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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
14章・リアーナダンジョン

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【風の衣】かー……防御系の加護だ!

 加護は使いこなすのはもちろん、発動にもちょっとコツが要ったりするし、しばらくダンジョンではそっちの練習をしようかな?

【琥珀の盾】に始まり【浮き玉】の【強化】に【琥珀の剣】と、少々ディフェンシブな結果に偏った気もするが、まぁ、大当たりといっていい気もするな。


「よっし! ラスト1回!」


 これが終わったらちょっとダンジョンに足を運ぶのも悪くないかもしれないな。

 狩りをするんじゃなくて、発動を試すだけだ。

 それくらいなら狩場を荒らすわけじゃ無いし、浅瀬でやっても邪魔にはならないだろう。


「ほい」


 いやー……前半はしょっぱかったけど、後半で巻き返したな。

 あのままだったらどうしようかと思ってたけど、これはもう勝ちだな!


「ほっ……と」


【紫の羽】


「あ?」


 唐突に浮かんだ文字に思わず声を上げた。

 何だ今の?


「セラ?」


「い……いや、今なんか文字がね?」


 どうしたのかと訊ねるセリアーナに、歯切れ悪く答える。


 羽ってなんだ?

 生えんの?

 加護?


 ……えーと……?


「あ」


 グルグルと頭の中で色々考えていると、目の前に何かが現れた。

 恩恵品か。


「…………はな?」


 とりあえずとキャッチしたが、それは羽では無くてどう見ても花だった。

 はねとはな……一字違いとかハイセンスだな神様。


「あら、良かったわね。恩恵品じゃない」


 なんか変な物だけど、とりあえず当たりが出た事を祝福するセリアーナ。


「花……それも紫。セラ、それの名は何?」


 一方それは何かと問い質すフィオーラ。

 声に若干鋭いものが混じっているが……どうしたんだろう?

 紫ってのが引っ掛かっているみたいだけれど……。


「【紫の羽】だって……。知ってる?」


 フィオーラはそれに答えず口元に手をやり、俺が握る花を見ながら難しい顔をしている。

 珍しいな……危ない物なのかな?


「……花よね?」


「ね?」


 一方、そのフィオーラの様子を気にせず、セリアーナは俺が握るそれに顔を近づけている。

 まぁ……まだ開放も発動もしていないし、今の段階で危ないなんてことは無いか。

 俺も顔に近づけて、それをよく観察する。


 見た目は大きな紫の花で、少し垂れさがっている。

 百合の花なんかに似ているかな?


 今は茎を握っているが、花弁の触った感じはどうなんだろう?


 そう思い、指を伸ばすが……。


「おわっ!?」


 横から伸びた手に止められて、驚き思わず声を上げてしまった。


「姫、直接触れるのは止めておきましょう」


 その手はテレサのもので、どうやら俺が花びらに触れるのを止めさせたかったらしい。

 ……茎を思いっきり握っているのは大丈夫なのかな?


「フィオーラもだけれど、テレサ、貴方も何か心当たりが?」


 セリアーナの問いかけに、テレサは頷いた。


「名前に紫が付く場合は毒に関係する場合が多いのです。これは、平民はもちろん貴族の間でも一般的ではありません。所持する家や、騎士団、魔導士協会の一部の者以外は知らないはずです」


 それを聞きセリアーナと顔を見合わせる。

 なんか一歩二歩下がっている気がするけど……気のせいかな?


「……オレ思いっきり握ってるけど」


「開放も発動もしていませんし、大丈夫だと思いますよ? それでも何があるかわかりませんし、花弁に不用意に触るのは止めておきましょう」


 恐る恐る聞く俺に、安心させるように笑って答えるテレサ。


 とりあえず危険は無いのか……いや、油断は出来んか?

 どうしよう……もう俺だけで開放してしまおうか?


「さっさと開放してしまいましょう。その方がコントロール出来るでしょうし……そうよね? フィオーラ」


「そうね……今の時点ではそれが何らかの効果を発揮しているのかわからないし、その方がいいでしょうね。……セラ安心なさい。仮にあったとしても私が治療出来る程度よ」


 思索にふけっていたフィオーラが今度は答えたが……。


「……安心できないけどわかったよ」


 あんまり安心できない答えだな。

 一応【祈り】も発動しておこうかな。


「ほっ! んじゃ、やるね……。って何、セリア様?」


 怖いしさっさと開放してしまおうと思ったのだが、セリアーナがこちらに手を伸ばしている。


「何って……開放するんでしょう? さっさと寄こしなさい」


 当然のような顔で言ってくるが……。


「……危ないかもしれないらしいよ?」


 フィオーラが言うには大丈夫らしいけれど、それでもなんでチャレンジしようとするのか。


「奥様の方が貴方より抵抗力があるわ。もし開放した際に貴方が具合を悪くしても、奥様が代わりに止めてくれるでしょう」


 ……俺のフィジカル面の信用の低さが理由か。

 危ない事はしないでもらいたいんだけど……納得は出来た。

 勝手に発動するようなもんじゃ無いだろうし、その心配は無いと思いたいが……、まぁいいか。


「んじゃ、お願い」


「結構。さっさと済ませましょう」


 握ったままの花を手渡し、その上に重ねた。

 そして、開放と下賜を済ませたが、花が消えて代わりに手のひらに何か固い感触を感じる。

 形が変わったようだ。


 セリアーナはそれを摘まみ上げると、裏表を確認している。


「ブローチかしら……?」


 なるほど……ブローチか。


 開放前と似た花のブローチで、色はやっぱり紫。

 胸元に着けるんだろうけれど……、流石にここで試すわけにはいかないな。


 それにしても……。


「……羽ってなんなんだろうね?」


「発動したらわかるでしょう」


 一通り見て満足したのか、こちらに渡してきた。


「ふぬ……」


 聖貨ガチャ10連。

 概ね満足のいく結果ではあるが……最後の最後で訳の分からん物が来ちゃったな……。

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】・1枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・3枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・5枚

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― 新着の感想 ―
[一言] セラがキメラになっていく……
[一言]  浮き玉の流れからてっきり、当たりは全部強化ばかりに行くかと思ってたんですが、ぞろぞろっと新顔(恩恵品)が来ましたねぇ。
[一言] こうやってみるとセラさんの加護と恩恵品の多さよ
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