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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
14章・リアーナダンジョン

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 ボスザルの遺骸を【隠れ家】に押し込み、その後はさっさと撤収することになった。


 もともとボスを倒したら撤収する予定ではあったが、恐らく中層の魔物を一掃している。

 数十分の間、奥からはもちろん、途中から手前の魔物達まで含めて、ひたすら集まってくる魔物を倒し続けたわけだしな。

 怪我人も出なかったし、それなら今のうちに中層を少し調べてみては? と思ったが……予定は変えないそうだ。

 堅実。


 帰りは、行きと同じく一気に駆け抜けた。

 やっぱりフィオーラの足に合わせていたが、魔物を倒す速度は帰りの方がずっと上だった。

 行きも相当速かったが……ボス戦に備えて温存していたようだ。


 そんなわけで、あっさりと帰還を果たした。

 帰るまでが遠足……その言葉が頭に浮かんだが、この連中に油断なんてないか。


 帰還後はまずは、騎士団本部の一室に向かった。

 ここは、後ろ暗い……とまではいかないが、あまり公に出来ないようなアレやコレやをする場所で、出入りできる人間が限られている。

 そこの壁に触れ、【隠れ家】を発動した。


 ボスザルの遺骸は、手足や頭部は2人がかりでなら簡単に運び出す事が出来るが、やはり胴体がネックだ。

【祈り】までかけているが、それでもきついらしい。

 最終的に倉庫から持って来たロープをかけて、引っ張っている。

 中に入らないし、これならオーギュストも参加可能で、彼も一緒に汗を流しているが……【隠れ家】はドアを開けて当人達に入室の許可を出していれば、外から中の物を引っ張り出す事が可能らしい。


 中からなら、ドアの外の様子も普通に見えるが、外からだと真っ暗で中の様子はわからず、壁に出来たドアの形の真っ黒な影にしか見えないそうだ。

 マジックミラーみたいなもんだろうか?


 あまり使う機会は無いだろうけれど、思わぬ裏技を見つけてしまった。


「確かにっ! コレは重いな!」


 外から引っ張りながら、放り込む時は参加していなかったオーギュストが、その重さに目を白黒させながら、必死に引っ張っている。

 アレク達は彼のその必死な様子を、自分達も必死になりながらも笑っている。


「がんばれー」


 中から声をかけるが、果たして彼等に届いているんだろうか?

 まぁ、面白いからいいか。


 ◇


 ほっぺがいたいきがする。

 ……ってかいたいわ!


「なんじゃー!?」


 と、叫びながら体を起こした。

 ……起こした?


「ようやく起きたわね」


 背後からセリアーナの声がしたので振り向くと、彼女は呆れた様な顔をしている。

 ……どうしたんだっけ?


「お前……しばらくは起きていたけれど、すぐに眠り始めたのよ? リーゼルも来たし、話を始めるから起こしてあげたのよ」


 ダンジョンから帰って遺骸を引っ張り出した後は、風呂に入って食事をして……報告をするために集まっていたが、リーゼルが何やら急遽入った用事で遅れてしまっていた。

 で、彼が来るのを待ってからとなって……なるほど。

 場所はいつもの談話室で、いつの間にやらリーゼルを始め、ダンジョンの事を知る領地のお偉いさんたちが勢揃いしている。


 風呂に入ってサッパリして、お腹も膨れた事で居眠りしてしまっていたのか。



「……なんかほっぺ痛いんだけど?」


痛む両の頬に手を当てていると、セリアーナはフッと笑っている。


「千切れる前に起きられてよかったわね」


「ぐぬ……」


 どこでも眠る俺もいかんのかもしれないが、セリアーナの起こし方もだんだん過激になって来ている気がする。


「セリア、その辺で……。遅くなって済まなかったね。今日は報告を聞くために1日空けていたのだが……どうしても僕が出る必要のある用が出来てね」


「いえ、それも領主の務めです。どうぞお気になさらず……」


 謝るリーゼルにすかさずフォローを入れるオーギュスト。


「じゃあ、始めようか」


 仕切り直すように、リーゼルが報告を促した。


 ◇


 中層に現れる魔物自体に問題はない。

 浅瀬と上層の魔物が混在しているが、強さに変化は無かったと思う。


 強いて言うなら、中層の構造が俺達人間にとっては見通しが悪く、不利な事だろうか?

 浅瀬もそうだったが、あそこは魔物にとっても動きを制限されていたが、中層はそれが無いし、相応の実力が要求されそうだが、あそこまで来れる様な冒険者なら十分戦えるだろう。


 そこまではいい。

 参加者からも特に質問は出ず、オーギュストの報告を黙って聞いている。


 いよいよボスザルについてだ。


「魔王種だというのか?」


 皆は驚きを隠せないようだ。

 ボスの存在は以前の会議で伝えていたが、それがまさか魔王種だとは思わなかったんだろう。

 俺も驚いたが、彼等は俺よりもずっとダンジョンの情報に精通している。

 尚の事だ。


「セラ殿、【妖精の瞳】と潜り蛇たちを良いだろうか?」


「うん。ほっ!」


 オーギュストの要請にこたえて、まずはアカメ達を襟から伸ばした。


『おおっ……』


 普段からアカメ達は見せているが、3体揃ってってのは中々無いからな……ちょっと驚いている。

 そして……。


「よっ!」


『…………』


【妖精の瞳】を見て、今度は黙り込んでしまった。

 まぁ、結構グロイ目玉だしな……俺も気を抜くと自分でビビる事もある位だし、無理もない。

 ともあれ、オーギュストはこれらを示しながら、戦ったボスザルについて説明を始めた。


セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】・64枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚

エレナ・【】・【緑の牙】・1枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・4枚

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― 新着の感想 ―
[一言] 普段遠目には見慣れてても至近でグロ目玉見たらそりゃあ黙りますよね コレが+1されたらどうなってしまうのか
[一言] 違うかもしれないけど、セラさんからチンアナゴみたいに三匹の蛇が生えてる光景を思い浮かべた
[一言] マジックミラー隠れ家 怠惰姫は眠り姫 妖精の瞳はキモい の3本でお送りしました 地味に聖貨が増えましたね
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