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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
14章・リアーナダンジョン

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 更なる増援がやって来る前にと、いそいそ魔物の死体処理を行っているその時、突如左手に違和感が生まれた。

 何か固い物を握っている。


「……? ……あれ?」


 何かと思いそれを見ると、聖貨だった。

 だが、何故?

 俺が今やっているのは死体の処理……それもアカメ達にやらせているだけで、俺は手を出していない。

 聖貨を得られるわけが無いのだが……一体何が?


「おや?」


 ふと見た、離れた所で同じく死体の処理をしているテレサ達も動きを止めている。

 そして、なにやら手を気にして……あ、なんかキョロキョロしてる。

 もしかして彼女達もか?


 ちょっと何が起きたのか気になるが……とりあえず先に処理を終わらせよう。

 魔物の警戒はヘビ達に任せているとはいえ、俺じゃよくわからないから怖いしな……!


 ◇


 周りに魔物の死体が無くなったのを確認して、テレサ達のもとに向かうと彼女達も処理を終えていた。

 そこら中に遺物が転がっているが、もったいないがこれは放置だ。

 それよりも……。


「お疲れ。こっちも終わったよ。……それよりもさ、向こうで1枚だけど、聖貨を手に入れたんだよね。皆は?」


 俺の言葉に頷いたり、摘まんで見せてきたりしている。

 やっぱ皆もゲットしていたか。

 恐らく同じタイミングだろうが……。


「気にはなるけれど、ひとまず向こうと合流しましょう。戦闘も終わっている様だし、遺骸も凍らせて貴方の【隠れ家】に収納しないといけないでしょう?」


 パンっと手を叩き、フィオーラが提案してくる。


「ええ。今は途切れていますが、またいつ襲って来るかもわかりませんし……」


 それに同意するテレサ。


「む……それもそうだね」


 俺もそれに頷く。


 確かにアレコレ気になる事はあるが、ここはダンジョンだ。

 まずはここでの仕事を済ませてからにしよう。


「移動か?」


 少し離れた所で周囲の警戒をしていたルバンもやって来た。

 普段は周囲の警戒は俺がやっているが、ボスザルのアレで止めていた。

 代わりに彼がやっているんだろう……ありがたや。


「ええ。行きましょう」


 念のため周囲の警戒をしながらも、急ぎ足でアレク達3人のもとに向かうと、すぐにこちらに気付いた様で、アレクがこちらに向かって手を上げている。


「よう。そっちはいいのか?」


「ああ、片付けたよ。お前が盾役を務めていたんだろう? 怪我は?」


 アレクはルバンと気軽に言葉を交わしているが、見た感じ怪我も無さそうだし、結局あのまま完封したようだ。

 相性は悪くない感じだったけど……割とあっさり倒せるんだな。

 核を潰さないって倒し方まで選べるくらいだし……。


 フィオーラはジグハルトのもとに行き、バラバラになったボスザルの冷凍作業を手伝っている。

 ……アレ【隠れ家】に入れるのか。


 その事を想像し少しげんなりとしていると、オーギュストもこちらにやって来た。

 彼も怪我は無さそうだな。


「お疲れ様。団長が止め刺したの?」


 バラバラになっているボスザルを横目に、どうやって倒したのかを聞いてみた。

 訓練や指揮を執ったりしているのは見た事あるが、まともに戦闘をしているのを見たのは今回が初めてだ。

 リーゼルが自分の護衛にもしているくらいだし、強いってのは知っていたが、あそこまでとは思わなかった。


 それに何より、光る刃を振り回すとか、カッコ良くないか?

 アレクの盾はいいとして、エレナは短剣を鞭みたいに使っているし、テレサはノーマルだけど、ジグハルトもフィオーラも何より俺も、ビジュアル的にはボス側っぽい感じだからな……。


「セラ殿が注意を引いてくれたり、アレクシオやジグハルト殿が援護をしてくれたからさ。私の加護は最大威力を発揮するのに少々時間がかかるからな……」


 言葉を濁しているが、最大……わざわざそう言うって事は、やっぱチャージ技みたいなヤツだったのかな?

 色々聞きたいが、マナー違反でもあるしな……。

 想像するのも楽しいから、いいか。


「セラ、こっちを頼む!」


 しばしオーギュストと話をしていると、冷凍処置が終わったのか、ジグハルトが俺を呼んだ。


「はいよー!」


 返事をしてそちらに向かった。


 ◇


 ボスザルの遺骸は、頭部、両手足、胴体の6つにバラされている。

 頭部と手足は氷漬けにされて、用意していた木箱に放り込んでいる。

 ボスがどんなサイズかわからなかったが、念の為持って来ていた箱が役に立った。

 それはそのまま物置代わりの部屋に持って行き、さらに魔法で箱ごと凍らせて完了だ。


 そこまではいいが……問題は胴体だ。


 手足を切り落として小さくなってはいるが、それでも縦幅は2メートル以上あるし横幅もそれに近いサイズだ。

 これは念入りに魔法をかけて、布を張った廊下に立てかけることになった。

 もう少し縦なり横なりに切断できると良いのだが……、ダンジョン内でうっかり核を潰してしまうと、折角の遺骸が全部消えてしまうかもしれない。


 ダンジョン産の魔物としても特殊な存在だから、もしかしたら違う可能性もあるが……試すにはリスクが大きすぎる。

 ってことで、頑張って運び入れているが……。


「もう少し上を下げてくれ! 枠に当たっている!」


「難しいぞ! 下を引きずっている!」


「もういい! 地面ごと凍らせて押し込め! それなら滑るし持ち上げるよりはいいはずだ!」


【隠れ家】の詳細を知る3人が引っ越し業者もかくやといった様子で頑張っている。


「クソっ……手が足りねぇ。セラ、あいつも引っ張って来い!」


 ジグハルトがオーギュストを応援に呼ぶよう言ってくるが……。


「さっき断られたよー。頑張れ! 3人とも」


 オーギュストは、自分にとっては【物置】のままの方が都合がいいからといって、少し離れた場所で周囲の警戒に当たっている。

 もちろんそれ自体は嘘じゃないんだろうけれど……多分手伝うのが嫌なんじゃなかろうか?


 まぁ、このまま3人に頑張って貰おう。

 いつも結構余裕のある3人がここまで必死になっているのは貴重だ。

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】・60枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚

エレナ・【】・【緑の牙】・1枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・2枚

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― 新着の感想 ―
[一言] そういえば隠れ家ってエアコン使えるのかな? 使えるのなら玄関あけっぱで使えばどの部屋でも即席スホットクーラーが……
[一言] なるほど 隠れ家でやりたい放題とはこういうことかw
[一言] オギュさん溜め技系でしたか というか知るべきでないことは知らないままにするとか かっこいいなおっさん
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