し離れて現れる事か。


 その羽からは紫の鱗粉のような物が放たれて、それを浴びた魔物は個体差はあるが、徐々に動きが鈍くなりやがて麻痺したように倒れ伏す。


 まだ検証が足りず、どれほどで有効になるかなど調べる事は多いが……、この恩恵品の最大の特徴は、敵味方の識別ができる事だ。

 この羽に触れる事が出来ないことから、恐らく魔素のような物で、毒は魔法に近い現象じゃないかとジグハルト達が言っていた。


 乱戦になった時に、宙から俺がグルグル周囲を移動する……それだけで効果を発揮できてしまう。

 ボスザル戦時に痛感した、乱戦時の戦闘手段の少なさを補える、非常にありがたい恩恵品だ。


「よっと」


 下に降りて羽を解除する。

 別に仲間に害があるわけじゃ無いが、如何せんデカいからな……。

 1枚当たり全長1メートル近いから、結構邪魔になる。


「ああ、やはり蝶だな」


「だよね!」


 解除する時は、羽が閉じる様にして消えていくのだが、羽は縦に閉じていく。


 最初俺は、蝶っぽい羽とはいえ毒って事から毒蛾を想像した。

 ムカデ程じゃ無いが、蛾も好きじゃないから、それが顔に出てしまっていたのだろう。

 だが、解除する時に、その羽の閉じ方は蝶だと教えてくれた。


 おかげでシコリ無く使う事が出来るってもんだ。

 折角有用な恩恵品なのに、嫌々使うのもな……。


 フフフ……次のボスそのものに効くかはわからないが、乱戦になったら俺の出番だな!

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】・1枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・3枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・5枚

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― 新着の感想 ―
[一言] 見た目がますますラスボス系少女になってますね笑
[一言] 羽を縦に閉じるのは蝶というのは間違いですよ。蛾にも縦に閉じる種はたくさんいますし蝶にも羽を広げる種がたくさんいる。横に広げてとまれば蛾、閉じれば蝶というのは日本の種がたまたまそうなってたから…
[一言] セラを止められる人はいるんだろうか…
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